2008.0214, thu
早めに寝たせいか8時に起きて朝食、本日はヴァレンタインデーだからか朝食プレートにハート型のチョコレートが乗っている。杏ジャムがうまい。部屋に戻ると香港Jより電話、もちろん「ハッピー・ヴァレンタイン」ではなくて昨日に引き続きのテープの件である。「現在ベルリンにどういったフォーマットが利用可能か確認しているところです。もしDVCamでもいいというのであれば間に合うかわかりませんが送ります」とのことでではひきつづきよろしくおねがいいたします。Jも来ていればこういうときに心強いと思うのだけど、ちょうど香港は旧正月、一年で一番航空券が取りづらい時期だそうで彼らは断念したのでした。ええと、とりあえずもうお金が無いので僕らからは電話がかけられません今後はメールで。今日で実質最後の田口さん+ヒロくんは5時の上映までフリーということにして朝食以降はばらばら、映画館の場所だけ確認してさようなら。僕らは取材が入っているのだが昨日チケットをもらったブルース・ラ・ブルースの「OTTO」を観たいんだけど行けるかな。
本日はパンもハート型、ドライフルーツ入りでほんのり甘い
さて今日はまず映画祭オフィスビルに行って今日上映の「OTTO」明日上映のマドンナ「Filth And Wisdom」のチケットをもらう。言えば何枚でももらえるのが非常にいい気分である。今日はウィーランドはパノラマオフィスにおらず。さて、本日はクィア映画の賞「Teddy Award」の授賞式なのだがそこにはイマイズミコーイチが招待されている。朝方マリアから電話が掛かってきて「大変申し訳ないのですが、その式典に田口さん、ヒロさん、テッペンさんにはお入りいただけないということが判りました」へ?と思ってよく聞くと、まず受賞式典があり、その後にパーティーがあるのだがどちらも有料で、それぞれにチケットが発売されている。その式典入場券というのが売り切れてしまい、ゲストも多かったこともあいまってチケット確保ができなくなってしまったのだそうだ。「なので、そのあとのパーティチケットは買えるのですが、どっちにしろ3人は式典には入れないの…」とマリアは申し訳なさそう。判ったとにかくパノラマオフィスに行って掛け合ってみましょう。いうわけでオフィスにいた女性に「テディアワードには全員は入れないと聞いたんですが…」と言うと彼女は全然事情が判らないらしくマリアに電話していきさつを聞いている。ごめん、マリア。ややあって彼女は「ハイアットにテディ賞関係のオフィスがあるそうなので、そこで聞くのが一番情報が正確で早いでしょう」とのことでした。テディ賞は全作品のなかから対象作が選ばれるので、パノラマオフィスだと又聞きになってしまうようだった。帰りにefmに寄ってユニジャパンのアイハラさんと会い、テープ破損への対処方法などを話し合う。ぼくらはおたおたしているだけだったがアイハラさんは実務的にどうすべきかを教えてくれるので心強い。日本パビリオンではオレンジジュースをいただいてしまいました。さて、とか思っていたらマティアスから連絡があり、「今日の取材は延期になりました」ということでこれで晴れて映画に行けます。
ホテルに戻り、ちょっと昼寝。早めに眼を覚ました自分はイマイズミコーイチを部屋に残して買い物へ行くことにし、昨日メンデルスゾーン駅行く途中で見かけたスーパーに行ってみる。ホテル近くのよりは大きくて品揃えもしているが、イマイズミコーイチリクエストの「ポテチ」はなぜか「パプリカポテト」と言うものしかない。まあいいけど、とあと水とか買う。
スーパーへ行く途中の街路樹、たぶん栗の木
因縁のハイアットに向かう。「ハイアット入って左手」という大雑把なことしか聞いていなかったので一階の窓口で聞くと二階だと言われ、二階に上がってゴールデンベア・ラウンジを通り過ぎ、チケットセンターみたいなところでもっと奥だと言われしてやっと一般客はなかなか来ないような部屋までやってきて、そこにはテディ係の机がありはしたが適当な段ボール紙で作ったサインに「3~5分で戻ります」とか書いてあって不在。先客が「テディはどこ?」とか他の係の人に聞いているが誰も知らないようだった。途中テディ賞を作った張本人であるウィーランド・スペック氏がふらりと来たが、まったく僕らに構っているヒマはなさそうだった。