2010.0603 木
パスポートも二周目に入り、まあ充分過ぎるくらいに飛行機には乗った、ああ乗った乗ったと思ってましたがそれは全て国際線、国内長距離移動はもっぱら深夜バス、という要は国内線に乗った事が無いので羽田空港というのはブラックボックスで、東京に住んでもう10年近くになると言うのに羽田空港は何区にあるのか、そうですか大田区ですか、つうところでまた全く馴染みのない土地であるだけにどのように行ったら判らんので路線検索、なんか1時間以内で着くらしいですけど本当ですか。じゃあ今回は成田じゃなくて羽田ー金浦便にしましょうか5000円くらい高いけど、と航空券を取り出発当日、私鉄とJRを乗り継いで、京成の品川駅でイマイズミコーイチと合流して初めてのハネダクーコー国際ターミナルは「なんもない。どうしよ」と約束より30分くらい先に到着してしまった主演俳優Hくんからのメールにううむ、と唸りつつ仕方が無いので第2ターミナルから無料バスに乗って国際ターミナルへ、ホントだなんもない。国内線ターミナルはさすがに色々あるっぽかったが(そばが食べたい、とぶつぶつ呟くイマイズミコーイチ)寄って行くほどの時間はないのでHくんと喫煙所でぼんやりしてからやや遅れてきた同主演女優のほたるさんとも合流し、早々に出国手続きを済ませる。異様に緊張感の無い感じで荷物を預け(いつものこと)入った先はこれまたよく言えばコンパクトで免税店…だけか?出発までかなり時間があるのでさすがにこれは、と思っているとイマイズミコーイチが「小粋なカフェを発見しました」と小走りで報告してきたのでではそこに参りましょう。「その紅茶のカップに添えてあるお菓子はおまけ?」「とんでもない120円もしましたよ」というお店でした。フライトは2時間半くらいですが機内食は出るかねえ、まあ食うのは止めておこう。
いきなり意気消沈してるみたいにも見えますが、そうでもない。やることなくて
今回乗るのは初のアシアナ、なんだけど往路は全日空とのコードシェア便なので機体は全日空、4月の香港、5月のリスボンに続き毎月ANAに乗ってるがマイレージクラブはUAなのでマイルが2倍キャンペーンとか言うのは関係ありません。つうかいい加減もういいよマイレージはよ、と言いながら貧乏人はこの資本主義の滝壺からまだ抜け出せていません。そんな事はどうでもいいのですがアナなんだかアシアナなんだかの機内では飲み物と食事がいっぺんに来て(時間ないからね)映画を観る時間も無くあっ、という間にどすん。家を出たのが1時半で金浦空港到着が6時、すげえなあ。いつも使っている仁川空港は広くて真新しいのだが金浦はさすがに年期が入っているというかベテランっぽい建物で、平日のせいか別に混雑もしておらずすんなり入国。当座と言う事で4人で1万円だけウォンに換えてから、ほたるさんは「携帯借りてきてみる」とどこかへ消えて行き、自分らは喫煙所で時間をつぶす。3年ぶりですけど、まだあんま韓国ぽく無いねえ、とどうしようもない会話を交わしつつほたるさんが何だか懐かしい感じの携帯電話を持って戻って来たのでさて行きましょうか、映画祭からの迎えは無いので自力でホテルまで地下鉄に乗らないといけない。果てしなく続く動く歩道(すんごいゆっくり)の果てに地下鉄5号線の駅はあって、さて切符はどう買うのか。3年も経つとシステムがえらい変わっている。切符はタッチ式カードになっており初回は500ウォンのデポジット込みで自販機で買うのだが、券種を選んで行き先を選んでお金入れて…というのを4人それぞれやると後ろに並んでる人がイライラするかな、と自分がまとめて4枚買う。幸い日本語画面にも切り替わる事が判ったので(各国語による案内の垂れ幕がそばにある)何とか購入して「ピ」。
