2010.0930 THU

 どれだけ寝たのかよく憶えていない。イマイズミコーイチは早起きしたようで眼を覚ますともう動いていた。おはよう、なんかお祈りの声が聞こえるねえ、と窓の外を見るとこの部屋はプールに面している。これホテルのかなあ、泳ぎたいねえと話をするうちに電話が鳴った。出てみるとシーラからで「おはよう、よく寝られた?ちょっとランチは無理なんだけどまた夕方か夜に連絡するわね」つうことで夕方まで予定は無くなったらしい。あ、そうだ部屋が禁煙フロアだったんだけど換えてもらえるだろうか、と聞くと「あら本当?じゃあフロントに言っておくわ、多分大丈夫だと思うけれど。バイ」。はい、本日はたいへんヒマ決定。本来であれば「家族コンプリート」及び「傘脱」の上映だったはずなんであるが、まあ、無いであろう。未だジョンに会えていないので何とも言えないけど、もしやったとしても「来るな(危ないから)」なのでね。さてネットつなぐにはまたレストラン行かないとあかんか、でも一応…と開いてみると昨日のパスワードでつながったままで、もしかしたら24時間有効とかそういうのかもしれない。しかし7階まで届くとは強力。

 ロビーに降りて「あの、喫煙可能な部屋に換えてもらえますか」と聞くと「シーラさんから聞いてます。大丈夫ですよ」と言ってくれたので新しくキーを作ってもらい、新たな部屋は#526、そのまままた7階に戻って荷物を引っ越し。今回もプール側希望、にしたので景色はあんまり変わらない。以前の部屋キーを返して、新しいキーをエレベーターに…あれエラー反応。緑ランプが点かないといけないんだけど赤ランプ点灯、で仕方ないので再々度フロントで「あ、これが働きません(直訳)」と言うと「少々お待ちください」ということでフロントの人はキーを持って別室に入って行き、やっとこさ有効になったようでした。「日本から?」と聞かれたので「はい」と言うと何やら言ってくるが内容がよく判らないので??という顔をしていると彼はホテルのパンフのようなものを取り出し「ここに支店がある」と言っているようでしたが地図で示された場所は沼津と伊勢崎。よりによって何でその2都市だけで展開しているのか不明ですが日本で調べたら確かにありました。2つとも行った事が無い街なので自分は「あ…そうなんだ」と曖昧に笑うのみ。


窓の外からは巨大な廃墟のようなもの

 やっとエレベーターが動いたので一旦部屋に戻って、じゃあ下のレストランでご飯食べよう、とまた降りる。フロントデスクからエスカレーターで下るとカフェが1つ、レストランが2つか3つ。昨夜は既に閉まっていたインドネシア料理っぽいところに入ってみる。ちなみにホテルは朝食の付かないところでした。店に入るとカウンターにずらりと食材が盛られていて、よく見ると調理前のもののようでオーダーすると仕上げて出してくれるらしい。自分らはめいめいに葉っぱに包まれたご飯、天ぷらのようなもの、茄子の煮浸しのごときもの(真っ赤っか)、卵などなどを注文してテーブル席に座る。店内のテレビではドラマをやっていて、どうも内容はインドネシア版「冬のソナタ」のようなものではないかと思うのだが「ブロモ山(ジャワ島にある火山)のなんちゃら」というタイトルだったような、台詞は勿論判りませんがおかしかったのは登場人物がみんな冬服で、まあ山は寒いのか知れませんが明らかに普段そういった服を着ていない人が演出しているのではないかと思われる節があり、例えばレストランで食事をしている人が手袋を取らないとかですね、もしかしたら全然寒くないところでロケしてるんだとしたら俳優さんは地獄のような現場であろう。