待つこと確実に5分以上、そこへ小柄な中年女性がよたよたやってきてテディカウンター、再開。僕らの番になり「僕ら5人は授賞式に出席したいのだが、監督とプロデューサー(わし)以外は入れないと聞いた。何とかならないか」と聞くと「では招待状を見せてください」と言われたので初日にホテルフロントに預けてあったテディ賞への招待状を見せると(ホントはすぐに出欠席を出さなくてはいけなかったのだが忘れていた)彼女は「ここにはイマイズミコウイチさん一人しか名前がありませんが」と言うので「プロデューサー(わし。音楽家とか名乗っても全く通りが悪いということを痛感)と彼が入れるということは聞いている。問題は残り3人で」と差し当たりイマイズミコーイチ一人しか入れない、と言う方向へ事態が逆行しないように牽制しつつ更に確認すると「式典はソールドアウトです。パーティーチケットは無償提供できますが、式典に行きたければ6時から会場に行ってキャンセル待ちをするしかないです。」という。判った、では行きましょう。ではパーティー券を3枚ください、と言ってまたやたらでかいパーティー券をもらい、招待状に自分の名前を書き足してもらって部屋を出た。
しかし実を言えば僕らは会場での空席待ちはできない。今日は午後5時から映画を観るのだが、それが終わってから行ったら間に合わない。とにかくマリアに相談、と再びパノラマオフィスに行くと、そもそもマリアはパノラマの人ではなくてゲストマネージャーなので部屋が違う。実にいろいろな部屋があるのだが取りあえず「ゲスト」と書いてある部屋に突入してみる。マリアいない。あの、マリアさんいますか、と聞くと「ここにはいないですが、電話してみましょう」と中にいた女性は言ってくれ、ドイツ語でなにやら話を(どうせヘンな日本人が来たよ、とかいう内容であろう)しているうちに本人が部屋に入ってきた。良かった、ええとね(略)ということでマリアは「わかった、私が並ぶよ」ですいませんありがとう。どうせなら式典もみんなで見たいもの。
ホテルに戻る。起き出したイマイズミコーイチと一緒に電車に乗ってアレキサンダープラッツ駅に向かう。テレビ塔の近くである事に直前に気づく。「Cubix9」という映画館の前には巨大モニターがあって、ちょうどマドンナ記者会見の模様などやっており、駅で合流したテッペンくん(ホームでパン買ってた)と3人、でけえなあといいつつ眺める。ついでにでかいテレビ塔。映画館はシネコンであって、妙に階段をぐるぐる回る。今から観るのはブルース・ラブルースの新作、「OTTO: OR, UP WITH DEAD PEOPLE」。ゲストでもらったチケットを見せたら「パスも」ということで両方無いと入れないようでした。トイレが半券もぎってるとこの外にあるので、出たいときには番号札をもらって行くというシステムでした。お客さんはほぼ満杯。上映前に司会者が出てきて「終映後にQ&Aがあります」という。クラブでは会えなかったけど、最後までいれば観られるかも。映画を観るときには携帯を切らないと、と思ったが電源の切り方が判らない。あちこちいじっていたらなんか鍵マークが出てきたのでこれかなあ、とカバンに仕舞ってすぐにピロピロピロと鳴り出した。消えてねえじゃん。出てみるとマリアからで「ごめんなさい、テディの担当に確認したのだけれど、6時から並べばキャンセル待ちが入手できるかもというのは誤解で、どうも3人が授賞式に出ることは無理みたい。今年は特にチケットの人気が高くて、とても難しいの、私も入れないし」だそうでした。「パーティーには入れるから、私が責任を持って3人を飲みに連れて行ってそれまで時間をつぶしているので、それで了解して」ということだったので仕方が無い。隣のテッペン氏にその旨を伝え、田口さんとヒロくんには上映前に了解を得るしかない。それよりも問題はこの携帯だ、電池を抜くかとも思ったがちょうど劇場のスタッフらしい女の子が通りかかったので「すいません、これの電源オフのやり方判りますか」と聞くと「判らないけど、多分…」といくつかボタンをポチポチ押して「これでいいと思う」と返された携帯は電源が消えていた。ありがとう。
テレビ塔あり舛
映画は大変面白いでした。感想は書かないでおきますが、たいへんでした。