ここからホテルのあるアングクまでは1回乗り換えればいいだけ、というより路線図で見るともう少しうまい行き方もあるみたいだけど大荷物抱えてあんまり何度も乗り換えしたくないので20駅以上先まで乗りっぱなしということにする。「のりすごしたらこわいから、おちおち寝てもいられ」まで言いかけたイマイズミコーイチは次に振り向くと熟睡しており、向かいに座ったHくんとほたるさんも最初は車内が珍しいらしく写真撮ったりとかしてましたがやがて普通の乗客のようになり、45分くらい乗ったろうか、鐘路3街で3号線に乗り換えて1駅、アングクに着く。とここで関門が。一番先にゲート(脇に付いてる3本の鉄の棒が回る式)に入ったイマイズミコーイチが「回らない」と言っている。あれ、と自分も続くとやはり回らない。切符を買う時にちゃんと「Anguk」にしたのでお金が足りない訳でもない。困って(騒いで)いると2人組の女の子が近づいてきて「日本人ですか?」と日本語で話しかけてくる。もう一人連れの子は韓国人らしいが何やら言ったのち、日本人の子が「多分ゲートを間違って隣のセンサーにタッチしちゃったか、もしくは時間が経ちすぎて止まっちゃったみたいです。これは一回券なのでもう残額が無いし、彼女が駅員さんを呼んでくれると言ってます」うへえ俺ら素人。というかご親切にありがとう。じゃあHくんほたるさんは多分大丈夫だから、と試してもらうと問題なくゲートは回り、ただハバカリーズのみ残れる。韓国の子は何やら改札の向こうの部屋に向かって叫んでいたがやがてどう見ても普段着なおっさんがやってきてロックされている別のゲートを開けてくれた。3年ぶりの韓国で最初に発語した「カムサハムニダ(ありがとう)」は自分の過失によるものでした。助けてくれた2人組(日本人の子はやや関西っぽいアクセント)にもお礼を言って着いて早々現地の皆様とのふれ合い旅、先が思いやられる。
喫煙所の窓ガラス越しに見えたのは車、そしておっさん@金浦空港
懇切丁寧なガイドブックとグーグルマップにより行く先は特定できているのだが、6番出口…と出た先はこれまで何度も、というか最初に来た時にもここだったような気がするねえという辺りで妙に懐かしい。映画祭が予約しておいてくれたという「ゲストハウス」はインサドン、何つうんだろう浅草寺のない仲見世みたいな通りでこれまで何度も来てましたがその通りからちょっと入ったところに…おいおい「ちょっと入る小道」がやたらありすぎて全然判んねえぞ。外国の地図は縮尺がピンと来ないので取りあえず進行方向左側、と通りの起点にあるインフォメーションセンターでほたるさんがもらっていた地図もあわせて3種類くらいを付きあわせ、過去に何度も来た事のある辺りをうろうろ、風情のある石畳ふうの道なのでキャスターを転がすのが厳しいねえ、と路地の行き止まりで小休止して、じゃあここで待っててちょっと探してくる、と荷物を路上に置いた瞬間まさにその向かいのビルの入り口に(多分マジックペンかなんかで)書かれた「55-1」という番地らしいものが眼に入り、あれ、ここかな?郵便受けには何も書いてないけど…と3階らしい入り口まで階段を登って行くとそこはアクリルのドアが閉まっていて開かないようになっている。インターホンがあったので押すと「お名前は」みたいな声が英語で聞こえ、「イワサです」というと「ちょっと待ってて」と言う声がしてしばらく、メガネをかけたおっさんがととととと、と降りてきた。場所は合っていたらしい。透明な扉が開くと4人で荷物をうんうん言って3階に上げ、おっさんは英語で矢継ぎ早に説明を始めた。
ゲストハウスに泊まるのは初めてでよく判っていなかったが、要は部屋は独立して鍵がかかり、トイレとシャワーは共同。3〜5階までがこの人のもので、僕らは3階の部屋を使う。「予約のあった部屋はこことここと…」と示された部屋はダブルベッドの部屋が2つでシングルベッド1つ、自分とイマイズミコーイチがダブルで残りの2人が1部屋づつ、なのはいいんだがダブルベッドね…というのは自分は大変寝相が悪いので(そりゃもうひどい。ひどすぎる)ツインベッドの方がいいんですがありますか、と聞くと「いいよ、じゃあ変えますか」とその場で変更になり、「では値段は…、ああでも変わりませんね、では3部屋4泊で540,000ウォン(今回のレートで¥42,000くらい)を前払いなんですけど現金ありますか」と聞くので値段に異存はないものの今はそんなに持ってない。「カードでは」と一応聞くと「使えなくもないんですがコミッションを取られてしまうので高くなっちゃいます。