2010.1113 星期六

 9時に起きる。何故かといえば朝飯+だからです。朦朧とした頭と顔のままふらふらとフロントデスクと同じフロアのまた何ともラグジュアリーな、ということはわしらは当然のように場違い、と言う事ですがお食事処はここでそしてそれは私たちのせいではないので気後れ、など、はせず…ただし何だ、異様に広いが空いてる席がほとんど無くて大繁盛、ようやくテーブルを見つけてお茶を頼んで、奥のカウンターでご飯をもらってくる。あまりにたくさんの美々しい(またトレイと照明が絶妙)食物が所狭しと並んでいるので本当は一週間くらいかけて全種を頂きたいところですがそんなにはいられないので思いつくままに皿に取って、たいわんというのはいいところだね、と見当外れな感想を述べ合いながら不断は朝にこんなに詰め込んだりしないのですけれど、夜までちゃんと食べられるか判んないしね、(と経験上)。クローズ時間ギリギリになって香港メガネ2人組がわたわたとやってきたので、自分らはほぼ食べ終わっていたが同席する。相変わらず料理の食べ方が独特に妙なジョナサンの食事をぼんやりと眺めて、今夜の上映の打ち合わせをする。とは言っても会場は同じだし昨夜で感じは判ったので取り立てて「問題無し」、今日はマコに観光に連れて行ってもらうことになっているので心配ないよ、と告げて外でタバコを喫い(雨が降ってた)部屋に引き揚げた。

 戻って少し寝る(少しでも自分を甘やかそうという根性である)。起きて午後1時半、マコに電話する。「では、3時にホテルまで迎えにいきますね」と言ってくれるのでお仕事とは言え申し訳ないが下手に動いて迷子になってしまっては更に迷惑なので大人しく準備を粛々と進める。今日は夜の上映が終わるまで帰れないかもしれないからだ。イマイズミコーイチは映画祭バッグに着替えセットを充填している。自分は、と言えばバンクーバーの古着屋で買ったオリンピックTシャツ(サイズはキッズL)一枚、これでも別に寒くはない11月。マコが来たので一緒に階下に降りてその辺(喫煙所はどこにもない)でもう一服して、ホテルは大通りに面しているのだが本当に大量のバイク、でみんなマスクをしているのだけどそれが揃いも揃って有色なので自分には異様に見える。道行く人も白いのしてるの見た事ないし、とマコに言うと「まあファッションなので。台湾では逆に白の方が珍しい(何か感染性の病気の人に思われる)かも知れませんねえ」だそうで台湾の人が花粉の時期に日本に来たらやっぱ異様なものを感じるのかもしれない。路面は微妙に濡れているが一応降ってはいない。さて電車に乗ろう。


青トークン

 本日の目的地は博物館学芸員資格というほぼ無意味なものを無駄にお持ちのわたくしの強いご要望により故宮博物院でございます。一昨年は北京のにも行ったし、と行く前からご満悦で地下鉄は最寄り駅の「士林」まで乗って、そこからタクシーのようなんだがマコはどこかに電話している。映画祭が提供してくれる車があるらしい(ただの観光なのに)。駅の近くには「小熊の木屋」という名前のよく見るとどうやら喫茶店がある。日本語使ってる、という事よりも木屋ってのは何屋。しばらく待っていると車が廻ってきたらしいので乗り込むと、何故か中国語で歌う「リンゴ追分」が流れる車に乗って、微妙に雨の中を山に向かう。わざわざ私が説明するまでもないので完全他人任せで故宮博物院とはこんな感じです。にて説明終わり、にしたい気もしますが一言だけ言おう。

白菜。

 …何て言ったらいいのか、訪問時の展示はたまたま、やや、わたくしには渋すぎました。焼き物とかがお好きな方には堪らないと思うのですよ。これもすべて私が渋くないのがいけないのでちゅうごくよんせんねん中華三昧、でもまあこれで台湾と大陸の故宮には行ったんですからこれ以上の事はありません。イマイズミコーイチも別に倒れたりしませんでしたし。帰りはバスと地下鉄を乗り継いで(途中甘味処で豆花紅豆つうゼンザイのようなもの但し餅じゃなくて豆腐、を吸収しつつ)ホテルに戻…ったのかどうかは忘れました。とりあえず近くまでは来て、開催意図が不明なジョナサン企画による夕食会@真川味、ここはどうも有名な店のようだがわしらはなんで初対面の中国人に囲まれて中華料理を喰ってるんだろう、という微妙な晩ご飯。いま思い出しても本当に意味が判らないがこんな事くらいはもう、いいのよ(…いいんだ…)。さてこのあと2回目の上映はかなり深夜なのですがもちろん立ち会います。一旦劇場に寄って軽く、だったらいいのだけど相手がジョナサンなので徒労の打ち合わせをしてついでに上映前の舞台挨拶をしてから気付けばまた西門紅樓で酒を飲んでおります。何でか(ごめんね)昨日会ったジョンソンもおり、昨日と同じく雨上がりの飲み屋でぐだぐだしていると視界の端っこに何だかちょこまかしているカメラを持った小憎が入り、やがてそいつは近づいて来て僕らに声をかける。「自分はいま1000人のキス写真を撮っている。もし良かったら、映ってくれない?」だそうでああいいですよ、と酔いも手伝って全く理解していないままにぞろぞろと立ち上がる私たち。


