2007.1227, thu

 前回(先月)のような一日前にチケットがどうしたとかいうドタバタは無かったものの、それでも年末年始の香港行きはバカ高いので香港側でキャセイを取ってもらい、そもそも何故こんな時期に行くのかと言えば現地のディストリビューターJがこの時期に特集上映を決めてくれたからで、「クリスマス時期は避けてですね、その前後の週末にやりましょう」とか言ったので必然的に最終上映日は12月31日である。年越しホンコンっす、とか伝えると大抵「いいねえ」などと返されるのだがコレが自慢したもんかどうかは自分たちにも判らない。とにかく28日出発がいいです、と言っていたのがチケット無くて27日発、まあいいんだけどイマイズミコーイチは午前中仕事だし自分はずいぶん前から予約していた検査がこの日に西新宿保健所であり、しかも受付時間は1時から2時半まで、もし混んでたらアウトである。1時前に行って3番の札をもらって、FMの流れる中を順番待ちしつつ1時半までに終わらなかったら帰ろう、とジリジリしながら座っていたらやがて呼ばれ、検査番号を伝えられて自分はこれから「XXX番」さんと呼ばれることになる。まず尿検査があって、トイレに行って採尿なのだが自分の1番前の人が英語圏の人らしくて通訳さんが「トイレはここ」とかガイドしている。自分はトイレの場所は問題なく判ったものの空いているのか使用中なのかが判らず入るのをためらっていたらその通訳さん(女性)に"Here is, please."とか言われてしまった。僕は日本人だ。検査の前のカウンセリングで「何か不安なことは」と聞かれたのだが「採血検査ですよね、あと数時間で飛行機に乗るんですけど気圧で血が噴き出したりしないですか」と(聞きたかったけど「飛行機なんてダメです乗っちゃ」とか言われたら困るので言わずに「いや、別にないです」)。血を抜いてくれたお医者さんは大変上手でしたがそれはさておき、自転車で自宅に戻って30分しかない。焦って窓を閉め忘れたりしたらいけないので念入りに点検して家を出、最寄り駅に向かった。

 そこから都営線に乗って本八幡まで、更に京成に乗っていけば成田空港まで乗り換え一回で行けるのだが検索した結果、本八幡で結構待たないといけないらしい。仕方ないけどせっかくなので、と荷物を持ってうろうろしてみましたが本八幡駅周辺、見事なまでに散歩のしがいのない駅周辺で、そこら中に禁煙マークがあるは道は狭いわ人は多いわで全くくつろげず、がっくしして戻ったら案外早めに先の電車が来たので乗り込み、一路空港へ向かった。今後もこの路線を使うとは思うけど、きっと散策はしない。


「旅の起点」っても自分以外にとって意味があるだけですね

 自分の方が早く着いたようなので、チェックインカウンターの場所だけ確認して喫煙所へ。日暮れかけの誰もいない道路沿いで煙草をふかしていたらやがてイマイズミコーイチがやってきた。仕事明け、自分検査明け。なんかこう「海外行く」って感じがしないねえ、と言うのだが、未だかつてそんな意気込みを持って臨んだことなどない、ということに今さら気づき、とにかくお互い迷子にならなければいいよ。隣(別の飛行機)のカウンターはおそろしい行列になっているがキャセイは実に空いていてすぐに発券、ちょっとお茶でも、と喫茶店に入っていきなり休憩を。あとはいつもの入国審査にメンゼー店(たばこ)などして乗り込む。

 キャセイ久しぶりだけど相変わらず機内食が旨い。しかし何故にソバとパンとご飯か。僕らが座ったのはわりとトイレに近い席だったのだが、隣の一列に座っていた家族連れの兄妹(たぶん)が飛行機酔いをしたらしく何度もトイレに駆け込んでは青い顔をして帰ってくるのが気の毒、ほぼず~っと前のテーブルに突っ伏していました。負けるな。

 空港に着く。今回はイマイズミコーイチが前回残しておいたかなり多めの香港ドルがあるので両替はせずにまっすぐ出口へ、というのは決まっていたのだが彼の荷物が全然出てこない。自分のは見た目が特徴的(ブルーラッカーポリッシュでぺっかぺか)なので見つけやすいし、今回は運良くすぐに出てきたので余裕で待っていたのだが、最後の荷物が出きってまだ引き取り手のない荷物がぐるぐるまわるターンテーブルをいくら眺めていてもイマイズミコーイチの荷物はやってこない。さすがにこれはマズイか、と誰に言ったもんかと思っていると、向こうまで見に行っていたイマイズミコーイチが「あった」と言いながら旅行鞄を引きずってきた。「たぶん誰かが間違って持っていったっぽい」そうで「シールが切ってあるし、開けた形跡がある」おそらく似たようなカバンの持ち主が一旦持っていって開けて気付いて戻した、という事らしかった。心配でヘロヘロになったイマイズミコーイチは「帰る時には一目で分かる目印を付ける」と言って「女人街で探そう」ですと。


