2010.0718 日
起きたらギリギリ12時前で、雨は止んで曇り空が広がっていた。湿気は相変わらずだけど降ってないと言うだけでなんだか気が楽、ジョッシュは今日もコホコホ咳をしていて心配な感じ、なのだが僕らと一緒に起きだして「ご飯に行こう」と言ってくれる。「その前に」と彼はずっと冷蔵庫(ただし電源が入っていない)の上に放置されて芳香を放ちながら皮が裂けだしたバナナ(イマイズミコーイチが「食べたいなあ、でも子蠅がたかってる…」とぶつぶつ言っていた)他のゴミ捨てよ、とごそごそ階下に降りて行く。ゴミ捨て場の近くで知り合いに会ったらしく立ち話をしている間にイマイズミコーイチは未練のバナナと記念写真、でさて出かけようか。「韓国料理がいい?それとも洋風な朝ご飯?」と聞かれるので「どっちかつえば韓国料理のほうがいいけど、絶対じゃない」と答えてジョッシュに付いて行く事しばし、とある飯屋の前で「あ〜、閉まってる」と残念そうに言い、次のお店も「本日休業」で日曜だからかな、あんまり店が開いていない。いいよ韓国料理じゃなくても、と言うが「いや、まだある」と昨日も行ったメインストリートの角から細い道を入るとそこはかなり広くて緑の多いレストラン、なかなかよいかんじではないですか、韓国料理だけど内装はモダンつうかこの屋根まで届く「木」は造りもんか。メニューは韓国語のみ、ジョッシュに解説してもらって僕らはビビンパブ、ジョッシュは鶏の辛味噌炒めみたいなものを注文する。店員さんはよく気がついて水が無くなるとすぐに注いでくれるのだけど、いつも僕らの卓に来る男の子の右手首に漢字で名前らしいものが彫ってあって、もし自分の名前だったら悪い事は出来ないねえ、とぼんやり思う。
ジョッシュ宅の屋上から
ごはんうまし。食いながら今日の予定について相談する。映画祭は2時に、確か最寄り駅まで迎えに来てくれる事になっている。ジョッシュは今日の夜にプチョンで友人の上映があるので行くけど、体調が思わしくないので部屋で休んでから向かう、と言う。食べ終わって、これまで散々おごってもらったのでここは自分らが払おう、とクレジットカードを出す。幸いにカード可だったので安心しているとなにやら手元を指差されているのでジョッシュに「?」と顔を向けると「そこのタッチパネルにサイン」だそうで日本で一般的なのとは違って電子ペンでパネルにサインするとそれがカード控えに印刷されるようでした。へえハイテク、と感心していたのだがこのシステム、後日プチョンでちょっと困った事になるのだった(伏線、でも書き忘れるかも)。まだ時間あるね、お茶行こ、とこの前ドンボムと入ったのと別のカフェに腰掛け、ジョッシュご推薦の苺チーズケーキを3人で食いながら通りを眺める。若者多し。「僕が越してきた数年前、この辺りでカフェって言ったらここくらいのものだったんだけど、どんどん開発されて凄く変わった。前は照明機材の店とか額縁屋とか、そういった専門店の街だったんだけど、はやりの店が増えて家賃が凄く上がって、みんな引っ越して行ってしまった」そうで、さっきジョッシュと家の前で話していた人も服飾関係の人かなんかだったか、事務所の家賃が上がったのでここでは続けられないと移ることになっているらしかった。通りを歩くと必ずどこかを工事しているし、ソウルってのがまた変化のスピードが速い街らしい。ぼんやりお互いの写真などを撮っているとジョッシュの携帯が鳴り、「もう迎えが来ちゃったって」ええまだ20分くらいあるだよ、と待っていてもらう事にしてもうしばらくしてから店を出た。
