2007.1124, sat

 昨日で上映はおしまい、あとは好き勝手に動いていいわけなのであるがそれと同時に映画祭が提供してくれたエクセレントなホテルからも出なくてはいけない。結局付属設備はほとんど使わなかったなあ。電気湯沸かし器とDVDプレーヤと、あとイマイズミコーイチが初日にアイロン使ったくらいで部屋の電話もパナソニック製のPHSなのだが電波が悪くて全然話が出来ない部屋もあったし。二週間くらい滞在してパーティーとかやるにはとてもいいとは思うけどいくら掛かるんだ。12時チェックアウト、なのでそれぞれが部屋を退去して一階のロビーへ、フロントで精算(0HKD)して、迎えが来るまでお茶など飲んで待つ。約束の時間にやや遅れてJ&Hがやってきてタクシーで次のホテルへ。運転手さんが「でかい荷物はトランクへ」と言っているようだが全員でそれを無視して全て車内に持ち込むのでぎゅうぎゅうである。イマイズミコーイチは後部座席の真ん中に座ってしまったため、最後までキャリーケースを抱えたまま。


昨夜までのホテルロビー、ラグジュアリー、と言うか

 Jが取っておいてくれたホテルは彼らの事務所には更に近く、歩いて5分ほどで行けてしまう。三人で二部屋だが今回は階が離れていない。キーがカードだったり、一応新しい装いなのだがおそらく古いホテルを改装したのだろう、あちこちに痕跡がある。何にせよ寝られればいいわな、と思っていたのだが様子を見に行った向かいの部屋でヒロくんが「あの、電気がすぐ消えちゃうんですけど…」と困っている。カードキーを部屋に入ってすぐの差し込み口に入れると電気が通じてスイッチをオンオフ出来るようになるのだが、この部屋は何故かしばらくするとその主電源が落ちてしまう。無意味とは思いつつもカードキーをひっくり返したり何度も電気のスイッチを付けたり消したりしてみたらやがて消えなくなったので「原因不明だけど差し当たり大丈夫そうだから、もしまた消えたらウチの部屋へおいで」と無責任なことを言って自分たちの部屋に戻った。

 部屋には荷物を置くだけにしてすぐにJ&Hの待つロビーへ降り、バス停へ向かう。Jは「このホテルには食事をしに来た事だがあっただけで泊まったことはないのだけれど、Hがここがいいんじゃない、と言うから」とよく判らない『お勧めの理由』を言うのでふうん、じゃあご飯はおいしいのかな、と思う。でもここで食事をすることは多分ないと思うけど…。バスに乗って(先払い)オープニングパーティーがあった中環へ。今日は事前のヒロくんの希望もあって「DS(Dim Sum=点心)」という香港のゲイ雑誌のスタッフをこちらが取材する。編集&ディレクションのJLと営業担当のBには映画祭で何度も顔を合わせていたのだが特にBはオープニングセレモニーやらオープニングパーティー大抽選会で司会やってたおねえさん(男性)なのでもう顔なじみである。通訳Cさんも加わりみんなで坂道の中腹にあるカフェに入ってコーヒーとか注文し、一部の人(イマイズミコーイチとか)はパスタなどを食べながら取材が始まった。


取材ちう

 とは言え僕らはただ脇で聞いていただけ、J&Hに至ってはすることがないので気が付けば店内をちょろちょろちょろちょろしている。取材は正味一時間くらいだったか、何故フリーペーパーなのか(販売用のゲイ雑誌も露店でいくらでも売っているけど)、ファッションページのモデルはどうやって探すの、とか同業者としてヒロくんの興味は尽きないようでした。ちなみにこの雑誌(月刊)では世界の国からこんにちはレポートを載せているのだけれど「その東京編を書いてくれる人を以前からずっと探している、誰か居たら紹介して欲しい」と言っていました。条件は英語で書けること、で中国語(基本バイリンガルの雑誌)には編集側が訳してくれるそうです。稿料とかは聞いてませんけど、関心のおありになる方はご一報下さい。

