2007.1230, sun

 「シリアルキラーの研ナオコと榊原郁恵が毎晩人を殺しては釜茹でしてるシーンがある映画をほとんど誰もいない映画館でえんえん観させられる」というややこしい悪夢にうなされつつも本日は午前11時起床でした。またしても待ち合わせはそごう、そしてまたしても遅刻してきたJと会って、途中Hと合流してお昼ご飯に行きますです。「サテーの店に行きましょう」サテーって何、と聞いたら串焼きの肉料理でした。行ったところは日本で言うとチェーン居酒屋みたいな内装でしたが、メニューはいろいろ…ありすぎですな。Jは何でホワイトカレーなんてもんを頼んでいるのか。肉うまい。会計したらお店特製調味料をもらってしまいましたが、未だに何なのか判りません。


一本入るとこんな路地

 今日は歩いて劇場へ、裏道を入ると半野外散髪屋などが営業していてなかなかよろしい。劇場に着くと昨日と同じようにテーブル出してカバーを出して商品並べてキオスク開店、14時半から「初戀」の上映がスタート。この回は挨拶だけ、Jが「インタビューの申込があったので上映中にお願いします」と言う。「信報」という経済紙だそうなのだが何で経済紙、と聞くと「年始の号に載るコラムなので割と好きなように書けるんです」とインタビュアーのアントニー氏は言う。彼は日本語が堪能なので、ロビーのテーブルでいろいろ話をしたが、「初戀」と「NAUGHTY BOYS」の両方を観てくれた彼は「物語としてのリアリティーは『NAUGHTY BOYS』の方がより強く感じられるけれど、どうして新作(初戀)の方が言ってみれば理想主義的なんでしょうか」というこれまであまり聞かれなかったことを質問してきた。まとめて全作品上映をするとこういう見方も出てくるのか、と興味深い。「信報」の読者のおっさん(日本で言うと日経読んでるようなもんだろうか)には隠れホモも多いので、表面上「ふうん」って反応しつつ興味を持つ人も多いと思いますよ、と黒めな事を言いながら僕らの写真を撮って取材終了。ちなみにそういうお金持ちのおっさんが若い子を取っ替え引っ替えしてます、ってさ。今日は日曜だからか子供連れが多い(何か子供向けイベントをやっている模様)のだが、手近なトイレが劇場の階にあるため、やたら関係ない親子連れがやってくる。子供が走り回ったり物販に興味を示したりするのでちょっと、困った。

  イマイズミコーイチがコーヒー飲みたい、と言うので外に出て探すが、テイクアウト出来そうなお店が無くて諦めて帰ってくると、お客さんで来ていたパトリックくんという男の子が「上のカフェで出来ますよ、買ってきましょう」と言ってくれたので一緒に行ってコーヒーと紅茶を紙カップに入れてもらう。お金を払おうとすると「いいよ」と言っておごってもらってしまった。すまへん、とちょっとお話ししながら階下へ降りる途中、「英語うまいね」と褒めてくれるのだがその割には一発で通じないので多分お世辞でしょう。インタビューを終えて「じゃあこれを急いでまとめないと」と帰ってしまったアントニー氏のお土産のエッグタルトをみんなで食べたりして上映終了を待つ。上映が終わってわらわら人が出てきて、短い入れ換え時間でわたしたちは販売、そして次の短編集(「 Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN」+「憚り天使」+「grey SILENCE」)のお客さんが並びだしたので今度はチラシ配りである。入場するお客さんに例によってバラバラ落ちる不揃いなチラシを(この短冊は何とかならんのかJ)渡していると、お互いあ、もしかしてという感じで目が合った人がいて、Tさんでしょうか、やっぱそうですか。香港在住の日本の方なのだが先々週の上映で「初戀」と「NAUGHTY BOYS」を観た、とメッセージを頂いていて、短編集も観に行くつもりなのでお会い出来たら、と言っていたのでした。本当に来てくれたのでうれしい。簡単にご挨拶をして上映後にまた、と場内へお見送り。


おみやげたまご菓子

  僕らは上映前のご挨拶をして、一回限りの短編上映なので観ることにする。しかし音楽にしても編集にしてもあらゆる点で自分の旧作は荒っぽいなあ、と悶絶する。以前香港L&G映画祭の人に聞いたところではゲイはゲイの、レズビアンはレズビアンの映画しか観に来ないので「Queer Boys and Girls on the SHINKANSEN」のような混成作品は上映が難しいです、と言われたのだがけっこう人はいるじゃないですか。さすがに男性が多いけど、女の人もいるし。上映が終わってQ&A、Kちゃん(Kくん妹、ややこしい)の通訳で始まったのだがどうもKちゃん、L&G事情については何も知識がないのでスムーズにいかない。本人もあまり通訳慣れしていないのでちょっと尻切れトンボに終わってしまった。日本でインディペンデントでクィア映画を作っている事情などについて聞かれていたように思うんだけど…。なんだか残念な感じで終わってしまった。

