title

2003.0621(Sat)

 10時くらいに目を覚ます。扇風機しかないので、さぞかし暑いだろうと覚悟していたのだが実際はそんな事もなくて熟睡、と言いたいところだったのだけれど、やたら強力な蚊が頻出してそれも足の裏とか指の爪の付根とか噛むもんで、結局何度も起きてしまった。日が出てから眺めてみると、屋上からの景色はすんばらしいものでした。約束の時間正確にS君が来て、これから出勤だと言う。安国(アングック)というところまでバスで移動する。バス、運転があまりにも力技で度々飛ぶ。ここでJ嬢と待ち合わせて、近くの喫茶店で朝飯。イマイズミコーイチがアイスカフェラテ、僕がアイスティーをそれぞれ頼んで、僕はアイスティーを受け取って席で飲んでたが、いつまでたってもカフェラテ来ず、イマイズミコーイチがカウンタを見てもおばさん店員が「なに?」って顔をするばかりなのでS君に注文が来ない旨を伝えてもらうとあわてて作り出す。忘れていたらしい。呼ばれて取りに行ったイマイズミコーイチが不可解、という顔をしてプレート持って戻って来て、見るとカフェラテとアイスティーが乗っている。僕の分までまた作ってしまったらしい。飲んでみてもやはり同じ。2つも飲めないのでS君にあげたが、とてつもなく甘くて、不自然なまでにフルーツの匂いがする。屋台のかき氷を溶かして飲んでるみたいだ。ここからすぐのアートセンターで働いているS君を見送って、J嬢にホテルまで連れて行ってもらう。出来るだけ安いトコで2泊、教えてもらったところは一部屋2泊で6500円くらいで一人一日に直すと1600円くらい。3人で水など飲みつつ、午後どうしようかとガイドブック見ていたが、J嬢、ソウルの南半分はまだ行った事がないだろうと地図を指差す。そう言やそうだ、と何度か聞いた事のある狎鴎亭(アックジョン)に行ってみようかと思う。ソウル南部は新興開発地区で、狎鴎亭はその中でも東京のアオヤマみたくなってると聞いたからだ、と言うとJ嬢、「それは昔の話で、今はさびれてしまった」ですと。それならばなおの事見たいので、地下鉄で河を渡る。漢江(ハンガ)という河はバカにでかい河で渡り甲斐がある。

03
こんなロッテリアでしたが、どうでしょう。

 行ったのが平日の昼間ということもあったけれど、言われた通り活気無し。町並みはすっきりしているけど、テナント募集中のビルとか多くて、とても西欧的なスカした建物に明らかに後で入ったようなロッテリアがあったりやたらコンビニがあったりでうれしい。でも恵比寿ガーデンプレイスなんて最初からマクドナルド入ってるしな。サンリオショップもあったな。これもブランドショップか?資生堂とかメナード(このメーカーを目にしたの、久しぶり)もあり。さてあまりに暑いのでイタリアンレストランつうものに入る。イマイズミコーイチは旅行中「スパゲティが食べたい」という考えが頭から離れないらしく、ここは韓国だよ、といくら言っても何かする度にスパゲティスパゲティミートソースと言っていて、ここでやっとミートソーススパゲティを注文する。出て来たものはパイ皮に包まれたミートドリア(ただし米じゃなくてパスタが入ってる)みたいなもの。おいしいけど、とにかく味が濃い。店内やたら高級そうで、料理の値段は日本のこういう店よりは安いか、って程度だったけど、ま、高いかな。客が少なかったせいもあるけど、店員もよく気が付くいい店でした。韓国の友達はこういう時みんなオゴってくれそうになるのだけど、さすがに悪いのでダッシュで先制して会計を済ます。「奥様ここはわたくしが」「いえいえとんでもない」っていうネタみたいな事を毎回やらないといけません。支払いは戦い。

