2014.0919 hari Jumat
インドネシアまでって幾らくらいだっけねえ、4年も行ってない間に世間ではLCCとかどんどん延びてますしもしかしてすんごい安いのでは、と期待して贔屓のJTBサイトを検索してみたら確かに安いんだけどなんか片道29時間とかがぞろぞろ出て来て何だこれらは、でした。で、うんうん言いながらもちっと妥当な旅程を探してみたらチャイナ・エアラインので1人5万以下、これでよかろ直行便はやっぱ高いし、と「台北経由」のそのチケットを買おうとしてふと5月にカンボジアのホテルを取ったエクスペディアで航空券も取れるんだ、と見たら同じ便がもうちっと安い、のだがこっちは「台北―香港ージャカルタ」となっており何だこの深夜バスみたいなのは、取り敢えずJTBは誤摩化しておるわ、とエクスペディアくんで注文し、たのはいいんですが予約後にサイトで確認するとチケット価格が2人で合計415,647円になっており、流石にこれは要確認をしたら速攻で返事が来て「オンライン上に表示されている金額は割引されていない金額となり、決済額は割引適用の金額です。弊社のシステムの問題でございまして、システム部門に修正するよう依頼をしているのですが、お時間がかかるようです。」だそうでまあ何でもいいですがカードの引き落とし日までは油断ができねえな。今回はジョグジャカルタに遠足に行くのでエアアジアで国内便も取って、こっちは2人で往復13,000円ちょっと、さて。
前回2010年のぐだぐだは散々書いたので置くとして、映画祭ディレクターだったジョン・バダルが勇退した新体制での初めての参加となる。ジョンとやりとりしないQ! Film Festivalってのもなんか妙な感じだけど、次の担当者プートリ嬢も旧知の仲なので別に支障はない。ああ楽しみだなあ、といつになく浮かれて(またインドネシア側のスタッフが超フレンドリーなので乗せられてしまう)友人知人各方面にしゅびしゅびメッセージを飛ばしてすみませんまた休みます、と職場でへこへこして(ないけど)いるうちに9月18日になりまして、前日出発です。自分はいつものように最安電車で成田に着きましたがイマイズミコーイチから「リムジンバスが高速で検問されて止まった」という不穏なメールが入りあらららら、とチャイナ・エアラインのカウンター近くで待ってみるが一向に追加情報が来ないのでここは一応どっこいしょ、と一人でカウンターに行って「連れの乗ったバスが足止めを喰らってましてまだ来ないのですが、何時までチェックインできますか?」とお訊きしたところ「まだ、大丈夫です」とのお返事なので電話してみると「いま空港の検問所に着いた」との事だったので間に合いますねすません、と引き下がりややあって(既に疲労困憊、という感じの)監督と合流する。
とは言え時間が無くなってしまったので速攻でチェックインから出国審査を経てドタバタと飛行機に乗り込み、3時間半くらいで台北着。乗り換え時間は1時間ちょっとなので何も出来ない。出来ないのですが私には3年越しの懸案がありましてそれは何かと言うとイマイズミコーイチご尊父から頂いた台湾ドル但し旧紙幣、を新紙幣に換えたい事案なのでした。臺灣銀行なら空港内であっても(その紙幣がどれだけ古いのか、という程度にもよるけど)換えてくれる、と言う不確かな情報を元に探してみると確かに乗り換え口の近くに臺灣銀行はありました。ありましたが夜遅いのでばっちり閉まっておる。きいいいい、と言いつつ仕方が無いのでより早い時刻に着く帰国便に一縷の望みを託して(日本円で2000円くらいの事に何をじたばたしておるのか、という気はしますね)前回金馬映画祭に参加した時に残していた現行台湾ドルで飲み物(めっさ甘い)を買って喫煙所で一服してからトランジットに向かって再度のセキュリティーチェック、で、次は本当に香港なの?