 上映終了後、さっきのTさんがご友人Nさんと待っていてくださるというので次の「NAUGHTY BOYS」上映前の挨拶まで済ませてロビーに戻り、Jに「一緒に出掛けてきていい?」と聞く。「いいですよ、でも20時15分までに戻ってきてくださいね」と言うのでTさん達に近くの北京餃子の店へ連れて行ってもらう。外に出て、J言うところの「中流階級以上のゲイがよく通っている」とかいうジムの脇を通り抜け、僕らだけでは注文出来ないメニューの中から餃子と麺と…と頼んでもらって食う。うまい。TさんもNさんも随分長いこと香港在住だそうで、こうして上映の度に現地の日本の人と知り合えるのは嬉しい。Tさんは「さっきのQ&Aですけど、通訳が良くなくてやっぱり噛み合ってなかったです」という事なのでまだ明日もあるし、Jに相談してみようかと思う。店を出てちょっと肌寒い中を歩いて劇場に戻り、TさんNさんにさようならをして、僕らは上映終了を待つ。

 するとJが近寄ってきて、「Q&Aの通訳ですが、Kさんはどうもあんまり上手くできないようです。彼女にはよく説明しますから、次のQ&Aでは英語でやってもらえませんか」と言う。諒解、くれぐれもKちゃんが落ち込まないようにね、とお願いしてじゃあ自分が通訳か…。仕方ないのでお客さんの英語での質問を更にJに噛み砕いてもらうということもしつつQ&A、骨が折れたが何とか出来たと思う。しかし何を聞かれたか良く憶えていません。新宿について聞かれたような気がするのですが。会場では若い男の子2人連れが声を掛けてくれ、写真を撮ってもですか、ということなのでいいけど君らも撮らせてね、ということで記録。


判りにくいですが本日の上映スケジュール

 撤収の時に自分はアートセンターの本屋に行きそびれた事に気付いた。ここの本屋は昨日Kくんに連れてってもらったホステル近くの店舗が本店なのだが、そこの本店で見つけた本が欲しかったのだけれどちょっと状態が良くないのが一冊あるのみだったので、逆に支店のこちらならあるかも、と見たら新品があったので後で買おう、と思って忘れてしまった。明日までしか来ないので忘れないようにしないと。

 J&H事務所に戻ってメールをチェックしたりなどし、Jがご飯食べに行きましょう、と言うので出掛ける。何を食べたいですか、と言うのでそうさねえ、候補はなにかある?と聞くと「じゃあマカオ料理なんてどうですか」と言う。僕らが今回はマカオに行きたいと何度か言ったので思いついたらしい。それだそれに行きましょう、と3人で店に入る。マカオ料理とは言ってもお店の造りは特別洋風という感じでもないが、メニューはちょっと中華とは違って半分洋食のよう。Jがああでもないこうでもないと注文を迷っているうちにHがやってきて、2人で相談をしている。すると急にJが「Hが賢い事を言いました。セットにすると安いです」とか言うのだが、僕らには何がお得なのかよく判らないのでお任せにする。最初に来た膨大なイカ足のフリッターに始まって野菜の煮込みとか、肉野菜炒めとか不思議な食べ物がたくさん出てきましたがどれもうまい。そして久々に野菜をたくさん摂りました。

 料理屋ではJがおかしなテンションになり(先月もあったなあこんなこと)、XXさんはどうだのOOさんはこうだのとひどいことを言いだし、または「明日はカウントダウンで香港のビルが爆破されます」とか訳の判らないことを言ったり、酒は飲まないのにどうしてこんなに喋るのか(まあ、いつも喋りはするが)、疲れてるのかなあ、ちょっと心配ではある。で、マカオには行きますか?と聞かれたのだが、さっきTさんNさんにも話したら「あ~、今マカオは新しいカジノが出来たりして大変なことになっています。フェリーの順番待ちがすごくて一晩待つことになった知り合いもいます」と言われて少し怯んだ。いつ行っても閑散としていたマカオとは違っているのかも。それをJに言うと「そうですね、今はマカオの方が給料のいい仕事があるので、そっちで働く人も多いです。香港と競争しているという面もあって」ですと。じゃあ残念だけど、落ち着くまでしばらく行くのは控えた方がいいかも知れない。考え中、と返事をしておいた。


どうやって漢字を入力するのか、素人にはどうも

 満腹になって店を出て(今回からはやっと会計を割り勘にしてくれるようになった)、ホステルまで送ってもらって深夜1時、すでに早くはないけど早めに寝よう。


2007.1227 再び香港へ
2007.1228 いきなりオフ
2007.1229 上映一日目
2007.1230 上映二日目、被取材1件
2007.1231 上映三日目、越年
2008.0101 新正月、大佛
2008.0102 被取材1件
2008.0103 銅鑼灣をうろうろ
2008.0104 帰日