タイトル
2005.0608 Wed 日韓ハイブリッド2、まだ帰りたくないけど

  ここで日付が変わります。相変わらず超重そうな機材群をトラックにうんうん詰め込んでいるスタッフを脇目に僕らはなんだかんだとバカ話をしていて、さっきQ&Aに出ていた友達も交えてうだうだしていた。やがて何とか搬出も終わったらしく、関係者(もちろん僕らは部外者)が集まってお疲れさまでした、をやっていて、チョンナに「これからある打ち上げに交ぜてくれるそうだけど、行く?」と聞くと「私はいつも夜はヒマだから、行く」との事。はは。
  ソウルの深夜を歩いて打ち上げ会場に向かう。外階段を上って入ったレストラン、のグランドピアノが置いてあるフロアには更に内階段があって、もう一階上がって長~~くテーブルをセッティングしてある部屋へと通される。いや、僕ら小判鮫ですから、と初めは傍らのソファに隠れるように座ってみたりしたのだが、出演者ばかりでなく裏方さんも含めたくさんいるので遠慮っぽく角っこにいようとすると却って目立ってしまい、「いいから、とにかく席に付きなさい」と促されて見ると残ってんのは上座の席だけ、どひょえいくらなんでもそりゃマズいでしょう、とか言っていると結局席が足りなくなって急遽しつらえた補助席のごときテーブルが上座の脇に作られたので最初だけ最初だけ、とぶつぶつ唱えながら座って、間が悪いことこの上ない。乾杯(「コンペー」と発音したようだ)済んで僕らとチョンナは部外者ながらお話しにまぜて頂く。メンバーがそれぞれに自分の知っている韓国ドラマや俳優の話などすると、チョンナは「なんでそこまで知ってるの?」といちいち驚いていた。ま、ブームっすから。3時くらいだったろうか、さすがにチョンナは帰ろうかなと言うので外まで送っていく。こんな時間でもあんまり涼しくない。遅くまで付き合ってくれてありがとう、とタクシーに乗る彼女を見送って店に戻り、しばらくするとBGMが鳴って(貸し切りでしかもこんな深夜でも「閉店」をやるのか、と少し可笑しかった)、打ち上げはお開きになった。
  昼が長いと言ってもまだ明けてはいない。今日は帰国日だが出発を朝便にしなくて良かった、と本気で思いつつさて帰って少し眠ろうかと思っていると、メンバーが二手に分かれてなにやら相談している。どうも帰国便が早い人達はこれで寝たら起きられないから、徹夜して呑んじまえとオソロシイ事を言っているらしい。ひょわスッゲ、と見ていると、フライトは早くないけど飲みたい人達も一緒になって「じゃあマッコリかな、マッコリ呑んでないし」などと言っている。帰って寝るチームがじゃあね~とか言っているので、あ、僕らもここで、と友達にあいさつしようとしたら、「せっかくだからマッコリ行っといで」と平然とした顔で言われてしまい気が付くと今度は地下に下った所にある飲み屋の席に普段の30%くらいの質量の自分が座っていたのだった。出発を朝便にしなくて本当に良かった、と思った。意志弱え~。
  どうでもいいことであるが自分は酒に弱く、最近はいきなり立てなくなるという性質の悪い酔い方をするので、普段は飲まない。半年くらいアルコールを摂らなくて普通だ。だもんで量の加減が判らないから非常に用心してちびちび飲む。マッコリは美味しいとは思うので、イマイズミコーイチに「2杯くらいで止めときなね」と言われながら顔を赤くしている。なんかその辺で売ってるみたいな瓶詰めのやつを甕にどぼどぼ注いだものだったけど。僕らは韓国5回目くらいだが、みんなと知っている韓国語の知識を言い合ったりしていると、自分は全っ然憶えていないことにやや愕然とする。行くたびにハングル読めるようになっとこう、とは思うのだけど果たせていない。
  夜が明けている。みんなはタクシーに乗ってホテルへ、僕らはどうしようもう電車動いてるよね、と地下鉄に乗ることにして、飛行機は別々だけどみんな今日帰るから、また日本でねと言って別れた。いろいろお邪魔いたしました。地下鉄では僕の切符が撥ねられて入場できないトラブルがあったものの(「携帯に当てましたか」と言われたがそんな事はなかった)、無事ホテルにたどり着き、初日以来何だかしょっちゅう会っている気がするスリーブレス短パンのにいちゃんに鍵を開けてもらうが、この人がなんだか懐かしい気がする。長かったなあ今日、ってか昨日か。速攻寝て、昼頃起きる。お土産をまったく買っていなかったので周囲をぐるりと回り、スーパーで食料品でいいかな、と思うものの肝心のスーパーが見あたらない。コンビニはあるんだけど、と諦め掛けていると、あった。喜んで入ると中はガラッガラ、それなりに大きいのだけど多分ディスカウント系なので商品の種類は多くない。それでもコンビニより選択肢があるのでまたしても調味料油菓子菓子菓子菓子お茶と買って、日本じゃ今はもう見ないでかい真っ黒なビニール袋を下げ、部屋に戻ったのだった。起きてから自分は腹が下りまくり、買い物の最中も青い顔してトイレに駆け込むこと数度。

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空港へ

 チェックアウトしたらソンワンに電話する事になっていたので、大通りの公衆電話まで行って掛けてみると。彼はホテルに居るという。しまったフロントで掛けさせてもらや良かったといそいで荷物を引きずりながら戻ると、彼が待っていた。やはりロギは来られなかったそうだが、昨日会えたからいいや、とこれまでのお礼を言って、ホントに面倒見のいいソンワンにエアポートバスの乗り場まで送ってもらい(別れ際それぞれ扇子をくれた)、少し早いけれど空港へ向かったのだった。ありがとう、今回は会いたかった人にはほぼ全部会えてしまったよ、これで満足してしばらく来んな、って事じゃないといいんだけどと切に思った。
 仁川(インチョン)空港では今回あんま自発的に飯食ってないよな、と韓国料理屋に入って冷麺やらビビンパやらを頼んで食べた。時間があるので免税店を回り、していると向こうから今朝別れたばかりの友達がカートを押してやってくる。フライトがあと15分くらいに迫っているのでやばい、とか言いながら、えらい「いい姿勢」で彼女は搭乗口方面へ消えていった。最後の機内食は焼き肉みたいなヤツで、イマイズミコーイチは食えなくてやや、寂しそうだった。やがて飛行機の窓から夕日が見えた。

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