04
集合場所は公園前。
 
 さてパレードは4時から。地下鉄で錘路3街に戻り、歩いて会場のタブコル(パゴダ)公園前に向かう。暑い。繁華街だから普通に混んではいるのだが、参加者らしい人もすでに結構居る。歩道にもあちこちポスターが貼ってあって、路肩にはレインボーカラーのトラックが並んでいる。しかしその運転手はどう見ても当事者とは思われない普通のおっさん達で、もしかしてトラックともどものレンタルかも。集合場所と言ってもただの歩道なので、もちろん通るだけの人、普段そこで露店やってる人も無論居て、その人たちが次第に参加者にかき消されて見えなくなっていく様は見物ではありました。特にでかいパラソルの下で姓名判断やってるおじいさんなんか潰されないかとヒヤヒヤしました。車道に近いところには揃いのブルーのTシャツ着たスタッフが物販コーナー開いていて、そのTシャツとか売っていたのでお土産に買う。なかなかかわいい。J嬢はスタッフに知り合いがいるらしく紹介してくれる。去年の冬「ノーティーボーイズ」という映画をここで上映した時に来てくれた人もいたらしくてなんかうれしい。仕事を終わってきたS君も来る。彼はなんか衣装を考えていたらしいのだが、結局時間がなくて普段着。直前までやっぱビキニかなあ、とか言ってたらしいけど。現場には取材の人も結構来ていたけど、もちろん写真を撮られたくないと言う人もいる訳で、そういう人は赤いリボンを身につける事になっている。そう思って見ると回りは赤いリボンした人ばかり。これじゃ参加者ピンの写真なんて撮れないんじゃないのかなあ。僕も持参のカメラでバシバシ撮っていると、スタッフの女の子がやってきて「撮ってはいけない」と言う。仕方ない、と一旦カメラを引っ込めると、しばらくしてJ嬢が何やらパスのような物を持って来て、プレス証だと言う。さすが。なので取材陣にしてはあまりに一般人ないでたちで撮影再開。4時はとっくに過ぎた頃、トラックに登ったいかにも活動家、って感じのメガネ掛けた女の人がスピーチを始める。もちろん何を言ってるのがさっぱり判らないがこの人がまた喋る喋る。まったくテンションを落とさずに何度もこぶしを振り上げてシュプレヒコールをするが、観客も同じテンションで何度も「ウォー」とか言ってるので段々疲れてくる。日陰が、欲しい。ようやっとスピーチが終わって、彼女の紹介でトラック上に積まれたバンドが演奏を始める。このバンド、ヴォーカルの女の子(多分)が血糊の付いたヴェールみたいなの被ってて、歌い出したら取るのかと思っていた。なんかすんごいメイクとかしてたりね、と思って。が、そのまんま。また曲がカッコに似合わずえらい普通。そんでもってあんまり上手くない。どうしましょう。と、違うトラックでは「衣装」付けた方々が5人くらい、横断幕みたいなのを持って写真撮影に応じている。人がたかっているので隙間を縫って間近で見ると、確かに派手な衣装なんだが「ドラァグ」と呼ぶのをためらわせるもので、何でだろうと思って見てて気付いたが、顔つきが日常の顔、なのだね。メイクが作り込んでないのもあるけど、それより何より非日常的な装いをしているのに「ナニカになってる」という意識が薄いと見た。トラックに登ってなかった、去年ちょっと会った事もある男の人なんかは黒のワンピに濃いめの化粧、って同じ程度の化け方ではあったけど、それでも車上の人たちよりは「異物化」してて面白かったのだけど。
05
YMCA前なので。シェーではありません。