よくよく聞けば迎えはジョッシュの家の前まで来てくれてるらしい。映画祭には彼の電話番号だけ伝えてたのだけど以前「エリンと言う人から電話が来た」と言っていたので自宅までの迎えをアレンジしてくれていたのかもしれなかった。果たして向かいの駐車スペースには名物ジャンボタクシー(ワゴン車)におっさんの運転手さんがドア全開で待っており、ジョッシュが何事か話をしている。「オーケー、荷物を下ろそう」と部屋に戻る。ジョッシュには「部屋代」ということで「初戀」のDVDを謹呈し、初めてちゃんと出た眺めのいい屋上で記念写真を撮ってから、再びスーツケースを持って5階分を降りる。ありがとねまたプチョンで、とジョッシュに言っているとおっさんが「出迎えリストには3人とあるけどあんた行かないのか」と再確認してくる。なんかこういういちいちが「公式お出迎え」の煩雑なとこだよな仕方ないけど、と思うが「今から乗るのはこの日本人2人だけ」ということで納得してくれたようで広々とした車内に乗り込んで、じゃあねまた後で、風邪お大事に。走り出して早々にイマイズミコーイチは眠り込んでしまい、自分は川沿いの道で写真を数枚撮ってトンネルをくぐったら、そこはプチョンでした。所要時間40分ほど、近い。
車窓
タクシーは大通りからホテルの車寄せに入り、運転手さんは荷物を降ろしてくれると「では」という感じでぶおおお、と居なくなってしまい(車も)残された僕らは何だかトンチキな能舞台みたいなものがしつらえてある前の喫煙所で煙草をふかし、いつもはこういう時に映画祭の誰かが一緒だから何も考えずに付いて行けばいいんだけどどこに行ったらいいんだろうね、としばし考え込む。ま、いいやと中に入ってみるとロビーには「Puchon International Fantastic Film Festival」のブースが出来ていて見慣れた赤シャツのボランティアの子が数人いる。ええとゲストですゲストですと言ってみるがいまいちこちらの用件が判らないようでしばらく噛み合わない会話をしたのち、「ああ、いま到着されたんですか、6階でまずゲスト受付です。ホテルのチェックインは先でも後でもどっちでも」とようやくフローが判明してエレベーターで上がる。付いた先は照明の落ちた客室フロアで、「→こっち」と書いてあるテーブルが2つ置かれた部屋に入ると、ここにもボランティアの子が5〜6人働いていた。作品名と名前を告げてゲストグッズをもらい(バッグがエコバッグではなかったので急に機嫌が良くなるイマイズミコーイチ)パスをもらい、「観たい作品があったら一日4枚までチケットが発行できます、ただし今日と明日の作品で売り切れていないもののみ」ということで早速ジョッシュと約束している8時からの回のチケットをもらう。「4枚まで」というのは通常の上映がすべて一日4コマだからでした。とかやってるとそこへスタッフらしいけど赤シャツではない美貌の女性がやってきて「エリンです」あら思ったより若い。どもどもども、と挨拶をして案の定有能そうなエリンはてきぱきと事務手続きについて確認をして、「ご来場に感謝します。まずはお部屋で休んでくださいね」と去って行った。あい、でもチェックインしないと部屋がわ〜か〜ら〜な〜い〜の〜。
流れとしては「1階でチェックイン→6階でゲスト受付→部屋に」というのが一番無駄のない動きだったようでしたがまあ仕方ない誰も教えてくれないし、とエレベーターでロビーに戻る。フロントデスクでパスポートを出してカードキーをもらい、1208ということは12階ですね。と向かおうとしたらあ、パクジンだ。ここらへんが彼の主な仕事場であるので別に居たって不思議ではないのだが、やっぱこのタイミングは奇遇、僕らが無駄に上に行ったり下に行ったりしてなければすれ違ってたはず。いや〜一昨日会った時は自分ら、ただの通りすがりの外人でしたけど今さっきようやくゲストになりましたよ、と抱き合って「ウェルカム・トゥ・ピーファン」のお出迎えをプログラマー様より受ける。この人とはもういつでもついで、と言うか偶然の流れに任せる感じというのが朧げに判ってきたので「ちょっと待って、1分だけ」とロビーの隅でスーツケースを開けて初台の成城石井で買った加賀棒茶を専用手提げ袋に入れ、おまけにせんねん灸と自作短編のプレビューやらを詰めて他のゲストと歓談しているところに割り込んで「これ、みやげ」とか言いながら突き出す。「ありがとう、僕はこれから用事がある(そらそうだろう)ので時間がないけど、君らはどうする?ちょっと部屋で寝る?」と聞くので「そうだね、少し休んで、でも8時からの短編集を観るつもり」と言うとパクジンはすぐに判ったようで「ああ、あれね」と一笑して「じゃ、またね」と手を振った。出会い方が毎回唐突なせいもあるけど、この人に会うと何でかいつも、うれしい。
