2010.0405 星期一
9時起床。やっぱり曇っている(書き出しが昨日と同じだがメモにそうあるので仕方ない)。昨日寝たのもそんなに早くないと言うのに午前起きした理由は「観光」、そしてホテル前からタクシーに乗る(駅は近くにあるんだけど行きたいところへは面倒な乗り換えがあるので。しかしいつになく観光客っぽいぞ)。目的地のちょっと手前で降ろしてもらって花屋が並んでいる辺りを歩き、グリーンというか草ですね、草を前にイマイズミコーイチを撮影してみましたがあからさまに詰まらなそうな顔になるのであら?と花の前に置いてみたら満面の笑みで写りました。花、好きなんだ。でもって目的地は園圃街雀鳥花園(バードガーデン)、昨日に引き続きペットショップだが今回は鳥、そして鳥自慢のじいさん。じいさんというものは朝が早いのでそれを観に行くとなると必然的に早めに行かないといけないが、着いて10時と言うのは別に早朝でもないので微妙に終わっている。まあいいやお店はやってるしさ、と鳥籠と鳥と虫(エサ)がそこら中にある辺りを散策する。至る所から鳴き声がするので却って嘘っぽいというか、どっかのスピーカーから流れてきてんじゃないの?という錯覚に襲われるがいやいや、と思い直し小さい公園を行ったり来たりしてそれぞれに贔屓の鳥を見つけたりして過ごす。しかしいつ雨が降ってもおかしくない感じの空模様。
「龍爪竹」と書いてある
ホテルのレストランもショッピングモールの食堂も高そうで何かね、それに急ぐし、と朝は何も食べずに来てしまったのだが、このあとホテルで昼食会というものがあるので食べないでいいか、でもお茶飲みたいね、とこれまた昨日と同じ大家楽に入ってミルクティー。ジン太くんが「フレンチトーストなんちゃらセット」つうものを頼み、現物はどう見ても厚揚げでしたがピーナツバターがはさまっており油、やはりどこまでも油が付いてくる。一服して(と言っても香港は屋内全面禁煙なのでお茶のみ。その代わり路上は無法地帯)、またタクシーを拾ってホテルのカードキーを見せると車はばびゅうと飛ばして僕らはお洒落さんWホテルへ舞い戻った。いつになく観光客っぽい、がただしあくまで成金風味。
さて昼食会とは何か。自分も良く知りませんが来る前からメールで「インビテーション」が来ておりあれでもこれジン太くんの分が無いけどゲスト申請が遅かったから?と念のためスタッフに確認して4人とも大丈夫です、との返事は来たんだが結局何をするのか、立食パーティーみたいなもん?と勝手に想像して取りあえずタダ飯みたいだから、とホテルのロビーで同じくご招待のジョナサンと合流して、いつもは素通りするレストランに入る(まあ素敵、なレストラン)。ええと立食ではないね、と席につくとウェイターさんが水を持ってきてくれるがメニューも何も無いのでどうすんの?とジョナサンに聞くと「あっちで好きなものを取るんですよ」と指差された方を見るとブッフェがある。では、と皿を片手にうろうろ食料を採集する。自分は食べ物の知識が貧弱なので料理を見ても(特にこういうとこのは)「パスタ」「肉」「魚」「やさい」「チャーハン」程度の区別しか付かないので微に入り細に入りお伝えできなくて残念ですが、なんかデパ地下みたい(精一杯褒めてこの程度)。取りあえずここ2日間は野菜が足りてないような気がするので生でない野菜を多めに取ってみる。美味しいし映画祭のおごりだし文句の付けようもありませんがこれ、ただの昼飯か?と思っていると昨日のMCレイモンド・ピーが来たのでこんにちは、とか言ってるうちにああそうか、関係者はあらかた来るのでイントロデュースマイセルフね、と気付いたがしかしねえ、席決まってるし。と肉を食ったりどっかから回ってきたサイン帳に4人で署名したりして時間は過ぎて行く。ジョナサンと自分らの今後の展開の話をしようとしても「ここはいろんな人が居るのでちょっと気をつけないと」とか言って全然話にならないのでではお食事に専念しましょうデザート取ってこよう。途中この作品を呼んでくれたジェイコブ・ウォンが来たので挨拶をするが忙しそうでやっぱり挨拶だけ。何か日本の映画会社の(松竹だったか…)の方も居たような。やや遅れて初日に会った日本人2人組が藤岡さんと入ってきて、「ちょうど上映だったんですがこっちに来たかったので抜けてきちゃいました」と言っていた。確かに飯はうまい、がそれだけのような気もする。少なくとも「関係者の交流」にはなりませんでしたエクスキューズミーティー、プリーズ。