あっさり

 「ではあなた」と塩澤さん(すみませんいつからご一緒だったのか記憶が…)が指名される。ああこれは「キスしてるカップル」を1000組撮る、というプロジェクトなんだな、と私は勝手に思い込んでいたのでしたが小憎は側にいたジョンソンへやにわに自分のカメラを手渡すと頬にチュ、とかしだすのであああああこりゃ「(ボクが誰かに)キスしてるショット」を1000枚撮る、というプロジェクトなんじゃあねえかあああああ繁りやがれ、と思いつつも乗りかかったので今更、とイマイズミコーイチ、わたくしとお鉢が廻って来て銘々なんか紙にメッセージを書いて持たされた上に小憎にキスされる様を続々と(ジョンソンに)撮影されてお仕舞いになりました。どさくさに背後で嬉々として私用で撮ってたジョナサン+ヘンリー(本当に悪いんだけど、君らはいつからここにいたのかな?)の事は寛容にも忘れてあげます。しかしこの小憎はカメラマンなのかどうか知りませんが自分で撮らずに自分が映る、という辺りが親しみが持てるようなかなり遠いところにいるような、撮影されながら内心やっぱ頬に軽く、てのでは弱いので下唇を舌で舐め上げるくらいの事しないとインパクトが…と別にこの小憎と、つうわけではなくてキスとはなにか?と逡巡しつつでも千分の一だしね。別れ際にこのプロジェクトが完成したら知らせてね、と言った筈なのですが未だ見つけられておりません。

 撮影も終わったので劇場に戻る。服務台(チケットカウンター)にはそれぞれの映画のスチールのパネルがあってバックライトで煌煌と照らされている。ああ今回一番有名な日本映画は『悪人』なんだろうなあ大盛況だったらしいけど。それはまあどうでもいいのですが冷静に考えると総合的に一番(映画の)待遇と反応がいい映画祭なんではないかしら金の馬。イマイズミコーイチは広いけどお仕置き部屋みたいな控え室で和服に着替え。チケットは完売である(えへん)。しかし客入れ時に皆さんアンケート用紙みたいなものに何事かカリカリ書かされていましたがあれなんですかね、とこの映画を選んでくれたプログラマーさんに訊くと「ああ、あれは『私は成人で、自らの意思でこの映画を観ます』という誓約書です。この映画はX ratedなので」だそうでお手間をかけさせて申し訳ありません。そのまた近くには誓約書入れとは別の段ボール箱があって「ビール瓶はこちらに」とか書いてあってみんなビールしか呑まんのか、とおかしいが映画はそろそろ終盤くらいで時刻は深夜0時近くになって「ええと、出演時間です。」と呼ばれてよたよた歩いていき、

Q&Aやりますた。内容は憶えていません。
そして終了後にまたサイン会やりますた。
これもまたよく憶えていません。
すみません、実はこれ書いてるのそれから3年後なもんで。


完売だ4

 さて我々(チームハバカリ+塩澤さん)はこれからいい歳こいてゲイクラブに行くのでありました。ぼくらは3泊4日なもんでね。事前に調べたところでは「JUMP」てのが有名らしいのだけど何人か現地の人に訊いてみても「あ〜JUMP、はもうあんまね〜、ええといま行くなら〜」という事で「G Star」というとこにタクシーで向かう。うむ、確かに流行っている(流行りすぎ)という気がする。てか人が多すぎて動けません。流石にサタデーナイト、と言うべきかいつもこうなのかあらゆる隙間に人が居ますがまあメインは大学生くらいかなあ、これまでの海外遠征では(映画祭主催パーティーとかを除くと)いつも行ったけどがんらがら、てのが定石だったのでもう少し嬉しくても良さそうなもんだけど、とにかく人が多すぎてですね、しかもめいめい知り合い同士が@学食みたく楽しげに話をしているだけなので3分ていど眺めるくらいでいいかしらね入場料も安かったし明日は上映ないから宣伝することもないし、と早々に退散して塩澤さんは「行った事がある」JUMPにタクシーで移動。こっちの方が馴染む感じではありました。が同時にわたしが「(ゲイ)クラブ」に求めているものって何なんやろ、とも思いましたがそれはいつものこと。タクシーでホテルに戻ったのが午前4時過ぎ、手にははしごした2つ分のスタンプが押されている。


ぺたんぺたん

2010.1112 羽田発松山行、上映一回目
2010.1113 上映二回目
2010.1114 三泊目
2010.1115 桃園発成田行