台湾製サッポロビール
あれ1時間くらいの飛行なのにまた機内食が出たわ、とかもりもり食っていたらああ本当に香港に着いてしまった(いらない)。成田で確認した通り一旦降ろされる。「ジャカルタ行きの方はこちらへ」とツアーガイドみたいな人にくっついて空港内をちょろちょろ行進してどこをどう歩いたものやらまたまたセキュリティーチェック。一応香港ドルも持って来てはいたのですが深夜と言う事もあって使う機会も無し、ついでに煙草も喫えん、もうこれは飛行中の夢だと思う事にしてぼんやり搭乗案内を待って乗り込んだのが現地時間で深夜1時。こっから4時間半くらい乗る(またご飯が出てきた…)。寝られるような、そうでもないような…。でうとうとしていたらどがっ、と振動がして飛行機はインドネシア共和国ジャカルタのスカルノハッタ国際空港に到着いたしました午前5時前です。到着ヴィザを買わないといけないのですが(今回は35$、最初は10$だったのに)空いている窓口がすぐに見つからず空港内を迷走する。カンボジアで使い残した米ドルが36$あったのでそれでヴィザを買って入国審査は特段何と言う事も無し、4年ぶりのインドネシアです。
さてここで世の中が結局どんどん面倒くさくなっているのではないか、という話をします(スマートフォンの事ですね!)。4年前にこの空港でWiFiが捕まらず大変苦労したのを忘れていなかったので今回はアンロックの愛機Windows PhoneにプリペイドSIMを差し込むべくいろいろ調べておりました。おりましたが(1)あれから4年後のスカルノハッタ空港はフリーWiFiがつながるようになっており別に今SIMカードを買わなくても「着きました」連絡はできた(2)そもそも朝の5時に空いている携帯屋なんぞない(3)とどのつまり現地スタッフに丸投げして市内で買えばいいかしら、という事でいきなり時間が余ってしまいました。入国審査やらSIM探しやらで時間がかかりそうだから出迎えは7時でいいよ、と言っておいたのが裏目に出ましたがまあいいやスタッフも5時に来い、と言われるよりはよかろ、とATMでインドネシアルピアをキャッシングしてから冷房の効いた空港内のベンチに寝そべってインスタグラムなどを見ていたら何かひょろっとした男の子がやって来て「イワサさん?」と訊くので据わった眼であんただれ、と言うのは流石に失礼なのでもしかして映画祭の方?と訊くと彼はほっとしたように笑って綺麗な英語で「よかった、7時に迎えに行けと言われてたんですが到着時刻は5時だったので念のため早めに来てました。待ちましたか?」とか言うのでプートリからの指示が微妙にうまく伝わっていなかったようではありますが結果的に1時間早く合流できて良かった、と一緒に駐車場に向かう。「シムカードがねえ…」と愚痴ってみると彼(ファリドくんという名前)は「セブンイレブンでも買えますからあとで一緒に行きますよ」と言ってくれる。うむ優秀だ。ジョンが抜けてもスタッフはちゃんと育っている気がする。
空港にあった自販機。なんかバランスがヘンなような気が。
駐車場に泊めてあった車にはドライバーくんが待っていた。乗り込んで走り出す。着いたホテルは前回と同じ…だと思うんだけどイビスだったっけ、あの時は「フォーミュラ1」だったような記憶が、とファリドに訊くと「ああそうだったかも知れません。でもフォーミュラは撤退してしまって今はイビスです」とのこと。勝手知ったる所なので一気に気楽になる。で4年前と全く同じで禁煙フロアに回されてしまい「喫煙フロアが空いているかは翌日確認」というデジャヴが押し寄せてくる。部屋に入って荷物を置き、ホテルの目の前にセブンイレブンがあるが横断歩道が無いので適当に渡る。ファリドがレジでSIMカードを見立ててくれるが調べてあった「Telkomsel」のはここではプリペイドがなく、「XL」なら使えると思う、ということでSIMカード(100円くらいだった)を買って携帯に入れて…あれマイクロサイズにする切れ込みが無い。