終映後、ブルース・ラブルースとおぼしき男性が出てきて(最後列に座ってしまったので良く見えない)自分でQ&Aを仕切りだした。すげー。時間があれば聞いていきたかったがよく考えたら質問も答えも英語なのでちとつらいか、と出ることにし、「ここのトイレは有料ですかね」とよく判らない心配をするテッペンくんを尻目にトイレに入ってさっき切ってもらった携帯端末をさてどうやって付けるのやら、と彼女が最後に押していたような気がするボタンを長押ししてみたら付いた。キーが少ないだけにボタンの押し方、方向、時間で微妙に反応が違うようでした。用を足してトイレから出ると割とすぐに携帯が鳴り、さっき携帯番号を交換したばかりのアイハラさんでした。「いま劇場にいますが、これから上映テストが出来るそうなんです。今からタクシー飛ばして来られますか?」すぐ行きます、と返事をして多分電車でも時間は大して変わらないと踏み、急遽ポツダム広場駅まで向かう。今日の劇場「CinemaxX7」はプレミアの時より更にでかい映画館である。入ると入り口にアイハラさんとマリアがおり、技術のアンドレ氏に案内されて場内に入った。
既にテスト映写がされている中、階段を登る。見た感じでは画質も音質もプレミアの時より悪くないようだ。また別の担当さん(憶えきれない…)が「これはこちらで取った上映用コピーなのですが、品質はどうでしょう、問題ないでしょうか」と聞いてくるので少し先の音量が心配な箇所をチェックさせてもらってうん、大丈夫だと思う、と返事をすると「ではこれでいきます。申し訳ないのですがそろそろ客入れをしないといけません」とのことで撤収、じゃっかん不安。階下に降りると通訳のマサヨさん、遅れて田口さん+ヒロくん(あ、ジャケット着てる)到着、全員集合。今日は終了後のQ&Aが出来ないので全員最初の挨拶のみである。では、と再び客入れが終わった会場に入る。600人弱の席数だが、結構入っていて安心する。前回と同じく司会に呼び込まれてイマイズミコーイチ挨拶、残りのメンツを呼んでそれぞれあいさつ、テッペンくんドイツ語で挨拶をして拍手をもらっている。今回はそういう準備が全然出来ませんでしたわなあオレら。最後に自分が「すいません今日はこれからテディ賞に行ってくるのでQ&Aはナシです」とお断りをして退場、一応冒頭だけ観てから、と袖に残って開始を待つ。問題はないようだ。アイハラさんとマサヨさんにありがとうございますをしてさてテディだ。行ってきます。
タクシーに分乗する前に田口さんとヒロくんには「ごめん、授賞式には入れてあげられないの」とお詫びして、さすがに「えーっ」という感じではあったが納得してくれ、マリアにどこかへ連れて行ってもらうことで決着した。ごめんね、一通りがんばったんだけどさ。会場は首相府やドイツ連邦議会議事堂の近くにある「Haus der Kulturen der Welt(世界文化館)」という建物、タクシーを降りて歩き出すと道沿いに星形の巨大なイルミネーションが無数に設置してあってすごいねえ、ブラスバンドがお出迎えって、と写真をバシバシ撮っているとマリアが「あ、これは違うみたい」と隣のホタテ貝みたいな建物を指さすので少々ずっこける。いや、充分これも立派ですが。
会場のホタテ
建物の入り口までは入れるが、こっから先は僕とイマイズミコーイチだけ、パーティーの時間には戻ってくるから、とマリアが残り(パーティーチケットは田口さんに3枚渡したけど、マリアは入れるの?と聞いたら「アテンドだから多分…」とのこと)3人を引き受けてくれ自分らはガイド無し、日本語が通じる可能性ほぼゼロという不安な中を踏み込んだ。一階で招待状と引き換えにチケットをもらい、階段を上がると長大なクロークがあるのでコートを預け(タダかと思ったら「2人で4€ (644円)です」と言われてへこむ)、入る前に一服、と無茶苦茶寒いテラスに出て煙草を喫い、二階の入り口でチケットを切ってもらって入場した。広いホールにはほぼ満杯の人、全席していなのでこれは売り切れちゃったら「ちょっと、その辺で」立ち見として紛れ込むことは不可能そうでした。席の背もたれには一枚ずつパンフレットが挟んである。しっかしすげー、とステージの写真を撮っていたらやがて係員のお姉さんがやってきて「申し訳ありませんが撮影禁止です」と言われてしまう。なので以後は素直にカメラを引っ込め、観察に徹することにした。テディ賞についてはこちらから。会場写真もあります。