 そうこうしているうちに料理が運ばれて来た。イマイズミコーイチの頼んだジュースだけがカウンターに出来ているのに放置されているがまあ仕方ない、気長に待ちましょう。見た目が赤いものもそうでもないものも、結構辛い。そしてうまい。これまで食べたインドネシア料理とはちょっと違うようだけど、このコーンの天ぷらがうまいねえビールが飲みたいねえ、とヒマなのをいい事に昼間からダメな感じである。付け合わせなのか取り放題の生野菜は一部がハーブで、レモンの味がするものとかありました。イマイズミコーイチのジュースもやっと来て、葉っぱ包みのご飯は蒸されていました。日差しで明るい店内で、何にも予定がないと言うのはいいもんだねえ、と海外まで来て気付くのもどうかと思いますが機内食おかわりよりこっちの方がいいな、願わくば現地の友達とかと一緒だともっと良かったけれど、贅沢は言いません。僕ら以外はみんな忙しい。食後にコンビニエンスストアのようなものを発見したので大好きなガラム煙草「234」を買ってプールを眺めながら一服し、部屋に戻った。


ひるごはん

 プールで泳ごうか、と言っていたのだがイマイズミコーイチは既にベッドにもぐり込んでおり、「すこしねる、一人で行ってもいいよ」つうことなので出かける事にした。海パンはいて下のレストランのところまで行ってみるが、プールは眼前に見えるものの行き方が判らない。構造的にはプールとつながっているように見える一軒のレストランに入って「プールはどっから?」と聞くとウェイトレスさんは笑って「入り口は一旦建物の外へ出たところよ」と教えてくれた。そういや部屋のドアには「隣接しているプールで起きました事故・事件に関しましては当ホテルでは一切関知いたしません」と書いてあったので、ホテルの施設ではないのかも知れない。建物外ではあるが同じ敷地にある警備員詰所の脇を通って行くとプールの入り口が見えて来た。一応受付のようなものはあるが誰もいないのでそのままプールに行こうとすると、その辺に座っていた男の子が何やら言ってくるので付いて行くと彼はさっきの受付に入り、「25,000ルピア」と書かれた入場券を切って来た。あ、お金持ってない。ので身振りで「また来る」と言って部屋に戻り、皺くちゃの紙幣をポケットに突っ込み再トライ、でようやく入れてもらった。

 プールはかなり広くて、そして(これまで入ったインドネシアのプールは大体そうだったが)高低差がすごくある。片側は1メートルなんだけど反対側が3メートル、半分も行かないうちに足がつかなくなる。ちなみにあんまり水は透明ではないが、まあ平気。プールサイドには結構わらわら人が来るのだが泳ぐ人はほとんどいなくて、何のために来てるんだろう特にあの男女併せて20人くらいの集団は、と水の中からちらちら見ていると、彼らはプールサイドの一角でウェイトトレーニングを始めた。何もこんなとこでやらなくても、と思ったがもしかしたらその後で泳ぐのかもしれない。プールで泳いでいる人(含む自分)数名でプールサイドで鉄アレイ持ってる人、多数。一時間程泳ぎ、水はあったかいがさすがに体が冷えたので上がってホテルの方を眺めていると、ある部屋から豆粒大のイマイズミコーイチが手を振っているのに気がついた。起きたらしい。なんかこちらにカメラを向けているがこの距離で写るんだろうか。もうしばらく泳いでから日が暮れて来たので撤収、部屋に戻る。


イマイズミコーイチ撮影「プール」

 「今日はもう泳ぐのいいや」とイマイズミコーイチが言うので部屋でだらだらネットなどを見ているとシーラからチャットが入り、「今日はスタッフ・ゲストと夕食を一緒にしましょう、7時にユリと言う子が迎えに行く」とのことでやっと皆様にお会いできます。時間通りにロビーに行くが誰も来ないのであれ?と思って階下のカフェ前に行くとそこにはズボンコとカルロス、そんでもって初めましてのユリが待っていた。タクシーに乗り込み、既に暗くなったジャカルタ市内を走る。えらい混んでる道をえっちらおっちら車は進み、いまどの辺りにいるのかさっぱり判らなくなった頃に「肉のハナマサ」の看板が見えて来たのでおいおい日本に戻ってしまったか、と思った途端に車は止まって「着きました」ただし入るのはハナマサじゃなくて隣の隣くらいにあるお店。なんでか店の名は「KOI」で、鯉の絵が書いてある。

