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5daze

2002.12.08 o domingo


 11時起床。予想通りW嬢N嬢の見送りには行けず。もう今頃は飛行機に搭乗しているはずだ。窓を開けると雪がちらついている。寒いわけだ。昨夜あれだけいたスタッフはもう誰も残っていない。タフだなあ。僕は一人で昨日行ったスーパーマーケットに土産を買いに行く。さすがに日曜の朝だから人通りもまばらだ。醤油味噌味噌味噌塩レトルト粥菓子菓子菓子菓子胡麻油スープストックタッパー5個パックなどを買う。これじゃ主婦の買い出し。戻ると何故かイマイズミコーイチがパンツ一丁のボリにベッドの上で襲われており、朝からファンキーな目覚ましをされているらしい。3人起きて、ボリの指示でインスタントラーメンを作る。ボリがコンロにかけた鍋の水の量はいい加減で、3パックあった麺を全部入れると明らかに水が足りないがめんどくさいのでそのまま煮込む。鍋のままテーブルに運び、冷蔵庫からキムチを出して食う。次いでボリが別の鍋で炊いてた米が出来て、海苔と目玉焼きという朝御飯になる。だいぶ韓国に馴染んできた気がする。でももうあと1日だ。

 2時半に映画祭の会場に行く。やっぱし今日はスタッフ全員遅刻したそうだ。昨日連絡していたヒナノくん(仮名)が雪の中を来てくれる。彼もまた会場で声をかけてきてくれた子だ。会場でしばし雑談する。超ディレクターに「何人撮れた?」と聞かれたので「16人」と答えるとたまげていた。まあそのうち14人は全て1分づつくらいなんですけれども。でも今日で20人は超す予定。ヒナくん連れてまたいつもの(ここしか知らない)伝統喫茶へ。マジ寒い。傘もないし。今日は座敷席に入る。相席だけどまあ裸撮るわけじゃなし。ヒナくん緑茶僕は菊花烏龍茶イマイズミコーイチ柚子茶を頼んで、雑談しながら撮影。ヒナくんは日本のアニメやら映画やらもけっこう観ていて、話していてたのしい。「千と千尋の神隠し」は韓国でも公開されていて、ゲイの間では湯婆婆と釜爺が人気だと。彼は舞台俳優を始めたばかりだそうで、「将来はゲイの映画も作りたい、片方が死んで片方が結婚するとかそういうんじゃないヤツ」と言ってた。10年後が楽しみだ。さて、今日の5時半から「藍宇」という映画の上映があって、ヒナノくんはそれを観ると言うので、1時間ほど話して会場に戻る。その途中でも撮影。帰り際に「日本に大鶴義丹という俳優がいて、お母さんが韓国人で」などと絶対に判らない話をしてヒナノくんを困惑させる。輪郭がちょっと似てたもんで。「藍宇」は東京の映画祭で見のがしていたので僕らも最後に滑り込ませてもらう。全上映作品のなかで一番人気だそうでさすがに席がなく(ちなみに全席指定)通路に座って鑑賞。ううむ。しかし英語字幕だけだときつい。いまいち良かったのかどうか判断がつきかねるが、判った部分だけで言うと「運命の人ってのはいるのね」かな。何じゃそりゃ。やや粘着質な感じもあったな。ゲストでこの映画のプロデューサーも来ており(超プロデューサーと命名)、やたらフレンドリーに話し掛けてきてくれる。がしかし英語の壁が。彼は北京の人だそうで、人民共和国のゲイ映画事情など聞きたいことがいっぱいあったのだけど叶わず、ただこっちもニコニコしてるだけ。しかし頼りがいだけはありそうな御仁であった。

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日曜の午前中撮影。「G」バーとは「Gay」バーの意味との事。