たそがれ成田空港(の外)

 先月のデジャヴの如く僕らのディストリビューターJが出口で待っていてくれた。いよす、げんき?今回は自力で行けるよ、と一応言ってみたのだが案の上「いやいや迎えに行きます宿泊先まで送り届けます」との返事に敢えて反論するだけの論拠もないので(悪いな、という気持ちだけ)ありがたくお迎えいただくことにする。ちょっと寒くなったような気もするけど、それでも日本よか全然あったかい。またしてもバスに乗って(空港からはバスがいいですか電車がいいですか、とかそういうことまでJは事前に確認してきたのだ)銅鑼灣(コーズウェーべイ)まで向かう。だいぶ慣れたけどバスだったら乗れはしても目的地で降りられなそうなので、せっかくJが来てくれるならバスは安いし、と下らない会話をしながらあっという間に深夜の市街地に入った車はそごうの辺りに着いて、前回僕らが泊まった辺りからそう遠くはないエリアに降り立った。

 今回はスポンサーなし(僕らもJたちも非営利だし)なので出来るだけ低予算で、つうことでこの先8泊するのはホステルである。それでもこの時期はクリスマス&新正月休暇で中国本土から来る人たちで満杯気味で、Jも手配に苦労していたようだった。手動ドアに鉄格子のアコーディオンドア、という素晴らしいエレベータのあるビルの5楼(階)に上がると部屋が4つあり、その内の一つに入る。するとそこはどう見ても誰かの家なのだが室内に更にカギの掛かる部屋が3~4部屋ほどあって、僕らはそこに泊まるらしい。部屋にはベッドが2つ、トイレには電気湯沸かし器のシャワーが付いていてバスタブはない。前回初日に一泊したところと同じようなものだけど、こっちの方がいいかも。でもやっぱり冷蔵庫はないのだね。荷物を置いたらここを「経営しているマダム」にご挨拶をして、既にそのご家族がその辺に布団敷いて寝だしているリビングを突っ切り、Jの相方Hが仕事を終えて12時に来る、というので外に出て、そごうの辺りでHに合流。いよす、げんき?


エレベータ内より

 お粥を食べましょう、と近くの粥麺屋に入って4人、ここ1ヶ月の報告やら先々週の上映の模様などを聞いたりした。何でも僕らの「全作品上映」第一弾は宣伝が充分でなかったせいか客数はあまり多くなかったが、『初戀』と『NAUGHTY BOYS』を観に来てくれたお客さんの反応はとてもいい、とJは言う。「でも同時に上映した別の映画はダメでした。この作品に関してはついに赤字を出してしまいました」とJは苦笑いしていた。「劇場はとてもいいところなのですが、流行り廃りで言うと決して最先端の劇場ではないので、それも弱点です」だそうです。ううむ。「それならもっと宣伝やらないといけないけど明日の朝、テレビにでも出ましょうかズームイン!朝みたいな番組って無いの?」とイマイズミコーイチが聞くが、Jは笑って取り合わなかった。

 帰りにスーパーに寄って水とかを買って(そうそうついでに、と何だか大袋な買い物ばかりをし出すJ&H)部屋に戻り、既に寝ている住人を起こさないように4人で部屋に入って、日本から持ってきたお土産(田亀源五郎ポスターとか)を渡して、じゃあそろそろ寝るか、と明日また会う約束をしてさよならをしたのだが、あ、シャワー室にタオルがない。流石に無いか、でも持って来るという頭はなかったよと再びスーパーへ(近い)思ったよりも安くもなくて、自分は面白いという理由だけで何故か2枚分を切らずにそのまま販売している、おそらく本土生産のタオルを購入し、これで持参した香港ドルはほぼ無くなった。



剥き石榴



2007.1227 再び香港へ
2007.1228 いきなりオフ
2007.1229 上映一日目
2007.1230 上映二日目、被取材1件
2007.1231 上映三日目、越年
2008.0101 新正月、大佛
2008.0102 被取材1件
2008.0103 銅鑼灣をうろうろ
2008.0104 帰日