以前ウィーランドにもらった授賞式DVDで観た、司会の女優さんが出てきて開会宣言、だと思うんだけどほぼすべてドイツ語なもんでよく判らない。男女混成チームによるアクロバットショーとか、ゲストのライブなどを挟みつつ各賞の発表が行われる。テディと言ってもここで発表される賞はたくさんあるので「審査員賞」「フォルクスワーゲン賞」「特別賞」そして「ドキュメンタリー部門」「短編部門」「長編部門」などで受賞作が決まる。ま、僕ら事前の通知もなかったし、アテンドも入れないということはノミネートもされてないという事でしょう、と気楽なもんだがいかんせん受賞者が英語で話す以外はドイツ語なので段々疲れてきた。予定より随分押しているみたいだし。ベルリン市長の挨拶もあった(ようだ)。「DEREK」で特別賞を受けた「デレク・ジャーマン・ファミリー」のティルダ・スウィントンとサイモン・F・ターナーしか知っている人は出てこなかったけど授賞式は大幅に時間をオーバーして終了、お疲れさまでした。面白かったけど。舞台ではウィーランドや ティルダ・スウィントンが撮影に応じているがそれを横目に僕らは出ることにして、マリアの携帯に電話する。「いま階下のでかいテディ(これがまた間抜けな像で…)に来てます」ということで向かう。
テディ(…)
6人合流してビールを買い、ええと賞は取れませんでしたははは、とお疲れさまの乾杯、ダンスフロアになっている階段下のロビーではDJが回しているが意図的なのか何なのかかなりな頻度で曲がいきなり止まる。踊っている人もブーイングではなくて「フー」とか歓声を上げるが何でしょうこれがベルリンの流儀か? あまり知り合いに会わないのでマリアに「ジョンは来てないのかな」と聞くと電話をしてくれたが「ここには居ないって、ちょっと具合が悪いみたい」だそうでした。踊っているとなんかテレビカメラが狙ってくるので何だかな、と思いつつ酔っぱらっているので結構撮られてしまう。どこで放映されるのかは知りませんが後日、「テレビで観たよ、踊ってたね」と何人かに言われてしまいました。お腹減ったねえ、とイマイズミコーイチと自分は地下にできているフードサービスに行ってソーセージなどを買う。ちゃんとした陶器の皿に好きなものを盛ってくれるのだが何と頼んでいいのか判らず指差しのみでオーダー。普段ここは何なのかよく判らないステージのようなところに腰掛け、やがてみんな降りてきてしまったのでしばしソーセージ(うまい)食いつつだらだら話をする。マリアが自分がやっている映画祭のカタログをくれたので、今度はこれでベルリンへ来ようかな、と言うと笑っていた。
そろそろ帰りましょうか、と外に出る。玄関でマリアがタクシーを拾おうとするが何故か立て続けに拒否されている。「どしたの」と聞いたら「多分これ(映画祭のタクシーチケット)がイヤなんだと思う」とのこと。そんくらいいいじゃん運転手、稼げよ。やがて乗せてくれる車が見つかったらしく「こっち」とマリアは手招きする。明日朝帰国の田口さんとヒロくんはここでマリアにお別れだ。なし崩し的に乗車してしまったのでお別れも何となく窓越しになってしまい、またね~。
おどれ
ホテルまではすぐに着いて、部屋に戻った田口さんとヒロくんは荷造りしなくてはならない。明後日は我が身ではあるが、膨大に増えてしまった紙類などをまとめているのをぼんやり眺める。ビール飲んでる田口さん、イマイズミコーイチ、ヒロという取り合わせでまるで去年のソウル最後の晩のようだ、と思っていたら案の定気付けば田口さんがヒロに馬乗り(主に失言による)になって自分はそれを撮影、という相変わらずの展開になり、あの、荷造りは…。これ以上お邪魔してもな、とお暇することにした自分たちは着替えつつ涙目になっているヒロ(+無意味に嬉しそうなイマイズミコーイチ)の写真を数葉撮影して、お2人の食べ残しのお菓子やらを頂いて帰室した。
2008.0211 ベルリンへ
2008.0212 プレミアまで
2008.0212 プレミアから
2008.0213 オフ、撮影1件、被取材1件
2008.0214 上映二回目、Teddy Award
2008.0215 上映三回目、被取材1件
2008.0216 上映四回目
2008.0217 帰日