ファリドは「ああ切らないといけないんですね、カットしてくれる店を知っていますので(セブンイレブンでは出来ない)自分が預かってあとでアクティベートしましょう」という事なのでやはり店が開いていれば空港でやってもらったほうが良かったか、とちらっと思いながら部屋に戻る。「映画祭スタッフがランチを一緒に、と言っているので11時半にまた迎えに来ますので、それまで部屋で休んでください。」と言ってファリドは去って行き、自分らは外で喫煙してから寝よう、とまた降りて…あれれまだいる。どうしたの、と訊くと「鍵を閉じ込んでしまったので業者を待ってます」という残念なお知らせ。
シャワーを浴びてからうとうとして、しばらくしたら部屋の電話が鳴った。フロントがインドネシア語でがんがん喋るのでまあファリドが来たということであろう、と適当に受け答えをしてロビーに降りると車が来ていた。中には白人のおっさんが乗っていたのでこんにちは、とこの人はゲストのようでした。後で聞いたら監督ではなくてトークセッションかなんかに参加した学者さんらしかったですがインドネシア語を話すイギリス人、という以上の事は最後まで判らず、向こうもあんまり僕らに興味がなさそうなので(ははは)この人との会話はファリドに任せることにする。スタッフが待っているレストランに着いて、あ〜ハリーがいる。やあやあ、と現ディレクター(来るまで誤解していたがプートリはディレクターではなかった)と再会の挨拶。初めて彼と会ったのが2007年で、2010年にも会ったけど何というかその後の4年で重厚感が増したといいますか、なんか漲ってます。その他初めて会うスタッフとこんにちは、などしつつ飯を…とそこへプートリが来た。キャー、と騒いで彼女に日本土産を渡してからさてご飯。3本乗った飛行機の全てで機内食が出た割には腹が減っている。ここはデパ地下食品売り場のように色々な食品が盛られたお皿から好きなものをよそってもらう方式。見てもさっぱり味の想像がつかないもの多数、なので無難そうなものを何品か選んだだけで後はスタッフお任せにする。
食う。結構辛いものがある。むむむ、とジュースは甘そうなものを頼もう、と適当に注文したらココナツ果肉に赤いシロップを足したものが出てきて混ぜたらピンク色になりました。無難かと思っていた野菜料理がみんな苦かったりという番狂わせはあったものの大体おいしく頂き、うむ満腹。ああそうだスタッフにもお土産、とうまい棒30本入りと抹茶キットカット(溶けてるかも知れんな)を渡し、うまい棒に描いてあるキャラクターをドラえもんだと誤解してくれないかしら(パッケージも青系にしたし)、とでは三々五々解散して今日はオープニング上映だから来てねということでまたホテルに戻る。もう今日はゆっくり休もう部屋で煙草が喫えないけど。ホテルの隣にはスイミングクラブがあって4年前は泳いだなあ、と感慨に浸っているとファリドが「ここのクラブはかわいい男の子がいっぱいいるんで好き」とかニヤニヤしている。会員でなくても入れたはずだけど、入場料はいま幾らくらいなんだろ。
階下のカフェでぐだぐだ
でぐだぐだしていたら割とすぐにまた迎えの時間で、車で会場に向かう。なんか図書館みたいだなあ、と思ったら神学校だそうでした。表で一服してから中庭を通り、奥の建物が上映会場でまだ準備中らしいが裏口から入れてもらう。中ではスタッフが設営の真っ最中である。あ、4年前にアテンドをしてくれたブリギータがいた。キャー、なんか顔は同じなんだけどかなり、やたら魔性系の佇まいになっているがあんたのライフなうは大丈夫か。相変わらず日本のアニメとか好きらしいけど。他のスタッフは全て今回初めましてかなあ。外のブースではなぜか食事を配っており「どうぞ」と言われたので実はあんまり腹は減っていないのだが食べる(ちょっとだけ付けた調味料が辛い)。今日のオープニング上映は招待客のみ。だんだん人が集まってきて友人知人の顔もちらほらと、ああルッキー(・クスワンディ、映画監督。ベルリン、東京、で3度目にしてようやくインドネシアで会えた)だ元気?あと2010年に一回だけやった自分の短編を見てメッセージしてくれたリーさんと初対面を果たすなど。横の裏口から会場に出たり入ったりして、今日のMCやるらしいプートリとサミー(プログラマー。自分は事前にちょっとやり取りしていて今日のランチで会った)がなんか掛合漫才のようなリハーサルをしている。オープン時間は既にけっこう押しているが誰も(スタッフも客も)大して焦っている様子は無い。
