2010.0719 月
クォンさんにいただいたミラクルドリンクのおかげか二日酔いにはならず(もっとも、いつも回るのが早いせいか宿酔いを経験した事はないのですが)午前中に起きる。なぜなら朝食が10時までだからです。せっかくタダなのに、というセコい理由に加えてお金払って普通にレストランに入るには自分らのスキルが足りなさすぎ、特にここは観光地ではないのでほぼ全ての店が「外人向け」仕様になっておらない。でもって11時から取材らしいのでね、ともろもろの理由により精一杯の早起きをしてみましたがそれでも9時半です急げ。2階のレストランに行ってみると料理はまあ食い尽くされかけており、残りのものを頑張って掬ってみました。このベーコン切れっぱしが付着したパンの耳は何だろう、と思いつつもパンの耳アディクトの自分は一枚頂く。そこへ見覚えのあるお顔が、と映画評論家の大久保賢一さんでした。意外という気はしませんがおはようございます、ご一緒にどうすか、と言いかけて同伴さんがおられるようなのでそれを呑み込んで、「ではまた」。自分らは偏りのある朝食をもりもり食べる。海外でホテルの朝ご飯を食べそこなってその日ずっと力が出ない(アンパンマンもいない)という事を何度か経験しているので、野菜バランスがどうとか言ってられません。くだんのパン耳は何だかやたら油が染み込んでますが…。
食べ終わって部屋に戻り、スケジュールにあった雑誌の取材会場を確認してみると何だ、さっきのレストランか。10分前に再び戻ると映画祭のスタッフが案内してくれて、インタビュアーと通訳さんに紹介してくれる。渡された名刺には「movieweek」とありますがこれは雑誌用なんでしょうか。記者氏は韓国人には珍しく(偏見)ヒゲを生やした若い男の人で、通訳さんは若い女性。彼女が優秀だったせいもあってインタビューはスムーズに進み、ただし最後の質問「あなたに取ってPiFanとは?」というお約束らしい質問にイマイズミコーイチは四苦八苦してました。次は写真撮影で、と一階下のここは何だ、結婚式場か?というところに撮影スペースが出来ており「正面向いて、右向いて、左向いて、もっと怒ったような顔で」と的確(なのか)な注文が付けられる中でこちらもパパッと終了。これにて本日の「仕事」はおしまいです。
翌日、こんな記事になってました。
もう一度寝てしまおうか、という誘惑はあったのですが映画も観たいなあ、と今日のプログラムを確認するとテリー・ギリアムの特集上映で「ブラジル」をやるんだ、今日。「大画面でもっかい観たい」というイマイズミコーイチのリクエストにより6階のチケットカウンターで頼んでみたら「満席です」あらら。仕方がないのでいまから観られる韓国製カンフー映画2本と日本映画「ボックス!」に変更してホテルを出発。14時に最初のがあって観終わったら22時ですね。まあ今日は約束もないし、いいか。一本目を観るべく昨日と同じ「CGV」まで歩いて行く。ギリギリだったけどお客さんはほとんどいなくて(平日の午後だし)、僕らみたいにゲストで来ている外国人ばっかり、という感じ。最初は「Returned a Single-legged Man(1974)」、70年代製作の韓国カンフー映画ですが舞台は30年代のハルビン、無論みんな韓国語を喋り、無論悪役は日本人(ヤマモトさんと言う)恋人を悪い日本人に奪われた主人公がカンフーで全員やっつける、というお話。でもなんでタイトルが「一本足男」なんだろう。まあ製作時期が時期なのであれこれおかしいのはいいとして1つだけ、捕われた主人公が同じく牢屋にぶち込まれている格闘家から「オレは朝鮮独立のために戦っているのにお前は何だ、女のためにしか自分の力を使ってないじゃないか」と言われてハッ、と表情を変え、「その通りです私が間違っていました」ってこんな主人公でいいのか。