 その次の上映で全プログラムが終了。その回の客入れ終わった後、ヒマを狙って超ディレクターの彼氏(超彼氏と命名、デザイナー)を撮影。「トイレで」と言うと「ヌード?」と言う。ちげえよ。「ビデオ映りがいい」と一応誉めると「いや、実物の方がいい」という。さようですか。そうこうしているうちにどこからか宅配ピザが届いて(そりゃピザ屋からだろうが)スタッフと食う。そういや朝のラーメンから何も食ってない。足らん。急に無茶苦茶腹が減ってきた。なのでもう一回さっきの道に戻って店を探す。日曜日は休みだったりする店が多くてなかなか見つからない。途中で今回何度も食った「ホットク」というおやつを買って暖を取る。パン種みたいなのに黒砂糖の蜜を入れて、円盤状にして揚げ焼きにしたもの。500ウォン。もう少し歩いて見つけた山田うどんみたいな店に入って雑煮とかを頼む。味が薄い。そしてなんだかすごい量が多くて苦労する。暖まったのも束の間で、また凍えながら会場へ戻る。その途中で外の景色を撮影。僕はデジタルカメラで雪を撮る。デジカメって便利なんだけど操作が慣れなくて、思った通りに撮るのが難しい。会場に着いてしばらくすると最後の上映が終わって客が帰っていく。スタッフはあらあらあらと言う間に見事な手際の良さで場内を片付けた。これから打ち上げに行くらしいのでついて行くとまたしてもカラオケバー。カラオケしてる飲み会って日本でも行かないせいかなんか異次元だが、とにかくよく歌う。圧巻だったのは超ディレクターと超彼氏のデュエット。それもものすごく歌い上げていた。「藍宇」の超プロデューサーはででんと座って相変わらずニコニコしてたが、時々こっちの席をちらちら見る。もしかしてさっき「撮影させて下さい」「いいけど、僕は高いよ」とかいう会話をしたのを憶えていての催促か。どうしよう。しかしこれからスタッフ2人をまとめ撮りする計画でアタマが一杯でそこまで回らない。申し訳ないがシカトさせていただく。12時近くなって店にホロくんが来てくれる。彼の力を借りてこれから撮る2人と打ち合わせ。打ち上げは無事終わり、解散となる。超ディレクターほか大方のスタッフとはここでお別れになる。ありがとうございました。お世話になりました。

 さては向かったのは今朝までW嬢N嬢も泊まっていたモテル。スタッフの宿でもあるらしく、今日撮る内の一人が泊まってる部屋を撮影場所に使わせてもらう。2日前にアウトくんと迷った辺りを抜けて、ぞろぞろと建物内に入る。部屋の借り主は東京にも来たことのあるスタッフで、韓国でパレードがあった時の撮った自分の写真を見せてくれた事があるのだが、そこに写っていたのはハエとコウモリの間の子みたいな愉快なもので、僕らが大ウケしていると彼は一言、「フォーリンエンジェル」とキめた。なので堕天使と命名。もう一人はチータくん(仮名)。去年ホロくんのアパート(当時)に行った時に会ったのだが、去年とは髪型が変わっててしばらく気付かなかった。その時の彼の記憶と言えば目を開けたまま寝てた事くらいしかなかったのだが、改めて観察してみるとやたら手癖が悪いという事に気付く。荷物を持ってくれるのかな、と思っているとそのままどこかに持っていってしまう。他の人が持ってるモノをパッと取って逃げる。まあしばらくすると返してくれるのだが意図が判らない。一番近いのはペットの犬とか猫がそこら辺にあるものをなんでもくわえて行ってしまうあの感じか。動物(それも愛玩系)?撮影は一人づつなので、最初に堕天使を撮影。照れまくる堕天使をイマイズミコーイチがカメラで追う。結構な物音になる。僕はヒマなので撮影の合間にデジカメでみんなを撮る。続いてチータ。風呂場で撮ったのだがバスタブが小っちゃくて溺れてるみたいになってしまった、らしい。観てないので判んないけど。2時半くらいに全てが終わって、全員ぐったりのまま僕らはタクシーを拾う。ホロくん堕天使チータとはここまで。最後まで引っ張り回してごめんね。またね。特にチータは風邪引かんように。今回の旅行最後のタクシーに乗ってイテウォンに戻り、大通りで翌朝乗る空港行きのバス停を確認する。帰りがけに(すでにあちこち道が凍ってて滑る)コンビニエンスストアに寄って韓国海苔ポテトチップスなどのおやつを買う。家に帰るとボリは寝ていたが、申し訳ないながら起こす。ただいま。するとボリは冷凍庫から餃子を取り出し焼きはじめる。そのまま床に座って梅酒などを開け始める。時間はもう4時近く。ボリの今後の事業展開の野望などを聞く。ビデオを作りたいのだそうだ。頑張れ。そして成功してくれ。ボリは更に「魚も焼こうか?」とほっけの干物みたいなのまで出そうとするがさすがにそれはお断りして寝る事にする。いろいろ語りたい事はありそうではあったがそれは次の機会に。それまでにハングル、読めるくらいにはなってるようにします。おやすみなさい。

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光っているのは雪。「くるまのない道(みち)」だそうだが、
それよりこのコンドーム君マークは何だ。


pre   fol