20151021 星期三
本日のベルリン行きのフライトは11時40分なので逆算して8時半に出ればいいでしょうか、と7時に起きて朝食を食べに食堂に行きユニンと会う。流石に時間が早いので、同じホテルに泊まっているはずの誰とも会えなかったけど仕方ない。「北京空港は人がいっぱいですから、早めのほうがいいです」と言うのではあるがまあ大丈夫であろう。ああそうだ、と自分は大韓航空の(スリッパが入っていた)袋に日本から持ってきた携帯灰皿を3つほど入れたものをユニンに渡し、「シャオガンにあげて」とお願いする。昨夜叶さんの上映会場外で喫煙していた時に自分が携帯灰皿を使っていたのを見た彼が大笑いして「すんごい日本っぽい」と受けていたのであげることにしたのでした。部屋に帰ってパッキングの仕上げをして、ホテルをチェックアウトする。ユニンはタクシーを拾ってくれて「第二ターミナルまで」と言ってくれる。いろいろありがとう、僕らが居なくなったら少しは仕事も減ることでしょう。また東京でね。ユニンが調べておいてくれた通り高速は渋滞していて、タクシーは途中で一般道に降りてそこからは割とスムーズにほぼ予定通りに空港に到着した。北京空港はかなりセキュリティーが厳重で、ただ空港内のビルに入るのにもスキャンをしないといけないが、地下鉄ほかで慣れているので驚きはしない。さてアエロフロートのカウンターは…、げ、並んでる。しかも面倒そうな人(大荷物とか)ばかりが前に。やっと自分らの番が来て、受付のおねいさんは「トランジット・ヴィザは持ってますか」と訳の判らないことを言う。「ただの乗り換えで空港の外には出ませんから、そんなものはありません」おねいさんは新人らしくいちいち隣の同僚に聞いているが結局「無しでよし」ということになったが無用な不安を覚えさせる(どうも場合によっては要ることもあるらしい。後述)。そしておねいさん「隣同士の席に…あ、すみません」と近い席が無くなってしまったらしくもう何をか言わんやである。残念ながらモスクワまでは離れ離れのチームハバカリ、モスクワーベルリンは隣同士だけど。
Аэрофлот в московском аэропорту
そして北京空港ではさらなる試練が待ち受けていた(大袈裟)。手荷物にもライターは入れられないと没収されてしまったのである。きいいいいい、と威嚇してみるがどうにもならない。ということはあれだ、ベルリンでライターを買ってもまた帰りの北京で没収されてしまうのである。ぶりぶり怒りながら搭乗を待つ。iPad miniに入れた1GBプランのデータ専用SIMは利用期限が実質今日までなのですが半分も使っていないので別に今しなくてもいいんだけどAPPのアップデートで使い切る(貧乏性)。さて搭乗、いざ飛行機に乗ってみると席はかなり離れていて、イマイズミコーイチはちょうど前の席が無くて壁になっているので身動きはできますが自分は真ん中の、通路にも窓にも面してない席になってしまっているので(一応CAに変更できるか聞いてみましたが「そういうアレンジはやってないので、お客さん同士で交渉してください」だと。結局満席でどうにもならなかった)これは寝るしか無いなワインください、で寝こけていたら意外とあっさりと時間は過ぎ、モスクワ。イマイズミコーイチと再会して(「やっぱり一人だと落ち着いて寝られなかった、ねむい」とぶつぶつ言っている)初のモスクワは午後3時、ではありますが特に何があるというわけでもない。つうか喫煙所もない(ライターもないけど)。探してみると元喫煙所だったと思われる閉鎖されたスペースのガラス戸には「ターミナル内は全面禁煙」と書いてあって本当にどこでも喫えなくなったらしいのである。後で調べたらそのためだけにトランジット・ヴィザを取って外で喫う人もいるようだ。まあさすがにそこまではしないかな、とは思うものの本当にやることが無くなりましたよ、とユーロの使える喫茶店でお茶を買ってだらだらと過ごす。まあ3時間位なものですが、取り敢えず次回からは余程のことがない限りはモスクワ経由は止めようと思いました飛行機、まだかな。という訳でこの先はベルリン編です。
20151021 Mittwoch