ああすごかったねえ、とイマイズミコーイチに言うと「途中で寝ちゃった…」との頼りないお返事。次の上映まで1時間くらいあるので喫茶店に入る。あ、ここはメニューに英語が…あるけど肝心のお茶パートには「TEA」としか書いてなくって5つくらいある品目は韓国語だけ、仕方ないのでウェイトレスさんに一応英語で「何でしょうこれ」と聞いてみるが彼女は英語はあんまし出来ないらしくて説明する代わりに真ん中の1つを指差し「これがとてもいい」と強力にお勧めしてくれるのでじゃあそれでいいや、でも何が来るんでしょうね。ソファーはゆったりしているけどちょっと冷房がキツいかな、とイマイズミコーイチが窓を少し開けたりしているうちに飲み物が運ばれてきて自分のところに来たものは「カモミールティー」でした。わはは。お茶を飲んでしまって何か半端な感じでおなか減った、と近くのパン屋で買い食いしてから劇場に戻り、2本目もさっきの映画のパート2。しかしこの監督はこの映画祭でやる分だけでも4本も同じ年に撮っており、もちろん出演者も大体おんなじ。悪役の日本人の名は今回キムラ、これがまた卑怯なやつで自分の手下に主人公に敵うのが居ないと判るや日本から3人も剣客を呼び寄せて総掛かり。こいつらに主人公は片足を切られ(続編でようやく「一本足」)、しかし驚異の回復力で義足にてリベンジ、つう眼の回るような展開でした。今回はイマイズミコーイチも寝なかったらしく「これはすごい」と興奮気味でした。
のりまき
さて次の上映は20時から。実は昨日からこの辺りにギムパブ(海苔巻き)レストランがあるのは判っていたのですがかなり敷居が高そうで、通り過ぎるたびに「次…の時間があるときでいっか」と隣のパン屋に入ったりしていたのですが流石にもういいや、入っちゃおうということでドアを開ける。もちろんメニューは判らないので壁に貼ってあったやつの(値段順、下手に高いのを頼むと肉入りとかだったら困るという理由により)上から2種類。やがてやってきたのはあんまり大差ないごくごくプレーンなギムパブに味噌汁付き、うまし。これで具材まで判って注文できれば言う事ありませんが。今度の上映会場はホテルとCGVの間に位置する「Primus Sopoooong」というこれまたショッピングセンターに入ったシネコンで、こんな近くに似たようなもんが2軒もあって大丈夫なんだろうかと思いますがまあいいや。劇場はやはり上層階にあって、CGVと似たようなな造り。ゲートの前で昨日のハワイチームが一行で座っていたのであらあらこんにちは。自分らとは別の映画を観るそうなので軽く挨拶して「またね」。何か飲みたいけど売店は高いな、と1階に戻って(ちょっと高級そうなスーパーがある)飲みものを買い、劇場に入る。あれ、あんまり埋まってないな。実は今日は裏番組で小栗旬監督の「シュアリー・サムデー」監督挨拶付き上映というものがあるので(もちろんソールドアウト)そっちに客を取られたかな、こちらは「ボックス!」を「市原隼人って、誰?」と言ってるイマイズミコーイチと観てみる事にする。
宝生舞のラスト出演作(たぶん。でも最初は柴咲コウも随分吹っ切れたねえ、と思いました)なので観たわけでは決してなく、さっきの2本で英語字幕に疲れたからですがこれで都合3本、今日見る映画は全て人が殴り合ってるものばかり、ですが今日はそういう日か。ブレーキの利かないバカと常に踏んでる優等生、ふたりはともだち。というわけで人生やっぱ努力と友情っすよ、と楽しく観終わって、イマイズミコーイチは「おっちゃんはこういうのにからきし弱くてね」としょぼしょぼしている。外へ出るともう暗くなっていて、まだ空気は生温いけど歩いて、いると向こうからさっき会ったハワイのブレントとプロデューサーのジェラルド、テッシー”アジュマ”他が歩いてくるのが見えた。お互い「あらま」という感じで笑って手を振り(去り際「コンニチハァ!!」と叫ぶテッシー)、街を歩いてるとゲストに会える、ってのはいい映画祭だ。