 店内での取材が終わってでは写真を、とさっきの路上に出る。JLもBもなんか撮られ慣れてるなあ。Bはドラァグもしているそうなので当然かも知れないけど。自分もギャラリー(J&Hとか)込みで撮影の様子を撮ってみましたがなんだか可笑しい。さてこれで終わり、だと思っていたのだけれど彼らが持ってきてくれたバックナンバーのうち、『初戀』を載せてくれたという「DS」前月号だけが抜けていたので聞くと「あ、ホントだ事務所に忘れて来ちゃった」と言うのですぐ隣の編集事務所にお邪魔させてもらう。部屋にはいるとまずは大きくて整然とした事務所なので「なんだきれいじゃん(とっちらかってるので見せたくない、とか言ってた)」と言ったら「ここは別の雑誌の編集部、僕らのはあっこ」と言って更に扉を開けるとなるほど確かにさっきのよりはモノが多いけど、でも片付いてるよ。JLはいきなり置いてあったオナホールなんぞを自分に手渡し、「日本製だよ、知ってる?」と笑う。知ってるけど実物見たのは初めてです。Cさん(女性)が「何それ」と言うのでどう説明したらいいのやら。ここでもちょっと写真を撮らせてもらってお邪魔しましたー。Bは中森明菜ファンらしく、CDが何枚も置いてありました。

 ちなみに今年は香港L&G 映画祭とRed Ribbon CentreというHIV/AIDS団体が協力してHIV/AIDSをテーマにした短編を募り、優秀作品には賞金が出るそうなのだが「DS」は昨年からその宣伝告知に協力しているとのこと。僕らは残念ながらそのプログラムをやる頃(12月1日)には帰国しているので観られないが、どんなのがあったんだろうか。取材の最後に自分は彼らに昨日"Aids Concern"の人にも渡した日本のHIV/AIDS団体が出しているリーフレットを渡した。すぐに何か出来る訳ではないだろうけれど、いつか思いだしてくれたらいいなと。


撮影ちう

 DS編集部にいる間に誰かの携帯に電話が来て、「今から映画祭のA(昨日の舞台挨拶で司会をしてくれた男の子)が来るって」と伝わるとDSスタッフは「何で」「来なくていいよ」とかひどいことを言うが僕らもそろそろおいとまします。通訳Cさん、今日もありがとうございました。やがてAが来て、坂を更に下る。このあたりはあまりに坂が多いので名物エスカレーター歩道があって、今回は乗らなかったけど何度乗っても結構愉快である。僕らは徒歩でそのエスカレーターの下を歩き、J&Hは「ここでいいかな」と食堂のような所に入る。でもメニューを見てみたら日本で言うところの「食事も出す喫茶店」というのが一番近いかな、喫茶店にしてはバカでかいけど。「ここは叉焼とエッグタルトが名物なので」ってなんかすごい取り合わせ、でも頼んでみる。ヒロくんは丼飯に、自分はラーメンに乗った状態で来た叉焼を堪能する。点心とかだともっと赤くて甘いのだけど、ここのはしつこくなくてよろしい。この手の肉が食えないイマイズミコーイチはさっきの店でパスタたべたし、と軽く。ミルクティーもうまい。ちなみにホットよりコールドの方が若干高いのが普通のようです。

 さて僕らの担当Jは思いがけないところでヘンな事をするので目を離せないのだが、トーストと目玉焼きを頼み、気付けば妙な食べ方をしている。注意深く黄身の回りにナイフを入れ、そろそろと白身だけを全部食べてしまい残った黄身はどうするのかなあ、またHにあげるんだろうかと思っていたらやにわに黄身を掬い上げ一気に口に入れた。まあこういう食べ方をする人もいるとは思うけどJがやってるとなんか予測不可能でおかしい。ある意味全ての動作に全力投球している(無駄に)という印象が…。食後に来たエッグタルトも大変カスタードでした。


