2017.0824 Пүрэв гарагт
新宿三丁目には「Tac's Knot」という、自分が小学校に入ったくらいの頃にオープンしたゲイバーがあり、そこのマスターである大塚隆史さんにはチームハバカリも設立当初から多大なお世話を頂いているのですが、イマイズミコーイチは数年前にそこでモンゴルから働きに来ていたゾリくんというモンゴル人ゲイの子と友達になっていて、彼がウランバートルに帰ったあとも交際は続いていたらしいのですが今年、になって「モンゴルでもプライドイベントやってるよ」「小さいけど映画祭もある」「から今泉くんの映画を上映したらいいんじゃないかな」という辺りで自分にバトンが渡されてゾリくん含むモンゴルLGBTセンターの皆さんと遣り取りを続け、『すべすべの秘法』をウランバートルで上映することに相成りました。なったからには行かねばならぬモンゴロイド[要出典]としては、とチケットを探したらモンゴル国フラッグシップ・キャリアであるMIATモンゴル航空の成田発着直行便が一番安かったのでこのどこのアライアンスにも入っていなくてマイルは独自のだけ、という飛行機に乗って行くことにしました。
さて今回も毎度おなじみSIMカードの話をします(これは私の備忘録なのでどこまでも仕方がないのですね)。ここ最近は慣れたもんで、海外用のAndroidスマートフォン(HTC製の、図体ばかりでかいけど普及モデルなので動作がとろい、けどまあかわいい)を持っていって現地SIMを突っ込み滞在中はそれで通信、というパターンだったのでしたがiPhone7に変えたのを期にふと魔が差し、そうだ買って3ヶ月が経ったSoftBank端末はSIMロックの解除ができるではないか、と渋谷のソフバンショップで3000円払って解除して頂いてあって、どこが最初になるか不明だったのですがそうかモンゴルか、と現地通信事業者情報を検索しつつ大丈夫なんかいな、でも2台持ちはいい加減面倒、と今回Androidは荷物に入れずに(伏線)、でも一応iPadは持って(伏線)、しかし日本は死ぬほど暑いのですが何度調べてもモンゴルの気温は東京の晩秋くらいっぽいので、触るのも鬱陶しい冬服をイヤイヤで詰めてスーツケースを閉める。
成田を発つのは20:30なので、早起きしなくていいのは大変よい。自分は最近作ったゴールドカードでカード会社ラウンジに行ってみるというのを今回やってみたいのでありますが、わざわざ同伴者料金まで払って付き合わせるのも悪いのでイマイズミコーイチには喫茶店で待っていてもらう事にする。自分は奥の方にあるラウンジでカードを見せてビール(タダなんで文句は言いませんがスーパードライ一択)をもらってモダンな病院の待合室みたいなラウンジの席で飲み干し、10分くらいで階下に行くと、ちょうどコーヒーに加えて注文したらしいケーキを平らげたイマイズミコーイチがぼんやり座っているのに合流する。さて行こうか。発券から搭乗までは特にトラブルもなく、座席は久しぶりに前に個別モニターが付いていないやつ(頭上には飛びとびで何個かある)でしたが機内食も普通で何より直行便で飛行時間も5時間ちょっとのもんでした。ただし到着するのは深夜。
Чингис хаан олон улсын нисэх онгоцны буудал
でこの辺から8月25日。チンギス・ハーン国際空港(高知県における坂本龍馬空港みたいなものであろう)に着いたらいきなり何だかひんやりしている。体はまだ東京の酷暑を引きずっているのであれ涼しいね、と一瞬思うがこれはどうも空調のせいではなくて建物全体が冷えてる感じのひんやりである。預け入れ荷物を引き取って、迎えに来てくれてる筈の誰かを探す、間もあまりなく見つかって、自分がやり取りしていたフェスティバルスタッフのムギさん(女性)でした。真夜中にすみませんこの便がベストだったんです、とぶつぶつ言い訳しながら一緒に外へ出ると、寒い。寒いよウランバートル。震えながら駐車場に向かい、一服して車に乗り込むと時刻はもうすぐ午前2時である。東京との時差は-1。