こんな舞台がお出迎え
再度エレベーターに乗って12階へ、部屋に入る。ダブルベッドとシングルベッドが一つづつ、真新しくはないけどきちんとした部屋だ。まず灰皿が置いてあるので(最近は中々ない)喜び、荷物を投げ出していきなりお茶とか入れて一服する。シャワー浴びようと浴室に入ったらバスタブが丸い。不断はホテルでお湯は張らないけど今回は入ってみようかな。切り替えがよく判らないシャワーを何とか浴びて無意識にバスタオルを引っ掛けた木製ハンガーのようなものに小さい引き出しがあって片方に「インターネットケーブル」と書いてある。何せ韓国ですからネット環境は充実してるはず、と開けたらやはりLANケーブルで、PCも備え付けてあるのだけど今回からはPowerBook(実家に持って行ったら実父が「ほほうこれがiPad」と言った)持参なのでつないでみると問題なく接続できる。のでデジカメでホテルの様子を撮り、SDカードがそのまま挿せるので取り込んでSNSに上げてみる。これまでは「海外旅行の時くらいコンピュータとインターネット無しにしたいわな」とか言っていたのだけど、結局毎回現地の友人知人に連絡取るためにネットカフェやらホテルのビジネスセンターに行ったりしていたのでいっそ自前の方がネットに費やす時間が減るのでした。ベッドの上でさっきもらったグッズを開けてみると、どうもスポンサーご提供のもろもろらしく実に脈絡のない品揃えで歯ブラシ、シャンプーリンスセットに濡れティッシュにミントシートに日焼け止めにマジックペン(ゲストパスにもペンが付いている)に…映画祭の公式パンフ(有料のでかいもの+無料のダイジェスト版)が入ってバッグはショルダーと手提げの2WAY、これまでで一番充実してるかもしれない。取りあえず滞在中は使わなそうなものをスーツケースにざざっと入れて片付け、少し眠る事にする。
目覚ましはかけておいたのだけど、それが鳴る前にピンポンピンポンと音がして、誰かが呼んでいる。ドアを開けたらホテルの人で、なんか掃除に来たらしかったがダイジョブです、とお引き取り願って(このホテルには「掃除してください」「起こさないでください」カードの類いがない)何で今の時間に、といぶかしがりながらも眼が覚めてしまったのでごそごそ起きだす。携帯にジョッシュからメールが来ている。「もうすぐプチョンに着くけど、今どこに居る?」と書いてあったので「いまホテル、8時に会場で」と返信して支度をする。さっきロビーには「7時からNAFFのパーティー、当ホテル3F」と書いてあったので何だろうね、と一応そこでへ降りてみると、まさにその何かが始まろうとしているところでした。あ、HKIFFのジェイコブ・ウォンがいるね、とか言っていると後ろから日本語で声をかけられ、ハセガワさん(すいません毎回どこで働いている方なのか正確に憶えられませんが、映画の企画を海外に売るお仕事だったか?)じゃないすか、これは何の会ですか、と挨拶もそこそこに聞いてみるとこれは"Network of Asian Fantastic Films"という映画祭と同時開催のイベントで、その関係者の集まりでした。取りあえず自分らが出るべき会合では無さそうなのでハセガワさんと電話番号を交換して、またそのうち、と別れる。ロビーに降りて、さっき最初に話をした映画祭ブースで会場への行き方を聞いてみる。日本語の話せる子が「目の前の大通りを右にひたすらまっすぐ行くと着きます。シャトルバスもあるんですけど運行のタイミングによってはすぐ来ないので歩いた方がいいかも、20〜30分くらいですよ」と教えてくれる。