にく

 昨日通訳Cさんが「天気が良かったら(ヒロくんを)トラムに乗せてあげてね」と言ってたので「乗りたい?」と聞くと何ですかそれ、と知らないようなので「山頂まで行く登山列車」と教えると「乗りたい乗りたい」と喜ぶのでJ&H&A+僕らの6人で歩いて近くのトラム駅に向かう。かなりな急勾配。僕は初めて香港に来た7年前に乗った記憶があるのだが駅周辺の記憶が全くない。さすがに土曜日だけあって乗り場には長蛇の列だが仕方ないので並んで、思ったよりするする進む列の最後尾で「マダム・タッソー蝋人形館とのジョイントチケットなら割引」のチラシをもらうがまあ蝋人形はいいや、と言うことになる。宣伝としてチケット売り場にはジャッキー・チェンの蝋人形があったがヒロくん「なんか僕のお父さん(しかも数年前)にそっくり」と言うのでじゃあ君は歳を取ったらジャッキーみたくなるわけ?と聞いたら「ん~でも自分はお母さん似だからなあ」とのこと。

 来場者ノートからの転載なのだろうか、手書き風の文字で「価格が急騰するかなと思っていました」などという訳の判らない日本語を含む文字で埋め尽くされた壁面の脇を抜け、ホームにやってきた電車を待つ。自分はトイレに行きたくなってきたが、山頂に着くまでは行けなそうなので我慢する。やがてトラムが降りてきて、我先にみんな乗り込むが一応満席になったところでストップ、不運なことに立っている人もいましたがこの傾斜はかなりきつかろう。ゼッケーなので写真を撮るがぜんぜん良く写らないので諦めて眺めることに集中する。乗車時間はものの数分だったと思うが、昼間に乗るとたのしいねえ。


意図不明

 駅からはそのままショッピングセンターのようなところに突っ込むように出来ていてまずは、と自分はトイレに駆け込む。なんか随分離れたところにあった。他のみんなはいきなりお土産屋を見たりしているが、エスカレータで上がって行くとやたらアミューズメント施設があって以前来た時にはこんなだったかなあ…、最上階のSky Terraceというこの建物の屋上のみが別料金なのだが、さっきトラムとのセット券を買ったので僕らはこのまま入れる。登る。思ったより狭い、というか人が多くて移動が大変だがたいへんよいながめ。僕らも含めてみんな(家族連れとか)写真を撮っているが、自分はその辺のおっさんにいきなり腕を掴まれ(痛い)中国語で「写真撮って」と頼まれる。へえ、と自分は観光客ハイのまま「ヤ、イ、サン(1・2・3)」とかインチキ広東語のカウントまでして撮影、振り返ってみたら残りの同行者がそれ見て笑ってました。「何か君そういう頼まれ事が多いね」だそうですがはい、日本でも良く海外の方に道を聞かれます。

 テラスから降りて、建物を外から眺めたらなんだかものすごい外観です。地震がないから日本基準からすると無茶な建物が多いんですよ、と聞かされた事があるが、縁起でもない想像ですけどこれで万が一大地震が起こったらドラゴンヘッドのようなことになるんでしょうなあ(日本もだけどさ)。中庭を挟んで向かいにもあるでかいショッピングセンターに入ってみたらやっぱお土産屋が満杯なのだが、このあたりでヒロくんがわ~、とか言いながら「PULL」と書いてあるドアに思いっきし突入しようとするので首根っこをひっつかんで「プルは引く!!」と怒鳴りつける。J達の提案で「マクドナルド入りましょう」ということになってすっかり日が暮れた屋外席(ちょっとさむい)でお茶を飲む。Hは「香港のマクドナルドは世界一安いので」とか言うけどホントか。自分はさっきの叉焼麺で腹一杯なのだが、好きなもんでポテト(2種類あった)をついバカ食いしてしまい、あとで後悔することになる。


例えばこんな風景、これは車内から

 なんでわざわざマックで時間を潰すんだろと思ったが、もしかしたら夜景も見せたいのかも知れない、と気付く。案の定「じゃ、そろそろ」とさっきも行った無料の展望スペースに再び向かうとそこはまた昼間とは打って変わってイルミネーションのパノラマ。すっげえ、と言うとイマイズミコーイチ「ホントは九龍側から香港島を(要は今居るのとは逆側から)見るのが一番きれいなんだよ」と教えてくれる。「でも絶景ポイントは車で山の中に行かないとだから、現地の人の自家用車とかでないと無理」だそうです。山の周りの歩道のどこから見てもよく見えるが、「はいじゃあと~りますよ~」とかおかしな日本語でスナップ写真商売をしている辺りで夜景を見ていたら隣のおばはん3人組は兵庫の人らしく「六甲山の夜景もな」「ここは100万ドルなんやろ」「神戸は40万ドルやな」などとムードぶちこわしな会話をしており大変宜しゅうございました。