じゃ、いいですよ明日のお昼までに持ってきてもらえれば」とオーナーのおっさんは鷹揚で、すんませんそんでは明日の朝イチで銀行で両替いたします。「ここにあるものは何を使ってもいいですが、食器は使ったら洗ってください。乾燥機付き洗濯機もありますが終了後に熱くて扉がしばらく開かなくなった場合はここの秘密スイッチを…」といった調子でおっさんはどんどん説明を続け、なるほどキッチンもPCもドライヤーも何もかもあって、シャワー5カ所にトイレ3カ所あればまあ大丈夫かな。ちなみに各部屋のドアは番号式のロックで(ハイテク)、客が来る度に変更している。「カバーを上にスライドさせて番号を入力、カバーを戻すと開きます。一番下のドアも同じ要領で番号は…」とにかくハイテク。憶えられんのか。
着いてみればこんな感じで夕暮れ
それぞれの部屋に荷物を運び込んでちょっと落ち着いていると、ほたるさんが空港で借りてきた携帯が鳴っている。出てみると映画祭ディレクターのドンボムからで(空港で「着いたよ」と電話していたのだった)、「着いた?部屋は大丈夫?」と聞いてくるので「大丈夫大丈夫、で、今日は会えるかな」と聞くと「もちろん。今からゲストハウスに行くので待ってて」と言う。明日が映画祭の初日なので無茶苦茶忙しいはずだがやはりここは会っておきたい。どこにいるのか判らないけど会場の映画館だったらすぐ近くのはずだ。1時間弱で来るそうなのでじゃあそれまで休憩、ということで荷物をばらし、日本から持ってきたちょこっとした土産などを紙袋に詰める。などしているうちにまた携帯が鳴り「着いた」つうことでドアを開けてお迎えする。彼は以前東京に来た時に会っているので久しぶりのようなそうでもないような。スタッフの女の子も一人一緒に居る。「おなか減ってませんか、夕飯に行きませんか」と言ってくれるのだがさっき遅めの機内食のせいでものすごく空腹…ではないもののこのまま何も食わないのはね、ということで2軒先くらいの韓国料理店に入る。ほいだらビールとか何やら、と酒を頼んで、空腹らしい映画祭スタッフ2人はそれぞれビビンパを頼み、あんまり食わなくていいよね、とか言っていた自分らはチヂミ+つまみのような感じでしおしおしていたのが彼らのビビンパを見てイマイズミコーイチとほたるさんが「やっぱ頼む」と同じものを注文し(香港の時もそうでしたがほたるさんの恒例「食いもん来たらまず写真」を経)結局もりもり食ってマッコリとか呑みつつ、明日は何時に劇場へ行けばいい?という最低限の業務事項を確認してじゃあ明日、と早めに切り上げた。ドンボムは直前まで入院していたそうなのだが(映画祭にあわせて無理矢理退院したんではないのか)、くれぐれもお気をつけて。
時間はまだそんなに遅くないのでお茶でも、と自分らは記憶を辿り、3年前に現地の友達に連れて行ってもらった伝統喫茶を見つけたので入ってみる。1時間もしないうちに閉店みたいだけどちょうどいいかもね、と座敷の方に上がって一息。自分は懐かしの韓国緑茶を頼み、水色が薄くて独特な渋みのお茶をすする。しばらくぼんやりしたのち(今回のツアーはどっちかというと全員そんな感じ)明日の上映までの行動予定を何となく決めてからまた通りに出て、「寝酒が」というほたるさんを筆頭にセブンイレブンに入って自分はアイス(冷静に考えるとかなり高価)を買い食いし、またたらたら歩いてゲストハウスに戻ると玄関に女物の靴があった。オーナーのおっさんはさっき「君たちのフロアにはあとカザフスタンから女の子が一人来るよ」と言っていたのだがその人だろうか。自分らの部屋は扉がコの字型に並んでおり、向かって右から反時計回りに自分とイマイズミコーイチ、Hくん、カザフスタン嬢、ほたるさんとなっているのでまあそのうち会うかも知れん、とそれぞれシャワーを浴びておやすみなさい。
あんまり失敗作なので載せてみました。しかしここまで韓国っぽい写真が皆無。
2010.0603 羽田発金浦行き
2010.0604 上映一回目
2010.0605 ぐるぐる
2010.0606 上映二回目
2010.0607 金浦発羽田行き