 店内はモダンなテーブル&ソファのお店、ダイニングバー、つんですか。中程の席に眼をやるとジョンが座っている。イマイズミコーイチは3ヶ月振り、自分は2年半ぶりくらいであってやっと(やっぱり)来たよ、ご挨拶。でもって隣には弟のキティがおり、この人とは3年前に会ったきりだ。実に懐かしい。さて席に付き、ジョンに映画祭はどうなっておりますか、の話を聞く。内容は前日シーラに聞いていた事と大体は同じようではあって

・上映作品/会場とも大幅に変更と縮小をしている
・連日デモ隊が来ている訳ではない
・が、事態が収束しているのかどうかは判断が難しい

 とのこと。ひとまず「家族コンプリート」はジャカルタでの上映は中止、バリは状況を見て、また「傘脱」含む短編集はやる方向であることを確認した。1つでも上映があればお互い名目は立つと言うものですが、それがFPI次第と言うのも不愉快な話ではある。「上映情報はどこで入手したらいい?」と聞くと「ウェブサイトでも更新してるけど、一番早くて正確なのはツイッター」とのことでした。実は既にフォローしていたツイッターでは本日自分の短編含むプログラム「Boys will be boys」がホテルとなりのKineforumである、とあったのだが何となくこっちに来ることになってしまって目下上映しているのか少し気がかり(行きたい)。ともあれジョン達に取っても散々悩ましいだろう話題はこの辺にして、ごはん注文します。このナシゴレンにしてみよう、ビールはHoegaardenでね。あ、プートリが来たこの人とはやっぱ3年ぶり。で自分がいかにインドネシアに来てなかったかを実感するのではありましたがそんなことよりどうしようもなく、会えてうれしい。あとはひたすら呑んだり食ったりバカな話をしたり写真撮ったり、で実に楽しく過ごしました。もちろん映画祭側が細心の注意を払って僕らを遠ざけてくれている訳ではありますが、これでどうして緊迫しているのか、とやはりちらっと思ってしまう。のは+根本にあるのが自分にとってはどうしても実感の薄い「宗教的圧迫」の問題であるからなのですが、ひとまずリュックに入ったままの「コーラン(もちろん日本語訳である)」を読んでみましょう。時間は有り余りそうだし。


肉のハナマサ@ジャカルタ、肉以外のものもありそうでした

 夕食はお開きになって、みんな移動するのに車1台では乗り切らないので分乗、ここで今日はさよなら?とユリに聞くと「いや、あなた方のホテル下で今日はミーティングだから、また会えるわ」ということで今度は空いてる夜道をするっと抜け、帰ってきましたフォーミュラ湾、初日に僕らが夜食を食べたカフェには映画祭(Q-MINITY)メンバーが集まっていて、シーラ(一日ぶり)、ハリー(3年ぶり)、ギア(同)ほか初めましての方々もおり深夜までお疲れさまです。むろん僕らはミーティングに参加するのではないので挨拶だけして部屋に引き上げる。明日は何をしようか、というか何ができるのか。


インドネシア・ジャカルタ編
2010.0929 成田発仁川経由ジャカルタ行
2010.0930 二泊目
2010.1001 三泊目
2010.1002 「傘脱」上映

カナダ・バンクーバー編

インドネシア・ジョグジャカルタ編
2010.1008 香港経由ジャカルタ経由ジョグジャカルタ行
2010.1009 二泊目
2010.1010 三泊目
2010.1011 四泊目
2010.1012 五泊目
2010.1013 ジョグジャカルタ発バリ行

インドネシア・バリ編
2010.1014 クロボカン2時間徒歩
2010.1015 長編1本
2010.1016 バリ発ジャカルタ経由仁川経由成田行