 また写真も撮って(若干ガスが出ているので見通しは良くなかったけど)さて帰ろうか、と下り電車乗り場を見たらものすごく並んでいる。しかも吹きっさらしの屋外、なので電車は止めてバスで降りましょうということになってバス停に向かう。ここのバスにもジャッキー・チェンがクレジットカード持ってにっこり笑っているがJ&Hは「一般的に香港人はあまり彼のことを好きではない」と言う。そんなもんですか。さてまたしても二階席に乗ってみました。大変眺めがよろしいのですが何と言いますか道がですね、大変くねくねしておりましてしかもスピードが速い、ので久しぶりに車酔いが来ましたです。「あ、酔ってきた」と思ってしまったらもうだめで、あとは先ほど調子に乗って食ったポテトが大変わたくしを苦しめます。早く着かないかなあ、と思いつつも細い道にでかいバス、カーブを一度で曲がりきれずにぐゎんぐゎん揺れるのでけっこうダメかも。最後の方は無言で肩で息をしだした自分に他の人は「大丈夫?」と聞いてくれるが返事も出来ないで涙目を見開くのみ、早く着かないものでしょうか、とそれだけを考えて耐えていた。


夜景ですが、その後のバス酔いで余韻に浸るヒマはありませんでした

 着いた(らしい)。バス停にへたり込む。イマイズミコーイチに水をもらって飲んでそろそろ歩き出す。Jが心配して「先にホテルに戻りましょうか」と言うけれどもう平気、事務所で休むよ、と返事をして最後尾を付いていく。Aとはここで別れ僕らはJ&H事務所に辿り着き、自分は昨日インタビューで座っていた木箱の上に腹這いになってぐったり、水を持ってきてくれたHがそれを見て笑う。例のパンダエリアではイマイズミコーイチとヒロくんがJのおもちゃコレクション(日本語で喋って動くクマの人形とかドラえもん楽団とか動くパンダとか)で遊んでいる。自分はやっと平衡感覚が戻ってきたので起きあがって、事務所のパソコンを使わせてもらってメールチェック、迷惑メール以外は見事に来ていない。ヒロくんは仕事の関係で現地の知り合いに連絡を取る必要があるのでJに電話してもらったりしていたらつながり、「今夜はこの近くで一晩中カラオケしているので良かったら来ませんか」とお誘いを受けていた。「カラオケ…」と微妙な反応を見せるヒロ。でこの辺からJのテンションがおかしくなり何をやってもワーとかキャーとか言うようになる。どうした。

 僕らは一旦ホテルに戻り、後から2人が迎えに来るという。ロビー集合は10分後でどうですかと言うがちょっとそれは、なので30分後にしてもらう。部屋で顔を洗って(ヒロくんが「また電気が付きませ~ん」「トイレの水が濁ってます~」とか言うのだがもしかしてこの人は部屋運がないのだろうか)すぐに30分、まあ彼らはいつも微妙に遅れてくるのでのんびり、とロビーに降りて待ち合わせ、夕飯に出掛けることにした。行き先は九龍半島側の尖沙咀(チムサッチョイ)、海を隔てて道路も地下鉄も通っているけど以前はフェリーが主な交通手段で、現在も観光用に残っている。ヒロくんは一度乗ってみたらいいんじゃないかな、とそれで行くことにする。この辺り(灣仔)からも乗り場があるので歩いて行くと、途中屋外プールがあって、さすがに夜なので泳いでいる人は居なかったけど11月末だというのに昼間は営業しているようだった。じゃあ覗き放題ではないですか、と狂喜していたのが誰(複数)とは言いませんが、わたくしはその逐語訳をさせられました。