イマイズミコーイチも昼間に16日の上映に来てくれたらしい女の子にその辺で声かけられてサインしてたけど。んでもってそういや、この先2ブロックほど行くと「E-MART」ってでかいスーパーがあった、お土産いまのうちに買っちゃおうか開いてれば、とホテルとは逆方向に歩き出すとそこへ通りかかったのはパクジンで(この人と突然会ってももう驚かない)、なんかおしゃれしてますな。「仕事が終わったので、これからホテルに戻る。君らは?」と聞くので「E-MARTが開いていれば土産買ってみよかと」と答え、「多分24時間営業だよ」とのことなのでじゃあ、またね。"Enjoy your shopping!"と言ってくれたのがちょっと申し訳ないような。
Primus Sopoooong
とにかく巨大なE-MART、24時間営業ではなく24時までの営業でしたが1時間以上あるので大丈夫だろう、と店内を見渡すが服飾品や雑貨、化粧品しかない。今回(も)買うのは食料品なので案内図を見ると(でももちろん韓国語のみなので解読が難しい)地下2階のようだ。非常にゆっくり動く長大な動くスロープで2フロア下がって食料品売り場、イマイズミコーイチは閉店間際のパンやら総菜に引っかかっているが、自分は職場用の菓子、自分用に黒米と塩とかをカゴに入れ、酒売り場でHoegaarden4缶パックで8,600ウォン(650円くらい)、というものを見つけてしまい日本じゃ2本も買えない値段、と冷えてもいないのに「今日は部屋で飲もう」とポテトチップスなども買って、ずっしり重くなったカゴを携えて再度スロープで地上へ、会計は集中らしい。ピピピピ、と済ませてクレジットカード出すと(現金が微妙に心もとないが両替するほどでは無さそうなので)使えるみたいだったので安心してたら昨日のソウル飯屋と同じくタッチパネルに署名、なのはいいんですけど実際にタッチペンで触った箇所から右に半分くらいずれたところに表示されるので名前が書ききれない。苦心して絶対読めないような「サイン」をし、さてホテルに戻ろう。
途中、明日が自分たちの上映だった事を思い出して、出迎えどうしようかと話し合う。元々の予定では4時にホテルまで迎えが来てくれる事になっていたのだけど、その日は2時から市庁で映画を観る事にしたのでそこからホテルに戻っていると間に合わず、でも上映会場のCGVは市庁の隣なので、僕らが直行すれば余裕で間に合う、のでホテルへの迎えはナシにしてもらおう、と路上からエリンに電話をかけると「オーケー、では16:35までに会場に来てくださいね」と妙に細かい時間指定でしたが調整してくれ、これで心置きなく明日は映画観てから自分らの上映だ。部屋に戻って冷蔵庫にビールを入れようとして、初めてコンセントが入っていないのに気がついた。ここはいわゆる「ミニバー」とかではないのでミネラルウォーターが入ってるだけ、でしかもその上に給水(温&冷)機があるので全然使わず、自分が後生大事に持ってきた「DASH」が入っているばかりだったのですがそれも勿論冷えてません。今からじゃあ大して冷えないかもね、と製氷機の脇に缶ビールを乗せてしばらく待つ事にして、その間にコンピュータでインターネットなどをしておったらブレントからFacebookでメッセージが来ており「今日は2回も会っちゃったね、明日はソウルに行かないといけないので君たちの映画は観られないんだけど、プレビューを観るよ」ということで残念ですが行ってらっしゃい、ソウル。
ビールも少し冷えたのでお疲れさまでした、って映画を観ただけですが。
2010.0716 羽田発金浦行き
2010.0717 上映一回目
2010.0718 プチョンへ+短編集1本
2010.0719 インタビュー+長編3本
2010.0720 上映二回目+長編1本
2010.0721 長編1本+"Mega Talk"
2010.0722 長編1本+金浦発羽田行き