30分だと既に間に合わないわけだが、仕方がないので歩いて行く事にする。パンフレットに載っているどうにも距離感が判らない絵地図を見て歩いていると、あれこれは目的地の1つ手前の劇場なんじゃないかなあ、5分も歩いてないけど…。しかしこのメインの通りは物凄く広くて片側だけで4車線くらいある。せいか風がびゅんびゅん吹き通って気持ちいい。途中映画のポスター(「告白」のとかあった)が並んでいる交差点を渡って、公園の向こうに会場名と同じ「CGV」という名前がついた建物が見えてきた。あれだ。15分くらいで着いてしまいましたがさっきの子には僕ら、余程とろそうと思われたのだろうか。
このような街角
「CGV」はデパートの上にあるシネコンで今日観るプログラムは「短編集6」、シアター1に入る。上映はすぐに始まり、あ〜これプログラムは上映順じゃないや、内容はバラエティに富んでますが怖いのがないのでまずは良かった。さてジョッシュの友達のは後半に出てきた。監督はハワイLG映画祭のディレクターでもあるそうなので舞台はハワイ、行った事ありませんが。原題が「Ajumma! Are You Krazy?」でなんでアメリカ映画のタイトルが韓国語の「アジュマ(おばはん)」なんだろ、と思っていたらこれ、韓流ファンのハワイのおばさまが主人公だったのでした。いや〜豪快でした(いろいろ)監督はきっと何が「クィア映画」なのか判り切っているのでゲイがどうたら、という部分があからさまに脇に置かれていてもどストライクにおカマ映画で、痛快。上映終了後に何作品かの監督・俳優によるティーチイン、韓国映画で「映画を撮ろうとしている視覚障害の人」をドキュメンタリー風に撮った作品の監督とメインの人(僕らの隣に座っていた)の話がとても興味深く、まさしく「見えない」ということで成立する映画。「Ajumma! Are You Krazy?」の監督はアジア系の男性で(この人が多分ジョッシュの友達)、観客の「ハワイにも韓流ファンっているんですか」という質問に「いる。自分の周りにも(母とか)いっぱい」そうでした。やはりあのリアリティは半端な造りもんではないという気がしましたが、なるほどね。
Q&Aも終わってジョッシュは、と見ると離れた席に居るのが見えたので手を振る。友達の監督がまだ人に取り囲まれているので待っているようなのだったが、僕らは先にトイレに行き、出口(と入口が別になっている)で合流する。ジョッシュからは事前に「彼はハワイLGのディレクターなので、君らの作品を見たいと言っている。上映にも来るつもりだと言っているけど、念のためDVDを持ってきてもらえないかな」と言っていたのでご紹介ついでにイマイズミコーイチがディスクを手渡す。彼らは6人くらいのチームで、映画に出てきたアジュマ役(3人いた)のうち一人、あと対抗する意地悪役グループから一人(たいへん美人)の方と、あとプロデューサーの男性と、で挨拶しているウチによく判らなくなってきましたがアジュマのおばはんがたいへんフレンドリーと言うかどんどん喋りかけてくれるのですが私の英語はネイティブの方とスムーズに会話できる程ではないのでノリだけで何とかして事情がよく呑み込めないまま専用ワゴンに乗り込んで一緒にホテルに戻り、「じゃあ後でね」って手を振ったけど後って何。つうかここはどこ。ホテルと言っても僕らのじゃないようだけど…とまごまごしているとジョッシュが笑って「こっち」と案内してくれる。建物を突っ切るとそこは僕らの泊まっている「KORYO HOTEL」の前で、どうやら映画祭が用意したホテルは隣接する2つのようだ。ハワイチームはいまから打ち上げと言うか飲み会らしく、ジョッシュも当然行くんだろうけど僕らはパクジンから「夜はホテルの近くで呑んでるから来てね」というメールをもらっていた。どっちに行ったらいいんじゃろ、と思ってジョッシュに相談すると「多分みんな同じ店に居るはず」と言う。あれ、そうなの?