 フェリーの料金は大人2.2HKD(=約31円)で地下鉄の5分の1くらい。薄暗い乗り場で待っているとJがおかしなテンションのまま僕に「明日は12月の宣伝のためにFridaeの取材を受けるわけですがお願いがあります、Fridaeはアジア全域をカバーするポータルサイトなので、なるべく小綺麗な格好をしてくださいね」と芸能プロの社長みたいなことを言いだし更に「初回の上映の時はみなさんとても若くて格好良い、と評判だったのですが(ホントかよ)、昨日の追加上映の時には疲れていたせいか(それはそう)魅力がちょっと下がっておりまして(…)例えばヒロさんはですね、初日が100%だとすると昨日が40%で(その数字の根拠は何だ)」とべらべら喋るので自分は「判った判ったわかりました取りあえずヒゲは剃らせます」となだめて、「何?」という顔をしている2人に説明すると「そんなこと言われたって」と悩みだし、話しているウチにJのおかしなテンションが全員(H含む)に伝染しだして収拾が付かなくなったのでもう自分は帰ろうか(どこへ)とちら、と思ったが多分ゲートは出られないので早く船が来ないかなあ、という事だけをぼんやりと思っていた。地元で壊れる現地人、って何だ。


船上から

 さっきのバス酔いの事があるので船、平気ですかと言われていたのだけれどあれはカーブとマックのポテトのせいなので今回は大丈夫だと思う。わ~い、とか言いながら前の方へ座ろうとする人なんて僕ら以外には居なかったが、窓際の席に座ってすぐ出航。夜景の中を進む、風が気持ちいい。トラムと同じくやっぱり写真は上手く撮れないのでやめて、あとはずっと水面を見ていた。これまたトラムと同じくあっという間に着いてしまった。波止場(と言うのか何というか)の辺りは人出が多くて、夜景をバックに写真を撮る商売の人がいっぱい出ている。ヒロくんが「10HKD(=約140円)かー、なら記念に撮りたい」というのでよくよく見たら10HKDというのは手札サイズ、見本で出ているのはもっと高いのだったがHが交渉してくれていきなり半額くらいに下がる。やっぱ外国人はボられるね。写真屋さんはさすがにいいポイントを陣取っているので、すぐに出来上がった写真はいかにも観光写真という出来、フラッシュもばっちり。その後Jがどこぞの店へ消えていった、と思ったらヒロくんがぴらぴら持っている写真を挟むためにフリーぺーパーをもらってきてくれたのでした。

 海の近くの、香港映画発祥の地にちなんだ「スター・ロード(ハリウッドみたいな映画スターのネームプレートとかある)」をえんえん歩いて写真をバシバシ撮り、途中ヒロくんがブルース・リー像を目にして「あっジャッキーチェン(それは君のお父さん)」と叫ぶというアクシデントに見舞われつつもやがてビル全体を覆う巨大なネオン(クリスマス&謹賀新年)の辺りまで来て、J&Hはこれを僕らに見せたかったらしい。取りあえずでがいわ。さて寒くなってきましたしちょっくら食べましょうか、というので「雲呑麺」と答えると(ヒロくんはまだ食べてなかったのでどうかな、と)J、「ええと、この辺には昔とても美味しい雲呑麺屋があったのですが残念ながらそこは閉店してしまったんで、別のを探してみますね」と言ってくれる。多分どこでも大抵は旨いので「無理しなくていいよ」と2人の後に付いていく。やがてすぐにショッピングモールみたいなところに入っている麺屋にしましょう、と席に陣取り注文。はす向かいでは日本人らしい団体が大声で話をしている。僕ら日本チームはみんな蝦雲呑麺、JとHはそれぞれうどんみたいな謎の麺を頼んでいる。ここの麺もたいへん、おいしいでした。