 その内僕らがきっかけに気付かないくらいの合図があったらしく車が動き始める。しばらく眺めていると目の前を白いタンクトップ(背中にピンクトライアングル付き)で白い短パンの男の集団が隊列を組んでヴィレッジピープルに合わせて行進して行く。やはりこういう人たちが居ないとね。歩道から道路を撮影していると、その脇の車道をサイクリングサークルらしい集団が通ろうとして、パレードに驚いて止まってしまった。しばらく眺めていたが、やがて信号が変わって行ってしまった。何台目かのトラックが動きだした時、S君が「行こう」と手を引っ張るのでようやく路上に出る。S君はせめても、って感じで首に赤い蝶ネクタイ状のでかいリボン結んでてかわいい。東京もそうだけど、完全に車両通行止めに出来てるわけではないので(というか、許可は取れたのか?)、ちょっと歩くとすぐ止まってしまう。トラックの上からはでかい音楽が流れて来てるので、間が持たない気まずい感じはあまりないのだけど、行進という気はしない。沿道はどちらもすごい見物客だ。それでも割と見ている人は面白がってる感じで、素直に笑って見てるような男女のカップルとかもいました。途中、YMCAの宿泊所に差し掛かったあたりで、ヴィレッジピープルの「YMCA」が掛かったので(偶然じゃなかろう)みんなで腕振って歌う。それが一番面白かった。途中ダレてくるとトラックの上で激しく踊ってくれる女の子がいたけど、彼女も良く見ると腕に赤いリボン。盛り上げてくれていいんだけど、ここまでやっても撮影されないと思ってるのかな、と少し不安になりました。パレードコースは、正味1キロも無かったと思う。それでもしょっちゅう止まるので結構長い事路上にいたような気がするが、どこかの交差点で終了。「ここで止まらないで脇道にハケるように」と言ってるらしいのでみんなに付いて歩く。広場みたいな所にでて、そこで集会をやっている。またバンド演奏始まるが、今度のはなかなかいい曲やってて気持ちいい。曲調はすごく晴天下にそぐわないエレクトロニカポップスみたいのだったけど。さすがにヘロヘロになってるS君がどっかからチケットを2枚持って来てくれて、「今夜”フリー・パーティー”というのがあるからこれで入りなさい」と言う。ありがとう、とS君がデザインしたという微妙に財布に入らないチケットを捩じ込み、「またね」と手を振った。
06
フロート、つうか街宣トラック

 コンタクトの調子が悪くて一旦帰るというJ嬢と別れて、ホテルに戻る事にする。疲れたのでシャワー浴びて昼寝。起きると夕方の筈だがやけに明るい。そういや明日あたりが夏至か。でもそれにしても。J嬢とは9時に待ち合わせ。パーティーは梨泰院(イテウォン)という繁華街。早めに行って何か食べておこうかと8時くらいに着いて、前回行った海苔巻き屋を自力で探そうとしたのだが見つからず、どうしようかと言ってるうちに待ち合わせの時間になってしまった。仕方が無いので会場前に居る事にする。この時イマイズミコーイチの手持ちのウォンが少なくなって来たと言うので、そこら中にある外貨ショップの一つで両替えをする。夜でも空いていて、しかも空港よりレートが良い。これならわざわざ銀行に行こうとしなくても良かったのだね。やや遅れてJ嬢が来て、大通りに面した建物の地下会場に入る。入った時はクラブの一角でショーのようなものをやっていて、聞いたらチケットに付いている番号で抽選会やってるようだった。僕らのは、と見ると1番と2番。しえ〜。無駄に若すぎる番号のをもらっていた。別に整理番号じゃないから若きゃいいってもんじゃないのだけど、記念ブツとしてはいいのを呉れたS君ありがとう。抽選会終わってパレードで見たタンクトップ集団が曲に合わせて踊る。この人たち、至ってフツーの外見なのだが観客はすごい盛り上がっている。シャツ脱いだりするとうねるような大歓声。半ケツ見せとかやってたけど、ううむ。フライヤーに書いてあった「マッチョショー」ってこれかなあ、と思いつつ眺める。フライヤーにはその他「ドラァグファッションショー」「フルモンティーショー」などとあったが、見る事が出来たのはこれのみ。何に当たるのかは確認できなかった。うやむや。クラブパーティーなわけだが、掛かる曲掛かる曲なんか「知ってる」という面白いDJで、つなぎとかも結構めちゃくちゃだったけど楽しい。ブースでDJの顔を見てみたら、なんか妙に無表情で、それでいて音楽に合わせてカクカク動いてる童顔の男の人で何だかおかしい。11時くらいにS君が来て、J嬢と一旦外に出てから、2人はそれぞれ友達と待ち合わせていたようで、一緒に戻ってしばらく踊り、僕らは帰る事にする。韓国の地下鉄は日本より終電が早めで、もう地下鉄の入り口は閉まっている所もあった。タクシーで最寄り駅を言えばいいや、と乗り込むが運悪く錘路3街駅は各線が乗り入れている駅で、ホテルとは大分離れた所に着いてしまい、結構歩いて、そしてやや迷ってやっと部屋にたどりつき、体を洗って寝た。

07
おまけ。




back next