2010.0621 月

四日目:引っ越し

昼12時にホテルをチェックアウト。これより帰国する「true」チームを見送り、ぼくと川口隆夫は引っ越しである。場所は上環にある、川口隆夫の友人宅フランシスのアパート。タクシーに乗って移動、到着。フランシスは仕事中なので不在。フランシス自身は香港生まれ香港育ちのチャイニーズであるが、フランス人のボーイフレンドと同居してるとのこと。その彼は現在出張中で留守なので、きょうから4泊お世話になることに。予定ではフランシスも日本(名古屋)に出張だったのだが、来月に延びたらしい。部屋はふたりの性格をよく表しており、非情に几帳面に片づけられていた。駅からも近いし立地もとても便利。荷ほどきをして、寝床として与えられたソファーベッドに巣を作り、持ってきたビールなど飲んでまったりしているとジョンから電話。15時に銅鑼湾のタイムズスクエア前で待ち合わせることになった。

地下鉄で移動し、15時を少し過ぎた頃、無事合流。昨日会ったばかりなのにブランクがあるせいか久しぶり感が漂う。なんだか嬉しい。まずは軽くゴハンを食べに地下のフードコートに。中華に飽きてきた頃だったので、ぼくはインドカレーを注文。食事をしながら、で、ジョンは香港でなにしてんのさ?と聞いてみると「ボーイフレンドに会いにきた。実は今年の香港国際映画祭のフィルムマーケットに来た時に素敵な出会いがあって」などとぬかす。パドゥン?で、彼は中国人?「いや、ドイツ人」ほう、さようですか。「それから香港に3回も来てる」とのことで、お幸せそうでなによりです。場所をコーヒーショップに移し雑談続行。屋外の煙草が吸えるテラス席。ジョンはかつてはヘビースモーカーだったのにいまはすっかり煙草を止めたそうだ。だからかしら、ちょっと太ったような気がしないでもない。結局喫煙者はぼくだけなのだがふたりは気をつかってくれているのだ。暑いわ、工事の音はうるさいわで劣悪な環境ではあるが、やっぱりコーヒーには煙草を吸いたい。


ジョンアンドタカオ

そして話しは本題に。そう、今年のジャカルタでの映画祭のことだ。ジョンは明日インドネシアに帰国してしまうため、残念ながら「家族コンプリート」を劇場で観てもらうことができない。また、プレビューがほしいと前から言われていたのだけれど、旅が多い彼にいつどこに送ったらいいものやらタイミングを逃していたのだった。いい機会なので今夜ジョナサンから渡してもらうことにする。で、今年の映画祭はどう?という話しになった。昨年大規模な法改正があって、開催は困難なはず。聞くと今年から助成も打ち切られてしまったそうだ。ソウルも助成が打ち切られたと言っていたけど、どこもたいへんだなぁ。「でも今年も7都市でやるよ」とジョンは言う。ボランティアスタッフは75人、上映プログラムも固まってきている様子。日本映画も4本やるそうだ(「タイトルを忘れちゃったけど古い映画」とジョンは言っていた)。さて、ディスリビューター、ジョナサンとの戦略で「家族コンプリート」は年内はLG映画祭には出さない、という方針になっている。トリノもソウルも断っちゃったし国内の某映画祭も断った(某某映画祭は断るまでもなく落選したけど)。ジョナサンには「友達だからとかそういうことは置いといて、ジョンのところも来年に回すようにしてください」とクギを刺されていたのである。でここからが勝負。ジャカルタでの「家族コンプリート」の上映なんですけど来年あたりいかがかしら、と恐る恐る切り出す自分にジョンは「今年やるよ」ときっぱり答えるのであった。未だプレビューも観てないじゃん!と笑うと「そうだね」と彼も笑い、でも真顔で「ぜひ今年来てほしい。なぜなら来年開催出来るかどうか非常に困難な状態であるから」と現在の映画祭の置かれた状況を説明してくれた。もう、わかった、と答えるしかない。これにてインドネシアでの「家族コンプリート」上映決定?ジョナサンには説得するしかないな(気が重いけど)。ジョンとはジャカルタでの再会を約束し別れ、川口隆夫もこれから友達(人見知りが激しい人なんだって)と会いに行くと言うので、ひとりでフランシスの家に戻った。ちょっと疲れが溜まってきているようだ。

ソファでうたた寝をしていたら川口隆夫とフランシスが帰ってきた。初めて会うフランシスは、なんというか、その風貌といい服装といい、インチキくっさーな感じなのだけど、マメで面倒見のよいナイスガイだった。けっこう好きかも。「食事に行こう」と誘ってくれるので(餃子とピザ、どっちが言い?と聞かれたのでピザと答える)、タクシーでピザを食べに行く。店の人は道路側の席を用意してくれ、ガラスの扉を開けてくれ煙草が吸えるようにしてくれた。そう、香港では屋内禁煙なのです。ワインボトルを1本あけ、そのあとは Propaganda へ。いわゆる、ゲイクラブ。平日なのでそれほど混んではいなくまったりと飲む。途中、間違えて入ってきたとしか思えない男子3人女子ひとりの4人組が入ってきて、店を一周したあと間違いに気付いたのかさっさと出ていったけど、その中のひとりの男子が店中で一番かわいかったというのが悲しい。気持ちよく酔っぱらった真夜中の帰り道、アパートまで歩いて帰る途中すれ違った白人男と香港女のカップルの「男」にフランシスは大反応。「タイプ中のタイプ。いますぐ押し倒したい」などと興奮していたが悲しいかな彼もノンケです。残念。


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