部屋の窓からはこんな。びみょうによい風景
ああ食った、眠くなってきたよ。とイマイズミコーイチは本当にベッドに潜り込んでくうくう寝ている。ジン太くんは田口さんのコンピュータでなにやら通信をしており、田口さんは「昨日の金魚街に行ってみようかな」と言っている(写真を撮りたいらしい)。自分は何をするでもなくぼんやりしていたが、やがて約束の時間、ジョナサンがセッティングした「インタビュー」が3件(通訳は結局自分すか)。田口さんと別れて僕ら3人は一階のこれまたよく判らないレストランのようなところ(照明がものすごく暗い)に入り、さてどういう段取りなのかな、とジョナサンに聞こうと思ったら何だか慌てた風で(珍しい事ではない)「ダブルブッキングになってしまいましたインタビュアーが同じ時間に来ます」「ああでも片方が遅れてくるので順番を入れ換えます」などと一人であたふたしているのでそりゃ大変ね煙草喫ってきますわ、としばし中座して、そのうち順番なども決まったようなのでテーブルにお皿などが並んでいる部屋に戻って赤暗い照明下での怪しいインタビュー、開始。
【お詫び:後述するように今回の「通訳」でわたしは脳が焼け切れ何を話したのかよく憶えておらず、かつメモも捨ててしまったため途中で飛びます】
一件目:前回「初戀」の時にも取材を受けた「metro pop」という雑誌のパトリックくん、取材対象はイマイズミコーイチとジン太くん
・制作にどのくらい(期間など)かかりましたか。
・出演者はどうやって集めたんですか。
・「初戀」とかなり作風が違うのですが、その理由は?
・(ジン太くんに)この映画に出演する事を決めた理由は何ですか?
…と言った感じか。この人とは何とか英語か通じたような気がする。写真を撮ったような気がする。
二件目:「The Hollywood Reporter」という雑誌のエリザベスさん、取材対象はイマイズミコーイチとジン太くん
・一件目と同じ事は全て聞かれたのでそれはまあ同じように答えましたがこのエリザベスはなんつうか超ファンキーかつオーヴァーリアクションの豪快なねえちゃんでなかなか面白く、自分は相手のテンションに付いて行くのに精一杯でしたが訳していて一番楽しかった。途中イマイズミコーイチに「あなたにとってポルノとか何か、私はこの映画はポルノでは全くないと思うけれど、あなたはどう思って作ったのか」といった質問をばんばんして来たかと思えばジン太くんに「今後も俳優をやってみたいか、だとしたら次はどんな役をやってみたいか」といきなり話を振り、彼も別に俳優志望の人ではないので(知らんけど)「いや、もし機会があれば、お話がくれば」などと言っているのでエリザベス、キッとなって「あのね、あなたそんなんじゃ(出演依頼の)電話なんて、一本も、かかって来ないわよっ!!(どうしても興奮した時のおすぎのようになってしまうっ)」とジン太くん瞬殺(お気の毒に…)。冒頭で「自分の英語はなんちゃってなので、とにかくゆるしてちょんまげ」と念を押していたせいかエリザベスは辛抱強く意味を取ってくれ、何とか通じた(と信じたい)。
三件目:何とか言う雑誌か新聞の何とかくん(忘れた)、取材対象はイマイズミコーイチとわし