ベルリン行きのは機体が小さくて、所要時間も3時間弱。軽食が出たのでそれ喰ってまた寝る。着いた空港はいつもと違ってシェーネフェルトというベルリンの南にある旧東側の空港、なのでロシアの航空会社が使ってるんですな。テーゲルよりは新しい感じがするけど小さいのには変わりない(ブランデンブルク空港のオープンはいつになるやら)。荷物を引き取り外に出ると、何度か迎えに来てくれたことのあるコーラが待っていてくれた(お疲れ様です)。では行きましょうか、と歩き出した彼女にちょっと待ってね両替してくる、と北京で貰った人民元を両替所に出す、と皆さん人民元を持ってるアジア人は中国人だと思いますわな普通。で両替所のキュートなお兄さん(ゲイかも、という気はした)は茶目っ気たっぷりに「イー・アル・サン」と中国語で数えてくれるのでしたが僕らは日本人です。ではでは行きましょうか、と歩き出した彼女にあのねあのねコーラ、煙草を一本だけ喫ってもいい?しかも北京でライター没収されちゃったので買えないかな、と訊くとコーラは「うーん、売ってるところは無さそうだけど、喫煙所にいる人に借りたらいいと思うわ」とその辺で喫煙していたお姉さんに頼んでくれている(「このちんちくりんなアジア人が貴殿に火をお借りしたいと申しておるのだが、如何であろう」というところ)。貸してくれたからじゃありませんが美人のお姉さんは「もちろんよ」と火を使わせてくれて、はあやっと自由なところに来た、と人心地。
Flughafen Berlin-Schönefeld
シェーネフェルトってテーゲルより市街地から遠いの?と聞くと「車だと同じくらいかな、アウトバーンに乗ると早いし」とコーラ。聞けば映画祭は無事開幕したようだ。今回は映画祭会場のMOVIEMENTO KINOからは少し離れたエリアのアパートに泊めてもらう事になっている、とはいえホストは全然知らない人で、映画祭ディレクター、ユルゲンが彼の友人宅を手配してくれたのであるが、しかしいきなり知らない東洋人を8泊も泊めてくれるというのは豪気な人だ。コーラは車を薄暗くなった住宅地に停め、外側にあるインターホンを押した。中の電灯が点いて階段を上る。扉は開いていて、中でくしゃくしゃの小型犬が吠えている。こんにちは、と挨拶すると長身の男性が出てきて「いらっしゃい」てな感じで迎えてくれて、コーラは「じゃまた今度、映画祭で」と帰って行った。彼(の名はライナーさんと言うらしかったが)はベッドのある広い部屋に僕らを通してから、ざっとルールを説明してくれた。「おそらく生活時間帯が違うのでそんなに顔を合わせる事がないと思うけど、鍵を渡しておくのでいつでも自由に出入りしていい。冷蔵庫の中の水とか適当に飲んでいいし、コーヒーも入れられる。ここから映画祭に通う事になると思うが、行き方を教える。アパートを出て左方向に進むとSバーンのJulius-Leber-Brückeという駅がある。それに乗って一駅、YorckstraßeでUバーン(U7)に乗り換えるとHermannplatz(映画館最寄駅)まで行ける」だそうでありがとうございます、と日本土産(羊羹詰め合わせなど)を渡して、着替えてから出かける事にした。
夜も遅いので通りの店はどこも閉まってる感じだけど、昼間ならそれなりにありそうな気もする。あ、小さな雑貨屋(ビールとかお菓子も売ってる)がまだ開いてる、ので入る。欲しいのはライターである。どうせまた没収されちゃうんだけどどうしても可愛いのを選んでしまい(捨てるときに惜しくなるのに)、「CCCP」と書いてある赤いソ連モチーフのにする。さて当然ながらライナーの言ったとおりの場所に駅はあった。2年ぶりに電車の切符を買おうとホーム内にある券売機に向かい、あれAB区間シングルチケットが2.7€、って高くなってないか?これだと往復するだけで700円かかる、何かもう少し割安な券があったような気がするけど思い出せないので会場で誰かに聞こう。ややまごついたもののHermannplatzに到着し、道を歩いているとイマイズミコーイチが「ケバブ…」と呟きだす。そうだね会場に行く前に食べておいたほうがいいかも、とチキンドネル(鶏肉のケバブと野菜のホットサンド)+アイラン(塩味飲むヨーグルト)セットで2.5€。店内では食えないので路上の席で手早く(さもないとあっという間に冷める)たいらげて、さて映画館が見えてきた。前の路上には大勢人がいるけど、見知った顔は無いような。勝手知ったる、で奥のラウンジ(映画祭受付)に行くとカタリーナとウーヴェのデザイナーチームがいる。やあ元気?