香港ドラゴン航空でございます

 どうしましょう、もう少し遊びますか?と聞かれたがさすがにもう12時過ぎ、お腹も一杯だし事務所に戻ろう。Jたちとはまだ済ませていない事務事項がけっこうあるし、明日は実質最後の日だから出来ることを片付けておきましょう、という事でタクシーで灣仔あたりまで戻って、途中「明日の取材に備え」スーパーに寄ってカミソリなどを買ってからJ&H事務所に歩き出した。するとJの携帯が鳴り、何やら話していたが「(さっき別れた)Aが友達の誕生日を祝ってこの辺にいるそうで、通り道まで出てくるんで挨拶したいって言ってます」だそうで何だかよく判らないがいいっすよ、と歩いていく。するとどこかの店からA他男女数名がぞろぞろ出てきて、中には上映に来てくれた人もいたのでどもども、で、お誕生日の人はどなた?と聞くとなかなか可愛らしい女の子がそうだという。おめれとーございます、と言ってじゃあ、と僕らは事務所へ、と向かうがなんでかみんな付いてくる。しまいにはJがさっきスーパーで買ったトイレットペーパーを持ってしまったりしてうへ、みんな来る気か。ちょっとヤバいと思いつつ歩いていたら交差点の所にいた男の子3人(東南アジア系とアフリカ系とあとは忘れた、多分すごく若い)がヒロくんを一瞥して、信号が変わって歩き出した瞬間に背後から「ニホンゴデスカ~?」「カワイイデスカ~?」という声が聞こえ、日本語会話としては30点くらいではあるが本来の目的(ナンパであろう、やっぱ)からするとかなり高得点な事を言われていた。ヒロくんモッテモテ、ささ構わずに前へ。

 危惧していた通り合流した酔っぱらい集団は事務所に上がってきてしまい、パンダーランドで大騒ぎを始める。ヒロも付き合いよく写真撮影などに加わっているが、もう深夜だし彼も疲れてるだろうから、と少し気がかり、僕らは僕らでJ達が建て替えてくれている航空券の精算や12月上映の話をしたかったので、奥のスペースに隠れてJを待つのだが、そこへやってきたJは「ちょっと今日は人が多すぎますし、事務的な話は明日の朝でどうですか」などと言うのでさすがに僕ら、というかイマイズミコーイチが耐えきれなくなって「じゃあいい、帰る」と言い出す。こうなるともうしばらくは何を言っても無駄なので自分は大人しくそれに従う。さすがにJもイマイズミコーイチの顔つきが変わったのに気が付いて慌てて私も行きます、と既にドアの所に行ってしまった僕らを追って靴を履いているが、自分は部屋に戻ってヒロくんに「ちょっと先にホテルに帰るから、ごめん後のことはJとHに頼んでおくね、カラオケ行ってもいいけどくれぐれも気を付けて、出来れば自分だけでも戻ってくる」と早口で伝え、状況がよく判っていない酔っぱらい集団(…もう)を尻目にずんずん歩き出したイマイズミコーイチの腕を掴みつつ、夜の香港~それは眠らない街、とかナレーションを付けている場合ではなかったほらほら信号では止まんないと。

 ホテルの前まで付いてきてくれたJに、「あとは自分が面倒見るから大丈夫(じゃないけどだいじょうぶ)、それよかヒロが安全に戻れるようにだけ、どうかよろしくね」とだけ言って別れ、部屋に戻った。Jも決して自分勝手な人ではないが、人が良くてかつ人あしらいが下手なんだろう、相手が酔っぱらいというのが不運でした。やや落ち着いてホテルからJの携帯に電話をかけて長々と話をし、とにかく明日中に全部済ませる約束をして切った。しばらくして実に頼りない感じでぽぴーん、と呼び出しベルのようなものが鳴り、開けてみるとカラオケに行ったはずのヒロくんが立っていて、「だいじょうぶですか?」と言いながら入ってきた。聞けば今からカラオケはさすがにしんどいのでナシになり、明日お昼を一緒にしましょうという事になったのそうで、わしもその方がいいと思う。ホテルまではあの酔っぱらい集団の中の誰かが送ってきてくれたそうでま、近かったからいいけどともかくは無事で、お帰りなさい。ヒロくんは手持ちの香港ドルがちょっと足りなくなってきたというので比較的余裕のある自分が数千円分を換え、もう2時半だしおやすみなさい、と部屋に送っていったらまたしても電気がすぐ消えてしまって(以下略)。


ふ~


2007.1121 香港へ
2007.1122 第一回上映、オープニングパーティー、取材1件
2007.1123 被取材4件、第二回上映(追加上映)、取材1件
2007.1124 取材1件
2007.1125 被取材1件
2007.1126 帰日