状況が呑み込めないままジョッシュは全部把握していそうなので着いて行く。ホテルから一本だけ道を隔ててそこは飲み屋街、いろんなお店とその前に置かれたテーブル&椅子、ジョッシュはそのうちの一軒(赤ちょうちんに日本語が書いてあったりする)に入り、「ここで待っていればいいはず」と屋外席に座ってビールなんぞを注文している。出てきたつまみは僕らが昨日イテウォンで堪能したチキンがぐっとくだけたかんじで、いろんな揚げ物が混ざっている。先に乾杯しちゃえ(何に)、とビールを飲みながら待っているが一向に誰も来ないし店内に映画祭関係者っぽい人も(要は客が)あんまりいない。やがてジョッシュは誰かと電話で話し始め、なんだか微妙な表情で「店が違ってた。『チヂミ』って名前だというのでここだと思ったら別の店らしい」と言い、僕らは脱力したまま仕方ありませんなぁなはは、と笑って会計をし、最後っ屁のように揚げ物をばくばく食って店を「移動」、そんで正しい店はどこ。と思ったらすごく近くでした。つうかどっちか店名変えろよ。こっちはさっきの「チヂミ」と違って大繁盛しておるわ、と見ると入り口前の屋外席ではすっかり出来上がったハワイチームが大騒ぎしておりジョッシュに「あんたどこ行ってた」などとゲラゲラ笑いながら詰問している。とそこへパクジンがぴょこぴょこしながら通りかかり「ああやっと来た、どこ行ってたんです」と言うのでいやそこの韓国人が店をその、間違えまして…と弱々しく答えると聞いているのか居ないのか「お二人の知り合いも居ますよ、どうぞ中へ」と言ってくれるのだが既に僕らの分のグラスにビールなどを注ぎだしているハワイチームの前を素通りするわけにもいかず(できるかそんなおそろしい事)、「ちょっとこっちに付き合ってから、行くね」と言ってハワイ席に付いた。
遅ればせながら上映おめでとう乾杯、をして隣に座ったさっきのアジュマ、本当の名前はテッシーでしたが彼女と話をする。韓国は初めてだけど日本は何度も行ってるの、北は北海道から南は九州まで、とやたら詳しいので僕らは東京に住んでます、というと東京のどこだ、と聞くので新宿の近く、と答えると「新宿と言えばすばらしいフットマッサージが有名よね、あなたいい店知らない?」って知りませんがな。「新宿=足マッサージ」などという意見を聞くのはこれが最初で最後でありましょう。その他「大阪弁では『ホンマ』だけど東京ではなんだっけ」などと細かい事を言い出して何だろうかこのおばはんは。イマイズミコーイチは上映会場に居るときから「監督(名前はブレントという)は何人かな?」というのが知りたいようで何度も言っていたのだが、どこで生まれてどこに住んでいるのか、ならともかく初対面の人にところであなた何人?とか聞いたら場合によってはめんどくさい事になるかもしれず、「ハワイならアメリカ人じゃないの」と適当に返していたのだけれどまた同じ事を聞かれたのでジョッシュに「ブレントは何系のアメリカ人(って聞いていい)?」とこっそり耳打ちするとジョッシュは彼に聞いてくれ、向き直ったブレントは直截「日本と沖縄」と教えてくれた。日本と沖縄は別か、というのがちょっと新鮮な表現でしたが彼の姓「Anbe」ってのは元は例えば「安部」とかなんでしょうか。日系の人、という事が判っても話はそこから別に発展はせず、自然とお互いの映画の話とかしてましたがさてそろそろ中に移ろうか、ハワイチームに「店内に友人が待ってるらしいのでちょっと行って来る、またね」と言い残して更に騒がしい店の中へ。
けっこう食ってますね