・嵐のような女が去りちょい休憩、と外へ出るとロビーにほたるさんが来ていた。彼女は東京で所用があって2日遅れでの参加、ちょうど昼食会の頃にヘンリーが空港に迎えに行っていたのだが無事到着してお疲れさま、彼女もホテルが違うので先にチェックインをしてきたそうで、あと一件インタビューがあるんですけどどうしますかジン太くんもこれで取材終わりですし、ヘンリーにどっかへ連れてってもらいましょうか、同席してると取材がお二人にも及んでややこしいことになるかもしれませんし、とジョナサンがクドクドと提案するのだが2人は「どうせなら取材も見たいし、ちょっとの時間でせかせか動くのも」というお二人の意向で(というのを納得させるのさえ手こずるしまつ)確実にIQの下がりそうな赤い部屋へ再びでもこれで終わり、と少しだけ気を抜いたのがいけなかったのか最後のインタビュアーの英語がさっぱり判らない。使っている単語はそんな難解なものではないのにこれがセンテンスになると何を聞きたいのかよく判らないのだ。何度も何度も「あなたが聞きたいのはXXXXという事だと思うのですが」と繰り返すが返ってくるのはどうも別の内容のようでさっきの質問はどうした、つうか何が聞きたいんだろうと(略)熊が(欠落)日本の家族は(中断)祖父というものの権力が(これはパトリックくんの質問だったような気もする)あぜるけらじびちぱるれれ、ぞらとにさろ、よせちするにれということですね、が。こういう時にこそ間に入って広東語から英語で再通訳をして欲しいジョナサンは、さっきの二件では何をするでもなく無意味に嬉しそうな顔をして座っていたのに気付けばおらず、自分は予想外のところから飛んでくる英単語とひたすら格闘するも力尽き、どんな風に終わったのかまともな記憶ナシ、確か事前に聞かされていたのは「制作チームとしてのお二人へのインタビューです」とかいう話だったはずなのだが自分に質問なんて来たっけかなあ。とにかく沙漠に水を撒くような作業でした。ニムダ。
あ〜〜〜。七転八倒する体力も残っていない自分はエクストラベッドの上で腹這いになって膝と肘を同時に曲げたり伸ばしたりしながら「これはペンではありません(肯定文に直せ)」「ジャックは中学生ではありません(同)」「私のバッグの中には3つの( )が入っています」「下線部のitが示すものを50字以内で述べよ」「a. which b. whose c. that d. who」という感じになっておりまして日本の英語教育は無力だった、無力だったなあカステラを食べたいのかもしれない。気付けばほたるさんも部屋におり、ちょっと休んで夕飯にでも行きましょうか、という話になったのかこの間の写真もメモもごっそり抜けているので、次に行きます。
ホントに写真が無いので。これも後で撮ったものですが
そしてまた来た波止場のライティングショーアゲイン。ほたるさんは初見、なので「一回くらいは見ておかないと」つうことで今日はこないだより更にガスってるがパンパンパンパカパーンと始まりしゅびしゅびしゅび、と光ってちゃらりらりらりー、みよーん。みよーん、オモシロウ/テヤガテカ/ナシキウカ/イカナ。そして田口さんはいま、どこに(そういやヘンリーも居ないわな)。
夕飯にしましょうか、と歩いて途中でかいショッピングモールに入り、何故か日本のダルマがもりもり陳列されているトンチキなデコレーションをいぶかしがりつつ(写真参照)歩き抜けて再び路上へ、「糖朝」に入る。「いつもは甘いもの食べてたけど、ご飯も結構美味しかったよ」というイマイズミコーイチのお勧めにより今日の晩ご飯はここで。自分は移転してからこの店の二階に来たのは初めてかも知れない。席に付いてめいめい好きなものを頼み、やはりここは初香港のほたるさんとジン太くんの希望優先で、と8品ほど頼むとすぐにウェイターさんがやってきて「これはもう品切れだ」と1品キャンセルになり、まあいいか量も判んないし、と言っているとジョナサンが「あ、でも中国の伝統では料理が7品というのは死者の食事なんです、だからやっぱり代わりに何か頼んだ方がいい」と言うのでへえ、と言いつつ追加でオーダーする。メニューにやたら支店のリストが連なっている(含む日本)のを見つけたイマイズミコーイチがジョナサンに「この店は中国資本に買われて」「拡大してやや失敗して」「味が落ちた」「と聞いているが本当か」「と聞いてみてくれ」と自分に言うのだが何もこれから食おうと料理出てくるのを待っている間にそんな話題もどうか、と「?」という顔でニコニコしているジョナサンには適当なことを言ってごまかし、次々と運ばれてくるチューカリョーリ、ほたるさんはいちいち食う前に料理の写真を撮っており、これは自分がゴミを見つけると撮らずにはいられない衝動に駆られるのと同じかなあ、と勿論これも全く食事向きの話題ではないので心の中だけで呟いて、「撮影済」の料理から箸をつけ、自分はどこへ行っても大抵頼む粽がごつくて旨いね、と。