今回の宿は主催者の紹介で現地ゲイでAirBnBをやっている人の家にもらう事になっているのですが、何せ到着が深夜なので大丈夫?と事前に聞いたら問題ないと言うのでここはもう付いていくしかない。車は空港から20分くらいで市街地に入り、大通りから一本入って団地の前みたいなところに着いた。「ここです」とムギは建物の外扉を開け、内階段に通じる電子キーをピコピコ押してから「申し訳ないがエレベーターは無い。そして部屋は4階」と言うのでスーツケースを抱えてひいひい言いながら最上階にたどりつく。ムギが呼び鈴を押すが、…出ない。彼女はここのホストと友達らしいので電話している。とやがて超眠そうな若い男性が出てきて「やあ」とかいった感じで出迎えてくれた。彼の名前はオソグだそうで、半分寝ながら鍵と部屋の説明をしてくれる。玄関を入るとリビングダイニングキッチンがあって、奥に2部屋あって向かって左側がオソグの部屋、右側が自分らの泊るゲストルームになっている。そうこうしているうちにグレーの雉虎柄の猫が飛びかかってきた。にゃあ。いい加減8割は寝ているオソグから「…この子の名前は…トビー…メスだけど…」と無理やり聞き出してから荷物を置いた自分らはムギと外出する。
どこへ行くのかと言うとゾリくんのバーである。モンゴルに来る前のやりとりでは「深夜に着くならそのまま僕のバーに直行でパーティーだね」などと言っていて、イマイズミコーイチも判っていなかったのだがどうやらウランバートルでゲイバーを経営しているらしい。先程の車中でムギに「(今日じゃなくてもいいけど)ゾリに会えるかな?」と言ったら「じゃあ先に宿に寄ってから店に行きましょう」という話になっていたので、ほぼ寝ているオソグがあくびのような発声で「エンジョ~イ」とか言ってくれるのを背中に受けて階段を降り、再び車に乗り込む。かなり近いらしく大して走らずに車はどこかのビルの前に着いてムギが「あれです」と指差した建物の入口は思いっきり電気が消えているが、秘密クラブか何かなのかここは、と逡巡する暇もなくムギはするっと入っていったので付いていくと中はピンクっぽい照明が明るい別段怪しくはないカフェバーで、バーカウンターに続いたスペースにテーブル席、壁を隔ててそれを取り囲むようにラウンジがある。
d.d./h.z.
イマイズミコーイチはゾリくんを見つけて再会の抱擁をしている。自分はやはり初対面…だな多分。日本から土産を(ゾリ・リクエストにより日本の漫画と、あとは自分が適当に選んだ酒とゲイ雑誌「Badi」)渡すとゾリはおお、と言って「タカシー、タカシー」と日本名らしい人を呼んでいる。奥からぬう、と出てきたタカシ氏(崟利子さんではない)に何で入口が真っ暗なんすか、と聞くと「気分。あと明るくしていると(この店の事をよく知らない)めんどくさいお客が入って来ちゃう場合がある」ということでした。ゲイバー、というかムギも普通に入ってるのでミックスバーですね、と自分ら4人は日本語で話してしまうのでムギにはちょっと申し訳ないが明日はどんな予定?と聞くとムギは「今日のプレスリリース記者会見に記者が誰も来なかったので、明日の朝もう一度やる。ゾリも出る」だそうでなんだかよく判らないが面白そうなので行ってみることにする。このお店「d.d./h.z.」は大変居心地のいいお店ですがいい加減夜も遅いのでそろそろ今夜はさようならかな、ムギに送ってもらって部屋に入り、飛びかかってくるトビーをかわしながら寝ることにします。あれWiFiはつながるんだけどネットが使えないぞ、勝手にルーター再起動しちゃえ(で、つながった)。
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