席は最前列を取っていたので入場開始後もだらだらとしていたが不意に始まる。「ども〜」てな感じでプートリ&サミーが漫才…じゃなかった司会を勤めます。この会場はインドネシア独立以前からあるキリスト教系(オランダ領時代の設立なのでプロテスタント系ではあるもののエキュメニズムを標榜しているようだ)神学校。「おそらくインドネシアで一番LGBT関連の書籍があるのがここの図書館です」と挨拶に立った学校関係者は言っていた。そしてインドネシアのキリスト教会は性的少数者をサポートする、とも。その後中心メンバーの紹介などがありオープニング作品…の前に短編の上映があった。さっき会ったルッキー監督による2010年のFPI(イスラム防衛者戦線)によって映画祭が大混乱させられた際のドキュメンタリー短編。自分らもまさにこの渦中に居た訳ですが「君らはとにかく身の安全を考えて会場に近寄らない方がいい」と言われてホテルでくすぶっていたのでした。なので初めて観る光景ばかり。会場の前に押し寄せるデモ隊と、それに対峙するプートリらスタッフ、会場関係者の様子が生々しい。「デモ隊が昼食と金を要求している」「は?映画祭の邪魔をされた挙げ句に私たちがご飯とお金をあげないといけない訳?」といったシーンでは流石に場内大爆笑でしたが勿論当時は笑ってらんない状況だったろう。最高責任者であるジョンが全く映っていなかったのが不思議だったので後で聞いたら「あの時は取材を受けていて会場に居なかった。あと彼が一番面が割れていて危険だからデモ隊に近づかないようにしていた」のだそうでした。
リハ中
そして本当のオープニング作品『Quick Change』が始まる。監督はフィリピンのエドゥアルド・ロイ・ジュニア。MTFトランスジェンダーの主人公ドリーナは日本人ミックスの甥っ子、ヒロを育てながら違法なコラーゲン注射治療で生活費を稼いでいる。恋人のウーノはシアターでエンターテイナーをしているがやがて他のトランス女性に心変わりをしていき、また彼女の仕事もトラブルが続出する、とまあ不幸に向かってまっしぐら、な感じのお話ではありますがマニラの(かな?)何とも言えない風景と主人公の寄る辺無い感じが非常にしっくりくる映画でした。映画が終わって、会場外ではスタッフがバナーの前で記念撮影をしているので混ぜていただき(今回も特製Tシャツを着ているがどうしてこう毎回デザインに頓知が利いているのか)、では明日の自分らの上映もよろしく、と辞去してファリドとホテルに向かう。ああそうだSIMカード切れた?と訊くと「切れました。セブンイレブンでチャージしましょう」と言ってくれたので携帯に差し込み、アクティベートは出来たのでセブンイレブン店内のFamiポートみたいのからプリペイドのコースを選んで、なんか使えそうなのが30日で5GBみたいのしか無いですけど300円くらいだからいいや、とそれにしてついでにビールを買ってお会計、部屋に戻って(WiFiはあるんだけど)普通に3Gを摑んで通信できてるわファリドありがとう、と就寝する。
2014.0919 到着、ジャカルタ1日目
2014.0920 ジャカルタ2日目、『すべすべの秘法』上映
2014.0921 ジャカルタ3日目
2014.0922 ジャカルタ→ジョグジャカルタ1日目
2014.0923 ジョグジャカルタ2日目
2014.0924 ジョグジャカルタ3日目→ジャカルタ
2014.0925 ジャカルタ4日目、『すべすべの秘法』上映
2014.0926 ジャカルタ5日目、帰国