2002.12.06 a sexta-feira
起きるとボリが、「夜中腹が減った時のために24時間空いてる近所の海苔巻き屋を教えておく」と言うので連れ立って出かける。昼間の住宅街ものどかでいい感じだ。いろいろ話ながら歩くが「近所」の海苔巻き屋にはさっぱり着かない。かなり歩いてやっとたどりついたが、それにしても遠いよ。ここはテイクアウトとイートインと両方やっており、無理矢理例えれば吉野屋とか松屋みたいなかんじで海苔巻き他を売っている。店の入り口でおばちゃんが膨大な量の海苔巻きを作っていて気が遠くなる。メニューはもちろん韓国語オンリーなのでボリに頼んでもらう。ここ、いろんな意味で自力では利用できなさそう。
今日はまず一回目に上映の映画「祝福」を観る。以前この元となる作品を観ていたのだが、格段に判りやすく面白くなっている。終映後に会場で、さっき買った海苔巻きを食う。すごい好きな味で感動する。旨かったのは、牛そぼろのはいったのと、卵で巻いたヤツ。さて次が「ノーティボーイズ」の上映(2回目)。時間はあんまり良くないがそれでも結構人が来てくれてうれしい。超ディレクターが言うに、どうも韓国語のタイトルが「淫乱少年」みたいなニュアンスの言葉だったようで、「タイトルで期待して観に来た人はがっかりするかも知れん」などと言っていた。ううむ。インターネットでのチケット完売ってのはこういうからくりか?でもみんなエロ見たいよね。って誰に話し掛けてんだ。がっかりの人が何%いたのか判らないながら、前回と同じくお客さんは良く笑う。そして似たような質問が出る。音楽に付いて「アニメを連想させる」という感想があって結構新鮮でした。しかし超ディレクター、いつも何の前触れもなくいきなりシメのお言葉を延べだし、なおかつどんなネタなんだかえらく受けをとっていたのが解せない。観客動員は、昨日と2回併せて380人くらいと聞かされる。一番人気の「藍宇」に次いで2番目に多い入りだったそうだ。優秀優秀。続いてイマイズミコーイチが主演した映画「天使の楽園」の上映。上映前に挨拶を済ませて、映画は観ずにW嬢N嬢と昨日ミノさんと行った伝統喫茶へ行く。僕が道を間違え15分くらいしかいられなかったが、N嬢が頼んだお茶がなんか薬湯みたいなとんでもない味で、N嬢一口飲んでは「これはすごい」とか言っていた。イマイズミコーイチは会場へトンボ帰りして上映後のQ&Aに立ち、監督でもないのに作品の背景とか答えなくてはならなくなって結構苦労していた。通訳の子も「へテロセクシュアル」とか「セクシュアリティ」とかの語を使い慣れないらしく(その上「アンチヘテロセクシュアリズム」などと言われた日には…)これまた苦労していた。どちらさまもお疲れさま。
さて今日はこないだ映画に出たいと言って来てくれたアウトくん(仮名)と待ち合わせをしていたのだった。約束通り彼が来る。さて次の回の上映が始まりロビーがスタッフだけになると、おもむろに受付のテーブルを移動させはじめ、どこから持ってきたんだか超ディレクターがケーキを切り分けはじめる。理由を知らされないままみんなでケーキを食う。半冷凍のチーズケーキみたいなのですごいうまい。いやいや。さてアウトくん、約束では彼のウチで撮影させてもらう事になっていたのだが、急に彼の両親が来てしまったとNGになってしまった。そして彼が知り合いのやってるゲイバーのスタッフが興味を持ってるからまずそこに連れて行きたいと言うので、スタッフ数人、W嬢N嬢、IちゃんKさんと連れ立ってタクシーで新村(シンチョン)に向かう。ここはいくつかの大学に近く、そう言われると学生街みたいだ。降りたところに近い店に入ると、時間が早いのでお客は皆無。日本にいた事もあると言うカッチョいいマスター(っても20代)の助けを借りてアウトくんと打ち合わせ、つうかこちらの製作意図を説明してもらう。その合間に店で同行スタッフも撮影。サービス精神溢れるアウトくん、近くのパン屋でバイトしてるそうでそこのパンとケーキを持ってきてくれる。ホールケーキにロウソクを一本だけ立ててみんなで吹き消す。意味無し。これまた旨いチョコレートのケーキ。さっきからもじもじしてるKさんにビニール袋を与えると、嬉々として食べ残しのパンを詰めていた。「帰りの飛行機で食べるの~」だと。無駄のない人生を送ってくれ。
マスターにお礼を言って店を出て、僕とイマイズミコーイチ、そしてアウトくんの3人でアングックのホテルに向かう。W嬢N嬢の部屋を使わせてもらうためだ。しかしタクシーで着いた辺りから道に迷って、彼も地元の店に片っ端から飛び込んで聞いてくれるがなかなか埒があかない。するとなんと道の向こうから超ディレクター一行が歩いてくる。彼らに方向を教えてもらって歩き出すがまた迷う。すごく判りにくいとこにあるみたいだ。もう何人目だかのおっさんに教えてもらってようやくたどりつく。部屋で休憩してから撮影開始、正味1時間半強。これまでの出演者はポートレート的な絵を何秒か撮ってただけなのだが、彼とはそれ以外も撮影する。成果は、完成作品をご覧いただくという事だがそれはいつになるのやら。通りでタクシーを拾う彼を撮影がてら(別れのシーン、ってやつね)見送ってさあ帰るべ、と振り返った瞬間迷う。やべえやべえ、となんとか戻って深夜1時。WさんNさんごめんなさい。約束を1時間オーバーしました。昨日と同じ道をタクシーでイテウォンに戻る。車中でも風景撮り。車に酔う。ボリの家に帰る途中で通るゲイバー地帯、ボリが「Homo-Hill」と呼ぶ所を通ってみるがほとんど人がいない。週末は人で溢れると言ってたが本当か。
会場付近の路上で。これは何かというと段差解消の為に敷い
てある発泡スチロール板。道を通るトラックがこれを踏むたび
に何ともいい音がします。