と訊くと「疲れた」と本当にぐったりしているのでこれは何かよほど激務なのか、或いは僕らにようやく気を許して(出会ってから4年)お客扱いをしなくなったという事なのか、どっちもかもな。しかも今回はカタリーナの発案で映画祭10周年記念カレンダーの制作というエクストラ仕事があり、作品の募集から編集から印刷から販売までほぼ全部2人でやってると思うとそら疲れるわな。このカレンダーには自分らも友人知人を誘って参加しているので完成品を見せてもらった。事前に「作品が日めくりにするほどは集まらなかったから週めくりにしたので薄い」と聞いていたのだけど結構分厚い。「結局ウィークデー5日で1枚、土日は1日1枚づつ(要は一週間で3ページ)という変則なカレンダーにした」そうですが無茶苦茶かっこいい出来でうれしい。
販売中
ウーヴェが「到着祝いにおごるけど、ビールでいい?」と選ばせてくれるのでイマイズミコーイチ用に「BECKS」、自分は大好きな「JEVER」にして乾杯する。ああそうだ電車の切符だけど、と2人に相談するとカタリーナは「7日間チケット、っていうのがあったと思う。多分それなら毎回買うより安い」とのこと。「あとこれは保証はできないけど、無賃乗車の抜き打ち検査はだいたい月末月初が多い。もう時間も遅いし、今夜の帰りに乗るときは多分チェックされないと思う(無賃乗車で捕まっても責任は取れないけど)」だそうでしたさあどうする。ブースにはクラウス、クラウスの奥さん(男)、ヨーハン(スキンヘッドになってる)、マヌエラなどなどスタッフが入れ替わり立ち替わりなので挨拶して、でもボスのユルゲンがいないな、とカタリーナに訊くと「さあ、さっきは見かけたけどあっちこっちを飛びまわってるから今どこに居るのか、は会っている人以外は誰も知らない」だそうで軽くニンジャ状態でした(でも外に煙草を喫いに出たらそこにいたのでちょっとだけ挨拶できた)。あとは誰だ、ラウンジに戻ると今回の短編コンペの審査員のイリスらしい人が見える(今回イマイズミコーイチもこの部門の審査員なのである)。事前にメールで打ちあわせていたところでは、もう一人の審査員と3人で明日の上映前に集まって、という事だったのだが先に顔見せをしておいた方が良かろ、映画祭のカタログに出ていた写真は小さくて確信は無いのですがまあ違ったら謝ればいいや、とバーカウンターの中にいた彼女に(イリスはこの劇場の支配人だそうなのでこれは多分本人だろう、と当たりを付ける)。ものすごく忙しそうなのだが隙を狙って「こんにちは」と声を掛けると「は?あんた誰?(あたしは忙しい)」みたいな表情を一瞬したので怯みましたが頑張って「日本から来ました子ども審査員です!!こんにちはぁ!!!」と元気よく挨拶してみるとイリスはいきなり「ハーイ初めまして!!!!」みたいな感じになって(笑った)「では明日、上映30分前にここで」と約束してあっと言う間のご挨拶も完了。そしてカタリーナが「あ、すべてのコンペを仕切っているのがこのパウラ」と小柄な女性を紹介してくれる。この人もまたニコニコ上機嫌な人ですが「明日の短編コンペプログラムのチケットが完売してしまってるので、このままだとあなた達は観られないから、別ルートで確保しておく。取り敢えずゲストパスを明日12時以降にここで入手しておいて」とのこと。完売、か…(小さな劇場ですが)。帰るか。
電車はまだあるようなので(帰りの切符を買ったかどうかは内緒だよ)大人しく帰宅、家は真っ暗でライナー氏はもう寝てるかな、そろそろとシャワーを浴びて寝る支度、ああそうだ切符のことを調べないと。カタリーナが言っていた「7日券」は29.5€、買った日から数えて7日目の深夜12時まで有効、ということは10月28日までは何度でも乗れるから、7日間で片道11回以上乗ればこっちのほうが安い(一日中どこにも出かけない、という日はありそうもないので必ず一往復するとすれば14回は乗ることになる)。さっき空港で人民元から両替したユーロを山分けして、ひとまずキャッシングしなくても現金は潤沢(個人の感想です)。
地下鉄のキャンペーンポスター
2015.1021 北京からベルリンへ、映画祭1日目
2015.1022 映画祭2日目
2015.1023 映画祭3日目
2015.1024 映画祭4日目
2015.1025 映画祭5日目
2015.1026 ベルリンオフ1日目
2015.1027 ベルリンオフ2日目
2015.1028 ベルリンオフ3日目
2015.1029 北京経由の帰国
北京編へ戻る