奥の座敷席にパクジンその他がいた。何かすごく混んでいるのではありますが席を空けてくれて、あれUNI JAPANのFさんだ、お久しぶりです。とかいろんなところの映画祭の人にご挨拶したり、香港国際ではこういうのがほとんど無かったので久々にこんなことやってるなあ。とそこにパクジンと双頭のプログラマー、クォンさんがいたので憶えてるかな、と思いつつ(何せ2年前に数分間会ったきり)ご挨拶。クォンさんは一年に何度か日本に来ているのだけど、ちょうど来ていた時に知人経由で「家族コンプリート」のプレビューを渡すことができて、こうしてここに居るわけなのでお世話になりました。ありがとうございます。Fさんに「ハセガワさんに会いましたよ」と言うと事も無げに「呼びますか」と携帯を取り出し、「すぐ来るそうです」ですいません。おなか減ってますか、と言われるのだがさっきの間違ってる方の店で結構食べてしまったので特に大丈夫、と答えると昔の給食で使ってたみたいなボコボコのお椀とヤカンが出てきてどぼどぼとマッコリを注がれる。うまいなあ、そしてこれは気をつけないと泥酔するなあ、と思いながら下らない話(主に他人の失敗談など)をしているとFさんが「ハセガワさん遅いですね」とまた電話。「なんか店を間違ってたみたいです」って僕らと一緒じゃねえか。やがてやってきたハセガワさんは「説明が雑すぎます『外に赤い椅子とテーブルがある店』ってそこら中にあるじゃないですか」とぶうぶう言っているのでまあまあ、とマッコリをどぼどぼどぼ、引き続き下らない話(略)をしているとあれあれ酔ってきたかも、とトイレに行く事にしたのだが明らかに立ちくらみのようなものが襲ってくる。席に戻ってイマイズミコーイチに「ちょっと外で風に当たってくる」と言うと一緒に出てくれて、と入り口の屋根の下にある席にクォンさんがいて、「どうしたんですか」と聞くので「いや、ちょっと酔いました」と答えると「それはいけませんねちょっと待っててください」とどこかへ駆け出し(2年前にベルリンで会ったときも全く同じ事を言ってた、その時はパクジンを引っ張って戻ってきたんだけど)何やら小さな缶を持って戻って来た。「これを飲んでくださいね」ともらって飲んでみたら何だろうこれ、葛根湯みたいな味だな、と思っているとハワイチームからお呼びがかかり、アジュマに「ああやっと戻って来た、あんた何飲んでんの」と聞かれて自分でもよく判らないですが取りあえずこれで乾杯。
その後もさすが@韓国、と言うべきたいへん乱れた酒宴は続き、気がつくと酔いはすっきり醒めていてあらあらさっきのはすげえ即効性、クォンさんありがとう、とさっきちゃんとお礼言ってなかったので彼の席まで行ってへいこらして、ジョッシュが「あ、それはすごく効くけど高いんだよ」と言っていたのでお金払います、と言うとクォンさんは「いいですいいです今度東京に行った時におごってください」とか素敵な笑顔で言うのだが東京は何でもかんでも高く付くので正直それはいや、実費がいいです〜(あとこの人は本当にしょっちゅう東京に来るみたいだし、とはさすがに言えず)。ともあれピンチを救ってもらったので借りが増えてしまいました。ハワイチームとジョッシュはそろそろお開きにして帰るというのでまた会えると言う確証もないままシーユーとか適当な事を言っておやすみなさい、僕らは店内に戻って下らない話(ryがエンドレスに続き、Fさんが割とひねりのない辛いことをどんどん言うので頼もしいと言うかなんつうか、自分はさっきのミラクルドリンクで復活したのは仮復旧っぽいので酒は飲まないようにして、ぼくらぼちぼち帰ろうか、ハセガワさんもホテルに戻るというので3人でお暇して深夜の3時、いまの僕らは言わば糸の切れた凧ですが、行動範囲がごく狭いのでそれでもちゃんとお部屋に戻れます。えへん。
2010.0716 羽田発金浦行き
2010.0717 上映一回目
2010.0718 プチョンへ+短編集1本
2010.0719 インタビュー+長編3本
2010.0720 上映二回目+長編1本
2010.0721 長編1本+"Mega Talk"
2010.0722 長編1本+金浦発羽田行き