なんだこれは
んでもって次は甘いもん、とこれまた5品くらい頼み、ほたるさんオーダーのフルーツ&ゼリーからドライアイスがもくもく白煙を上げていたり、やはり自分がバカの一つ覚えのように頼む馬拉糕(蒸しカステラ)ほかほか。チマキといいマーラーカオといい、蒸し料理ばかり頼む傾向にあることをいま書いていて初めて気がつきました。今度香港行ったら蒸籠でも買おうか。
さて食った、今回は割り勘からジョナサンを外そうね、タクシー代とかいろいろ出してもらってるし、と会計ですかさず自分がクレジットカードを出してげにスマート(まあ案の定ジョナは「いやいや」「おごりでは高すぎます」「いいです」とか隣でわあわあ言うのだが)、と悦に入っているとレジのおねいさんに「このカード会社は使えませんVISAかMASTERにしてください」にべもなく言われてスマート大幅減点織田信成。違うカードを出し直して何とか切ってもらったのち他の3人から現金をもらったらいきなり金持ちになってしまいました。取りあえずあと2日では絶対こんなに使わない、というくらいの。
さてこれからヘンリーが来ます(どこ行ってた?)、みなさんアイス食べたくありませんか、とジョナサンが満面の笑みを浮かべて言うので正直自分はもう何も口に入れたくないくらい満腹なのだが他の3人は満更でもなさそうな顔をしているので、じゃ行こうか、とぞろぞろ付いて行く。入った店は台湾から来た店だったか、「とにかくアイスが積み上がっているんです」という説明を聞いてもさっぱり想像がつかないのでメニューを見ると断崖絶壁のように皿の上に盛り上がったアイスクリーム、うへえ。「本当にいいんですか何も頼まなくて」というジョナサンに「いや、マジでこれ以上食ったら吐く」と遠慮して、自分は外で一服してこよう、夜の風もなんだか生暖かい。店に戻って驚愕の山盛りアイスに集中しているみなさんを眺めつつジョナサンに「明日は上映だけど、その前に行きたいところがあるので何時にどこで合流しようか」と軽く(伏線)言ってみたところ「どこに行きますか」「一緒に行きますよ」「何時に出ましょう」「ええと」と蜂の巣をつついたような騒ぎになりいや、昨日も今日も付き合ってもらったし僕らだけで行けるから大丈夫…だよ…と今までの疲労も相まってじゃっかん弱気になってしまったのが大変いけなく、「ほたるさんもジン太くんもホテルが違いますから一番安全な集合方法は」「私達も明日は休みです、それにそこ(がどこなのかは構成上の都合でここでは省略)は香港に長年住んでいる私も行った事がありません(そういう場所はかなりあるだろうこの人)し、見てみたいです」「電車なら」「その辺りへ行くならオプションツアーもあり」「ここはやはりヘンリーに決めてもらいましょう(なんでだよ)」と話はどんどん無駄な方へ拡大していくので何でこんな夜中なのに酒も呑まんで超元気なんだよこのメガネ、とその辺にあったアイススプーンで鼻の穴を拡大してやろうかと(一瞬思ったがむろんそんな気力は残っておらない)。結局ほたるホテルにみなさん集まって行きましょう、と言う事でその場はなんとか収まり、つうかなんでこんな事で揉めにゃあいけんのか。
そろそろ帰ろう
もうすぐ深夜の12時、屋台街もそろそろ店仕舞らしくてぼちぼち片付けている中をささっと通り抜け、ほたるさんを送るついでにジン太くんも連れて「明日の集合場所」を教えて三々五々に別れ、セブンイレブンでビールとか買ってから僕らはタクシーでホテルに戻った、あれ田口さん帰ってきてないや、もうそろそろ終電じゃないかなあ、大丈夫だろうか。なんかお土産っぽいのがベッドに置いてあるから一回戻ってまた出かけたんだろうけど…と話しているとかなり遅くになってのご帰還、おかえりなさい。おやすみなさい。
2010.0403 香港へ
2010.0404 上映一回目
2010.0405 インタビューなど
2010.0406 遠足+上映二回目
2010.0407 成田へ